むかしむかし私が二十歳ぐらいのころ、スーパーファミコンのシミュレーションゲームで信長の野望というのがありました。
全国の武将を選んで国を統治し戦国の世を統一して行くという内容で、これがなかなか奥が深く、例えば干ばつが起きて不作になり農民が一揆を起こす。はたまた有力な他国の武将を引き抜いたり引き抜かれたり…
等々戦闘以外にも様々なイベントがあり、当時の私は昼夜問わず空き時間には必ずプレイしていました。
そしてこのゲーム。次々と敵大名を制圧し、国の領土を拡げ、ついに全国統一を果たしたあともエンディングにはなりません。
統一したあとはただひたすら民衆の声に耳を傾け、太平の世が続く作業を続けるだけ‥ という退屈極まりない状態になり、ついには飽きてプレイしなくなって行きます。
いまの井上尚弥を見ていると、まるで信長の野望だな。と思うのです。
もうスーパーバンタムではめぼしい対戦相手もなく証明する事もない。
ボクシングにはAサイド・Bサイドという概念がありますが、超Aサイドと自認する割には、
「挑戦させてやる」と見下していたBサイド指名挑戦者の気まぐれに振り回され、最後のライバルだったはずのアフマダリエフは沈黙。
カシメロも視界から消え、代わりに出て来たのはロートルに差し掛かった37歳の元チャンピオン。
私はいまこそ亀田和毅の出番だと思うのですが、
固定観念と既得権に凝り固まった日本ボクシング界ではその発想すら浮かばず、
役不足。
立場をわきまえろ。
亀田と井上を一緒にするな。
クラスが変わったのに出来る訳ないだろ。
あなた、指名挑戦者の意味をおわかりですか?
etc‥
仮に話が出たとしても、あらゆる罵詈雑言を正当化させ、全力で否定するでしょう。
しかも観ているファンの側からというのがまたタチが悪い。
亀田はきっと井上が挑戦を受けるならウェイトを落として来るし、武居がバンタムへ落とすよりよっぽど理屈が合う。
井上尚弥 VS 亀田和毅なら再び東京ドームが出来ますよ。
信長の野望状態のいま、自分の庭ではグッドマンやドヘニーが限界…
というのが見えてしまった以上、井上に見るべきものは何もない。
残るはクラス転向か。呉越同舟か。