このところ古いコミックスをよく読んでいます。



おもに昭和40~60年代頃の作品でジャンルは問わず、私が当時読んでいたものから思い出した作品を古本屋で漁って来たりしています。



最近読み終えたのは宮下あきらの

「ボギー the GREAT」。

のちに大ヒットした「魁!!男塾」の前に週刊少年ジャンプで連載されていた作品で、私が小学6年生の時でした。


私は宮下作品のなかでは男塾よりこちらの方が好きで、当時のジャンプは全盛期。

キン肉マンや北斗の拳、よろしくメカドックにキャプテン翼、Dr.スランプといった怪物作品に囲まれたボギーはあえなく短期でフェードアウトして行きました。


内容はハードボイルドな刑事の主人公が真面目な部下とのコンビでドタバタ劇を繰り返す‥という当時のテレビドラマ「トミーとマツ」を思い起こさせるアクション&ギャグ劇画でした。



そんなボギーや梶原一騎&川崎のぼるというゴールデンコンビが「巨人の星」の裏で世に問うた「男の条件」という漫画家志望の青年の物語。

そしてきうちかずひろのヤンキー漫画の代名詞となった「ビー・バップ・ハイスクール」。



これらの漫画のページを捲っていますと、読んでいた当時の自分の情景が浮かんで来るといいますか、タイムスリップした様な気持ちになります。

そして例えばボギーで言えば1984年の作品ですので、今からちょうど40年もむかしの話になる訳です。



その40年前のボギーのさらに40年前は1944年でまだ戦時中だったのか!


と考えて時間の長さを痛感したり、またはもう40年前の1984年には今と変わらない娯楽や文化が確立されていたのだな‥ 

等とりとめもない夢想をしながら読んでいます。



ただひとつ、懐かしい漫画を読んでも私はけっして



「あの頃は良かった。あの頃に戻りたい‥」


とは思わないのです。



よく昭和は人情があって良かった。

それに引き換え今の時代は‥

という言葉を耳にしますが、私にすればそんないいもんでもなかっただろ?と思います。



例えば私が子供の頃は他人に対して露骨な態度で拒絶反応を見せる人が多く居て、街で少しでも変わった風貌の人間が歩いていると指を差して笑ったり、あるいはヒソヒソ声で隣の人と話したり、振り向いたりしていました。


現在でも振り向いてまで人をジロジロ眺めているのは大抵が年配の人です。


これについてはプロレスの大巨人アンドレ・ザ・ジャイアントが、日本人は笑いながらヒソヒソ声で話してジロジロ見るクセにこちらが目を向けると目を逸らすからから嫌いだ!

と言っていたインタビューをどこかの雑誌で読んだ記憶があります。



そういえば今の多くの若い人は露骨に他人を見て笑ったりからかったりしません。



当時は太っている人が歩いていたら「お?デブや😁」!あまり綺麗でない女性が通ると「ブス😁」と平気で本人が聴こえる大きな声でからかう場面をよく見ましたが、今はほとんど見ません。


一見分別が解る若者が多くなった様に感じます(あくまでも一見)。



また、人情も確かにいまよりコミュニケーションを取らなければ生きて行けないぶん感じる事もありましたが、だからこそ逆に陰険な人間と直接関わる機会は格段に多く、私自身も今でも忘れられない理不尽な仕打ちを赤の他人にされた記憶があります。


ま、そのヒソヒソや指差しが現在はネットのSNSで行われていると考えれば大して変わってないとも言えるのですが。



これらは私の体験からのほんの僅かな例ですが、要するに昭和はそんなに良いもんでもねえよ。

という事で、

漫画もボクシングもプロレスも野球もクルマも歌謡曲も。



あの頃の方が格段に面白かった!



と私も思いますが、あの頃に帰りたい…

とはまったくならない訳です。



来年は昭和100年。

いよいよ本当に大昔の話になって行きますね。