映画「ロッキー」シリーズでライバルのアポロ・クリードを演じた俳優のカール・ウェザース氏が亡くなりました。


以前にも書きましたが、私がボクシングを観始めたきっかけが「ロッキー4」でした。

それはもう衝撃的で、今に至るまでボクシングを観続けているのはこの映画、そして同時期に日の出の勢いで登場したマイク・タイソンのおかげです。


映画の中でかつて一時代を築いたアポロが、ソ連からやって来たイワン・ドラゴを迎撃すべくカムバックし、為す術なく命を散らしてゆきます。


アポロのモデルはモハメド・アリですが、私はその頃タイソンに挑戦したラリー・ホームズにこそアポロの姿を重ねて見ていました。

何故ならホームズもまた、かつては無敵だった名チャンピオンで、超新星の如く現れたタイソンへ挑戦する為にカムバックして来ていたからです。


そして結末は衝撃的なノックアウト負け。


まだボクシングを知らなかった私でしたが、

時代の交代、栄枯盛衰を本能的に感じ取る事が出来ました。


アポロとホームズが時代の流れに抗う姿こそボクシングの大河ドラマとしての魅力だと教えてくれたのです。


フィクションと現実の違いはありますが、二人は真実の世界ヘビー級チャンピオンでした。



それだけに先にも記しましたとおり、最近のビッグビジネス化し過ぎた為に試合間隔が空きタイトルマッチが殆んど行われない状況は、綿々と歴史を繋がれて来たボクシングを線から点にしてしまいました。


単にその時その一瞬にどちらが強いか?を決めるだけのテレビゲーム化している様に思えるのです。


そこに物語はありません。


特にボクシング世界ヘビー級チャンピオンベルトは誰がなんと言おうと世界最強の証。王様です。

この王座に君臨する者は



“歴史の物語を紡いでゆく戦うチャンピオン”


でなければならない‥と私は考えます。


最近は戦うチャンピオンという言葉が廃れてしまっています。

井上尚弥なんかを見ていても年に二回試合したらいい方といった雰囲気です。


今の多くの世界チャンピオン達はその意味でチャンピオンたり得ない。


気まぐれで時々試合をするだけでは駄目なんです。


ボクシングの象徴であるヘビー級がそれでどうする?戦わないヘビー級チャンピオンなんて校長室の歴代校長肖像と変わらない。



戦え!世界ヘビー級チャンピオン!!!