いよいよ井上尚弥VSマーロン・タパレスのスーパーバンタム級王座統一戦の当日になりました。


しかし新聞ネット・専門誌・SNS等での予想は楽勝、もしくは圧勝(同じ?)

または明白な井上の勝利(同じ??)。

全盛期のマイク・タイソンと同じで、始まる前からタパレスにとってポジティブな情報や予想が殆んど無く、読み物としても勝負論としてもまったく読む気も起こらずつまらないです。


元来勝ち馬に乗れず、心情的にどうしてもタパレスに肩入れしてしまうひねくれ者としては、


『出る前に負ける事考えるバカいるかよ!

出てけコラァ』!!


アントニオ猪木じゃありませんが、そんな気持ちです 笑



そこで、私が観てきた過去の世界タイトルマッチで明らかに一方が楽勝または勝利を予想されていた試合の中から印象に残るファイトを思い付くまま紹介したいと思います。



先ず思い出すのが2016年4月に行われたWBA世界Sフェザー級 内山高志VSジェスレル・コラレス

第一戦。

当時の内山はニコラス・ウォータース戦が噂される等、日本国内から本場アメリカの舞台へ駆け上がる事を期待されていた中でのコラレス戦決定でモチベーション低下が危惧されていて(観る方もまたかよ感が半端なかった。ジェスレルってなんやねん?と)。まさに心此処にあらずそのまんまという試合展開で呆気なく王座転落しました。


大晦日の再戦はいてもたっても居られずに神戸から観に行きましたが、もうそこには私の知るノックアウトダイナマイトの姿はありませんでした。


続いては2010年4月、当時バンタム級で無双を誇っていた長谷川穂積がフェルナンド・モンティエルに乱打されストップされたWBC世界バンタム級の一戦。

この試合当時の長谷川はまさに全盛期で、個人的には今の井上に匹敵する真剣の切れ味を持っていたと思っています。

それだけにWBO同級王者であったモンティエルを実力者とは認識していましたが、長谷川が敗ける事はまず無いだろうと踏んでいました。


しかし結末は皆様ご存知の通り‥

勝負の、ボクシングの一瞬の恐ろしさをまざまざと見せつけられた忘れられない闘いでした。


そしてもっとも印象に深く刻まれているのが、

1990年2月のタイソンVSジェームス・バスター・ダグラスではなく(この試合は寮に居た為残念ながら生では観れなかった)、同じタイソンでも1996年11月のイベンダー・ホリフィールドとの一戦です。


この試合こそ、私がタイソンをきっかけにボクシングを観始めてからずっと待ち焦がれていた闘いであり、紆余曲折を経て実現したスーパーファイトでした。

しかし当時のホリフィールドは歴戦の疲れが隠せなくなり、リディック・ボウとのラバーマッチに敗れた後で “終わり掛けた選手”であり、戦前の予想はタイソンの圧勝でホリフィールドに引導を渡すといったものが大半でした。


実際この頃のタイソンは前年に刑期を終え出所してから僅か一年あまりの間にWBCとWBAの世界ヘビー級タイトルをあっさりと奪還し、かつて日の出の勢いで登り詰めた頃の再現を見るかの勢いでした。


それでも遂に実現した夢の対決に、この頃まだ高嶺の花だったWOWOWの中継が流されていた梅田の阪急イングススポーツコーナーに当時住んでいた京都から観に行きました。


試合は決意と覚悟を持ったホリフィールドが逃げる事なく真っ向からタイソンと撃ち合い、タイソンをメッタ撃ちにして奇跡の王座奪回を果たしました。

第6ラウンドでしたか、タイソンがふっ飛ぶ様にダウンした場面でゾワゾワ~っと鳥肌が立った事を昨日の事の様に思い出します‥


そんな訳でボクシングというのは時として、それがたとえどんなに低い確率だとしても予想だにしなかった事が起こりうる。また、そんな試合を目撃出来る事こそが私がボクシングに魅せられて来た大きな理由のひとつです。

はなっから圧勝楽勝の予想になんの楽しみや面白さがあるんだ?と。


今夜の闘いでもそんな予想を覆す試合が見れたら‥

と夢想せずにはいられません。

タパレスがんばれ!!!