元世界バンタム級1位石田匠現役引退。



いつの頃からかプロボクシングの世界タイトルがゴールでなく通過点と捉えられる様になり、実際軽々と奪取する選手、返上して転級~複数階級制覇をたやすく実現するチャンピオンが普通と化した現代にもなお、世界タイトルが遠く険しいボクサーは当たり前ですが無数に存在しています。



そんな選手群の中でも将来を嘱望されていたのが石田でした。



もし‥もし、石田が帝拳や大橋ジム所属だったならば。

国内で適当な相手との王座決定戦で世界チャンピオンベルトをその腰に巻いていたのかも知れません。


しかしそうだとしたら、おそらくボクシングファンの心に残るボクサーにはならなかったかな‥

と私は思っています。



しかししかし、そうは言っても・・・




以前石田が井上拓真に敗れた時にエディタウンゼントさんの「ほんのちょっとの差」の話を書きましたが、石田がほんのちょっとを乗り越えて世界チャンピオンになる姿を見てみたかった!

これが私の本音でもあります。



それにしても世界チャンピオンというのは不思議なもので、とるべきボクサーが獲れなくて、なんでこの選手が?というボクサーが戴冠する事があります。



それはその選手が過ごした環境であったり、時代にも大きく左右されるものです。


石田もそんな運命のあやで世界を掴めませんでしたが、掴めなかったけれどもそれと同等以上に輝いた存在、印象に強く残るボクサーとしてこれからもファンに語り継がれてゆくでしょう。




※佐瀬稔さんが御健在なら、きっと感情的ボクシング論に書かれていたであろう人間臭くて魅力あるボクサーでした。