アメリカでは、理学療法士(PT)に開業権があり、(ちなみに、日本は、先進国で唯一PTに開業権がない国)NY・マンハッタンは、PTクリニックの激戦区。毎ブロックごとにPTクリニックがあるんじゃないかというぐらい、PTクリニックが乱立している。なので、それぞれのクリニックは、生き残りを図るため、ニッチ(隙間)を求めていくようになる。

前にNYで働いていたクリニックは、ボスがあごのリハビリの専門家で、顎関節症の患者さんなんかを多く見ていた。今は、そこから派生して、美容整形の手術のあと、顔の腫れを取るためのケアも受け付けているらしい。そして、骨盤底のリハビリ。そこの元同僚は、骨盤底のリハビリのスペシャリストで、最近彼女の患者のほとんどは、婦人科ドクターから送られてくるそうな。実際、どういうことをするかというと、例えば、出産後に尿もれなどを経験する女性のケアで、いわゆる婦人科の医者に行ったときに座るように、仰向けで寝て足を開いた格好で、骨盤底(股の部分)のマッサージをしたり、筋肉のトレーニング(ケーゴルという方法で、「挿入したタンポンを、エレベーターで1階から2階、3階に上げていく」イメージで、骨盤底の筋肉を鍛える運動)を指導したりする。とても、重要でニーズも高い分野だけど、私は、今のところ、どうしても骨盤底の分野にまでは、踏み込めないでいる。何か、近寄りがたい。。。外側から、インナーマッスルを鍛えるような運動の指導とかはするけどね。。

ほかのクリニックは、ランニングに特化して、走るときの姿勢をビデオにとって、コンピューターでそのメカニズムを分析して、どこの筋肉が弱いとか、どこを強化しようとか、患者にアドバイスしたり。

そして、またほかのクリニックでは、PTのオーナーがランニングのセミナーで話をしたりして、痛みがあるなしに関わらず、「一回うちのクリニックに来て」みたいな感じで、患者を呼び込み、「ここの筋肉が硬くて、ここが弱いから、将来的に膝を悪くする可能性がありますよ」みたいなアドバイスをして、そこから、治療を始める。ここは、保険も取らないで、治療費は自腹で1回300ドルだとか。そこは、オフィス街の真ん中にあって、ヘッジファンド系のリッチなビジネスパーソンが、仕事の前後や合間に来るようなクリニックのよう。

患者が入っている保険会社から、クリニックに落ちてくるお金が年々減ってきているので、経営が難しくなってきているのはどこも同じで、ニッチを探して、ほかの人がやっていない分野で勝負したり、保険を一切取らないで、自腹診療にして、それでも払う余裕のある裕福で、お金を払ってでも自分の健康に気を使う顧客をターゲットにしたビジネスをしたり。なかなか、みんな苦労しているようです。

私はといえば、ランニングのクリニックも、ヘッジファンド系のクリニックも、面接に行ったけど、その後、お声がかからず。

ランニングのクリニックは、白人女性ばかりのスタッフで、なんだか馴染めそうにないなあというのが本音だったし(やっぱり、多少アジア系やヒスパニック、黒人がいるような多様性のある所のほうが、私にとっては居心地がいい)、ヘッジファンド系のクリニックも、患者は高い金を払っているだけに、求められるものも大きくなるし、それはそれでいいけど、営業活動もしなきゃいけない感じで、純粋な医療ができるのかという不安もあったし、まあいいや。(ちょっと負け惜しみ。。。??)

PTでも、いろんな仕事があるもんだなあと勉強になる。。。
つづく。。。
ロスからNYに戻るとなったら、仕事を探さなきゃいけない。
ロスでは、ここ1年半ぐらい、フルタイムではなく、外来の整形外科クリニックで、週2日、急性期の病院で月2週末日程度、あとは、訪問ケアや個人の患者さんの仕事を入れて、比較的、自分の時間が柔軟に取れるような生活をしていた。
できれば、NYでもそういう生活を続けたいなと思って、仕事探しをしてきた。これがなかなか、面白い経験で、せっかくなので、ぜひとも書き留めておこうと思う。

仕事をどこで探したかというと、最初は、大きい病院での仕事がいいかなと思って、マンハッタンにある病院のウェブサイトを見て、理学療法士を募集していないか調べる。
他には、APTA (American Physical Therapy Association)のウェブサイトでも、出ていないかチェック。こういう、オフィシャルなサイトは、募集を載せるのに、多分いくらか払わないといけないはずで、ここに載ってるのは、人事にそれなりのお金をかけられるところとか、真剣にいい人を求めてるとか、そういうところじゃないかと推測できる。

あとは、
・LinkedIn.com:これは、プロフェッショナル版フェイスブックみたいなもので、ビジネスのコネクションを作るのに便利なサイト。ここにも、仕事の募集がある。
・monster.com: ここは、PTになりたての時に、初めてゲットした仕事が載っていたサイトで、今回も使ってみたけど、最近は、死にかけみたいで、あんまりいい仕事が出てこない。
・glassdoor.com:その会社で現在や過去に働いていた人が、働きやすさや給料なんかのレビューを書き込んでいて見ていて面白いけど、会社側としては、そこに募集を出しても、もしよくないレビューがバンバン出されていたら、人が集まらない=募集出すメリットなくない?とか思うけど。そんなに頻繁に仕事がアップされない。
・craigslist.com:「売ります&買います」、不動産、「ペット譲ります」から、何でもかんでも情報交換サイトのクレイグスリスト。もちろん、仕事も載っていて、確か掲載もタダだったはずで、その分、人事にお金をかけたくないケチな会社じゃないの?という疑いもあるけど、一番、求人情報がアップされる頻度が高い。そして、仕事成約率も一番いい。

というわけで、幾つかのサイトを見比べて、最初は慎重に、そのうち、数撃ちゃ当たる的に、ばんばんレジュメ(履歴書)を送って、反応を見る日々。いい仕事だと思って、レジュメを送っても、連絡が来ない確率も結構高いからね。

さて、NYに戻ると決めた11月ごろから、少しずつ仕事を探し始め、11月半ばごろから、面接に来ませんかと声がかかり始めた。それ以来、結構な数の面接を受けたんだけど、いくつか、パターン別に紹介してみる。

その1、急性期の病院。
ここは、Per Diemと言って、主に週末だけ働くという条件のところ。結構大きい大学付属の病院で、ベッドサイドで、主に整形外科の術後の患者さんを、座らせ立たせ、歩かせたり階段を登れるようにさせて、1-2日で退院させるのが、仕事。面接では、「患者に対して『これはどう考えても、患者の言ってることがおかしい』と思ったとき、どう対処するか、過去の具体例を挙げて、説明してください」と言った質問や、PTの部署では、「患者さんへの治療するときの流れを、大まかに説明してください」とか、そういった質問がされ、なぜだか、あとで考えても自分でも感心するほど、余裕を持って答えることができた。
結果、11月中に採用が決定!NYに移ってから、手続きを始めましょうということで、1月最初から、メディカルチェック(予防接種を受けたり、身体に故障がないかチェック。もし労災が起こった時に、雇う前の状況を把握しておく必要もあるだろうし)や、バックグラウンドチェック(犯罪歴とか、虐待歴とか)、リフェレンスのチェック(前のボスとか、私を知る人から、私の働きぶりとかを確認)とか、大きな組織で働くならではの、いろんなプロセスがあって、やっと、1月末に病院の新規雇用者向けオリエンテーションがある。ここでは、1日半の間に、去年は某新聞の年間トップ10の病院ランキングで何位になった、うちらってすごい!とか、NYで、我々より上位にいるのはXX病院、打倒XX!そのためには、どうすればいいか?患者優先のケアをして、患者の満足度が上がると、もっと患者が来て、ランキングが上がって、収入が増える!とか、そういう話がなされる。。。
さらに、コンピューターでペーパーワークの入力のやり方を学ぶ日が1日。そして、自分の部署に行って、オリエンテーションを受け、やっと給料が出る仕事をさせてもらえたのは、2月の終わり頃。仕事が決まってから、長かったぁ~!
ここは、最低、月に、3週末日働けばいいので、まあ気はラク。主に、日曜日に入ることになるかな。

つづく。。。
NYに戻って、はや2ヶ月。
何だかあっという間だったけれど、まだ出戻りニューヨーカーとしてのフレッシュな気持ちがあるうちに、近況を書き留めておきたいと思う。

全体的にみれば、すこぶる順調にNY生活に適応してる感じ。
最初の1ヶ月ぐらいは、ロスからの荷物を整理したり、一度(ならず二度も)ロスに戻って、荷物を送ったり持ってきたり、新居の片付けをしたり、ばたばたして過ぎていった。。。

そんな中で、一番最初から取り組んで、成長の兆しがあるのは、なんといっても、陶芸!
NYには、その名も、陶芸教室という名の陶芸教室がある!
日本人の方が経営しているところで、作り方も日本式。
もうすでに、1月から始めた4週間の手びねりのコースを終え、2月初めからは、6週間のろくろのコースを取り始め、だいぶコツをつかんできたところ。
今までずっと、西洋式の陶芸を習ってきたけど、日本式のやり方が西洋式とはかなり違うということを知って、びっくりした。
西洋式は、コップを作るんだったら、コップが作れるだけの少量の粘土を切り分けて、それをこね、ろくろで回して中心に据え、形をつくっていくというプロセスだった。
日本式は、まず、大きな粘土の塊を、うどんを作るみたいに、しっかりとこねて均質にし、大きな山のかたちにして、ろくろに置く。そこからろくろを回して、粘土が中まで均質になるようにしたあと、上の部分から、コップやお茶碗の形をつくっていき、ひとつできたら、それを山から切り取って、できあがり。さらに続けて、ひとつの山から、どんどん形を作って、いくつもの作品を作りあげていくというやり方。ろくろの回転は、西洋式が反時計回り、日本式は時計回りという違いもあって、ずっと西洋式でやってきた私は、勝手が違うので、またコツを覚え直さないといけなくなった。でも、前のスタジオよりも、ちゃんと教えてくれるし、前の教室で、自分でも伸び悩んでるなぁと思っていたので、しっかり学びなおすことができて、よかったなと思う。NYに戻って来て、最初の収穫は、陶芸だった!って私らしいでしょ。

あと、ロスにいたときよりも、ずっと動いてる!
仕事が決まるまで、時間があって、週3-5日ジムで運動してるのもあるけれど。
何しろ、NYは人を歩かせる街だからね。地下鉄2駅分ぐらい、だいたい1マイル(1.6km)ぐらいだったら、約20分で歩けるから、歩いちゃえ!みたいな感じ。だってそれで、地下鉄の料金2.75ドルも取られるの、くやしいし。私が2003年に初めてNYに来た時は、一回2ドルだったのにさ。どんどん高くなってるよ。
さらに、最近、バイクシェアリングサービス・シティーバイクを使いこなすようになった!これは、世界のほかの多くの都市にもあるような、自転車共有サービスで、街中に自転車ステーションがあって、あらかじめお金を払って(年間で150ドルぐらい、1ヶ月換算で12ドル少々)登録してもらえるチップを差し込めば(1回とか1日単位でも使える)、自転車のロックが解除されて、行きたいところまで、自転車で行き、その周辺にあるステーションで乗り捨てればいいという仕組み。前は、折りたたみ自転車で移動してたけど、外に留めておくと確実に盗まれ、仕事場まで持っていくのはかさばるし、置き場所もないし、帰りに雨が降ったり、友達とごはんに行ったりするときには、自転車が邪魔だったりするけれど、シティーバイクだと、片道だけ乗って行ってもいいし、置き場所を気にすることもないし、地下鉄分のお金が浮くし、地下鉄の駅から遠いところでも、ステーションさえあれば、そこに乗り捨てればいいわけだし、超便利!しかも、かなりいい運動になる!
難点は、やっぱりNYの渋滞と、がんがん飛ばすドライバーたち。でも、あんまり彼らと張り合おうと思わないで、常に左右を確認し、スピードを出しすぎず、ちゃんと赤信号に従えば(普通のニューヨーカーの歩行者は、信号が赤でも車が来てなければ、横断歩道を渡る。自分の安全は、完全に自己責任。)そんなに危ないこともない。少々マナーの悪い、某大阪郊外の山の手、どこにいくにも自転車が不可欠なところで育った、元祖チャリラーの私には、こわくもなんともない。おかげで、NYに戻ってきてから、周りが呆れるほど、シティーバイクを活用してる。
自転車で街を走ってると、自分が街に溶け込んで、すっかり地元民になった気がして、「あぁ、私、ニューヨーカー!ここ、私の街。えへ。」という気分に浸れるのが、うれしかったりするし。(←ただの、おのぼりさん、ね。)

ロスにいたときは、とにかく渋滞がひどくて、昼の3時過ぎたら、自分の家の近く以外は行きたくないし、家の近くでさえも混んで動かないことが多いので、平日はすっかり出不精になったけれど、NYは平日でも地下鉄の混み具合はさほどでもないから、夕方から出かけるのも苦痛じゃないのがうれしい。ロスで友達に会うには、とにかくひたすら運転しなきゃいけなかったけど、NYは家の近くや地下鉄で出かけて、街中で友達と気軽にランチしたり、郊外に行くにも電車があるから、時間に乗り遅れさえしなければ、あとはゆっくり本を読んで、座ってれば、目的地に着くし、気楽なもんだ。

今年の冬は、ドカ雪が降ったりもしたけど、全体的には暖冬で、そんなに寒い日が続いたわけでもなかったので、まだよかったのかもしれない。それでも、やっぱり気候としては、カリフォルニアよりいいところはないだろうけど。

あと、カリフォルニアの、あの大らかでフレンドリーな気質に慣れたからか、前にNYにいたときよりも、今回帰ってきてからのほうが、知らない人にも笑顔でフレンドリーに話しかけるようになったと自分でも感じる。まあ、ロスに行く前は、長年NYに住んで大都会に揉まれて、心がすさみ、ささくれだってたのかもしれないけれど。こうやって、リフレッシュして、大きな心を持てるようになったってことにおいても、カリフォルニアに行ったことは、大きな意味のあることで、無駄なことは何一つなかったと思う。

長くなったので、今日はこの辺で。
次回は、仕事の話でも書くことにします。。。