1988年6月27日。
アメリカニュージャージー州アトランティックシティコンベンションセンターで統一世界ヘビー級タイトルマッチが行われました。
当時観ていたファンの方なら言わずと知れたマイクタイソンとマイケルスピンクスの無敗対決です。
今から36年も前の事ですが、毎年この6月27日が来ると必ず思い出します。
昨日、現代の統一ヘビー級チャンピオン、オレクサンドルウシクがIBFタイトルを返上するというニュースが報じられました。
これでまたヘビー級から比類なき王者(アンディスピューテッドチャンピオン)が消えた事になります。
タイソンの時代にはまだWBOは設立されたばかりで統一王者のカウントには入っていませんでした。
ですので当時フランシスコダミアニやレイマーサーといったWBOチャンピオンはものの数と認識されておらず、私の印象では徐々に認知されて行った1990年代半ばを過ぎ、タイソンが刑期を終えカムバックしたのちのヘンリーアキンワンテやハービーハイド‥
いや、もっと先のクリチコ時代までヘビー級に関しては明らかに「格下」のイメージでした(ヘビー級以外のクラスでは90年代半ばのナジームハメドやオスカーデラホーヤらの活躍で遜色無くなっていました)。
それほどヘビー級というのは別格で、1992年にマイケルモーラーが史上初のサウスポーヘビー級王者誕生!と騒がれた時も「え❓WBOやん」と私は思ったものです。
話を戻してタイソンがマイケルスピンクスと闘った時のヘビー級チャンピオンというのはまさに真の世界一であり、その前年に長く続いた混乱のヘビー級を統一したばかりのタイソン全盛時代真っ只中でした。
リング上にはザ・グレーテスト、ザ・ヘビー級チャンピオンモハメドアリが立ち、万雷のアリコールを受けて二人の闘いを見届けました。
そのアリがマイケルの兄レオンに王座を奪われてから10年の時が流れていました。
そうです。この時のタイソンはレオンスピンクス以来のアンディスピューテッドチャンピオンだったのです。
統一世界ヘビー級チャンピオン。
この称号はボクシング界最大の称号であり、最高最強の証しです。
アンディスピューテッドチャンピオンというのは=世界ヘビー級チャンピオンの事を指します。
ヘビー級以外の統一王者の事ではありません。と私は勝手に認識しております。
それだけにウシクのIBFタイトル返上は残念ですが、それ以上に闘わなくなったヘビー級を活性化させてくれ!
私の望みはそこにあります。
タイソンが36年前のスピンクス戦という当時最大のスーパーファイトを迎えるまでのスケジュールを振り返れば私の言っている意味が伝わるかと思います。
タイトル初獲得のバービック戦からスピンクス戦まで僅か一年半の間に
1986年
11月 トレバーバービック (WBC獲得)
1987年
3月 ボーンクラッシャースミス (WBA獲得)
5月 ピンクロントーマス
8月 トニータッカー (IBF獲得 王座統一)
10月 タイレルビッグス
1988年
1月 ラリーホームズ
3月 トニータッブス
そして6月にマイケルスピンクス…
実に8試合!
単純に3ヶ月に一度は必ず試合をしているというまさに戦うヘビー級チャンピオンでした。
なんてムチャな…
現代とは時代が違うんだよ時代が‥
というありきたりな既成概念は横に投げ飛ばしたい。
私はやはり世界最強の男がヌクヌクと闘わずに世界一を名乗っているのはおかしいと思っていますので、いまのヘビー級の不活性な状況はまるで見ていられません。
こんな状況だから新しい風も中々吹かない。
タイソンみたいに3ヶ月に一度とは言いませんが、
せめて年3試合。4ヶ月に一度はヘビー級チャンピオンの登場を観たい。
リング外の選手やプロモーター同士の駆け引きや引き延ばしでどれだけのビッグカードが幻と消えた事か‥
アンソニージョシュア VS デオンテイワイルダーなんて本当にアホな事したよなあ~
と今でも悔やまれます。
いまの世代、ウシクやタイソンフューリーももはや40歳手前。
ある意味試合を行わないうちにこの歳になっていたという不活性な現代ヘビー級を象徴する年齢でもあります。
そうではなく、次の新しい世代では戦うヘビー級チャンピオンの復活を期待したいですね。
36年前のタイソンの様な若くて、眩しくて、輝く統一世界ヘビー級チャンピオンを。
※36年前、この試合を学校の授業中に先生がクラス全員を視聴覚室に連れて行って、みんなで生中継を観た出来事は、いま振り返ると夢の様な体験でした。
当時の担任の先生には感謝しかありません