わたしの世界 | 雨音..日々綴ル...

雨音..日々綴ル...

頭 の 中 に 彷 徨 う 言 葉 た ち 。 徒 然 な る 想 い を 曝 け 出 す...わ た し の 居 場 所


声を掛けられて振り返る


「久しぶり」とあなたは言った


あの頃と変わらぬ声で


二人ベンチに座って


言葉にならぬ気持ちに戸惑っていた


左手に微かな視線を感じた


指輪はないよ


そうだよね、わたしたち もうそういう年齢になったんだよね



ずっと胸にしまっていたことがある


放課後 待ち合わせ、夕陽に染まるグラウンド


時間になっても来ないから わたし探しに行ったの


今みたいに携帯なんてなかったもんね


そしたらあなた、ひとり教室で泣いていた


驚いて 一瞬心が固まって


声を掛けられないまま引き返してしまった


混乱する気持ちを抑えながら待ち続けた


「ごめんごめん」って、


いつもの困ったような笑顔であなたは走ってきた


わたしは怒ったふりして勝手に前を歩き出した


まともに顔を見られなかった


あれから、あなたはわたしの中で


どんなに一緒にいても掴めない存在になってしまった



ずっとずっと気になってた


どうしてあの時泣いてたの?


なにがあなたを泣かせていたの?


今でも一人で泣いてるの?


それとも、もう今は涙を見せられる人が側にいる?


何度 心の中で訊ねても答えは返ってこなかった



空を見上げた角度の、あなたのその横顔が好きだった



全然変わらないねってあなたは言ったけど


あの頃のわたしはもういないよ


でも、気付かないでいてほしい


もう透明じゃないこと




どうしてわたしたち また出逢ったの?