NPBの補強期限が31日と残り1日となるが、カープに補強の動きはない。

実は佐々岡政権3年目を含めて、カープは前半戦を3年連続で2位ターンしており、首位を狙える位置でいつも前半戦を戦えているのだが、2年連続で後半戦に失速して差を付けられ、佐々岡政権ではAクラスからも滑り落ちてしまった。

新井政権1年目も9月には大失速で辛うじて2位という形で終わり、今年も2年連続1差で折り返すが後半戦いきなり負け越して3差と、例年のように失速しつつある。

 

本来であればこれだけ優勝の可能性に近づいている監督を、オーナーが資金をアシストしフロントが選手を整えるべきである。

今年に至ってはレイノルズ選手が相次ぐ怪我で解雇となり、本来の補強から1枠野手が削れている状態である。

だがレイノルズ選手、シャイナー選手、ハッチ投手の3人の助っ人で総額335万ドルかけたが、これはほぼ全て損失と言っていいだろう(ウェーバー公示は契約解除なので、少しだけマイナス幅は減っている可能性が高いが減らせるのは年俸分だけで、総額には減らせない契約金も含まれている)

 

ちなみに335万ドルは約5憶1500万円(現在のレート換算)

5億円の損失というのは、12球団で唯一の独立採算制で運営する球団には非常に重たい物であるのだが、CSを主催出来て日本シリーズに出れば取り返せると補強に動くかと思ったが、残念ながらその動きは全く見えない。

今年のオフにはマツダスタジアムのスタジアム改修(客席を全面的に入れ替え、さらにLED照明対応にするそうで、既に企業の落札は終わりオフシーズンで工事が行われる)も予定されているという現状や、新井政権に対する地元ファンの期待値の低さからかセリーグでは最小の来場者数と苦しい状況も相まって、補強という動きが出来ないのかもしれない。

 

鈴木誠選手をポスティングで売却した費用が少しは残っていると思っているが、その費用は今年の助っ人失敗の損失の穴埋めに使うと考えると、もう補強はなさそうである。

 

ならせめて、今シーズン代打でわずか1安打の田中選手や、7月の成績が打率000になっている松山選手を代打起用する位ならば、2軍で徐々に打球が上がって率も残って来ている林選手を昇格させるなどして、パワーを補うべきであると思うのであるがなぜかこちらが入れ替わる様子もない。

 

巨人は助っ人を2名も途中補強したが、最近補強したモンテス選手も打高リーグのPCLでの数字であるが、彼はそのリーグで首位打者である。

補強費用も年俸約50万ドルと途中補強としては割高ではあるが、昨年カープにいたデビッドソン選手もPCLでは3割を超えていたのである。

それよりも数字が良い選手を補強するというのは理に適っていると思うのであるが、なぜカープはデビッドソン選手に飛距離以外は3AのPCLで何も勝っていないシャイナー選手の補強となったのか?

上回っている選手を補強したがハズレでしたとか、怪我でダメでしたという事であれば仕方ないと思うが、レイノルズ選手はマクブルーム選手よりはメジャー実績はあったが3AのILで比較すると中距離ヒッターであった。

シャイナー選手はPCLで258という低打率であった。

それで失敗でした、でも日本に合う・合わないは分からないから仕方ないよねで終わらせているから、ここ数年全く良い助っ人野手を補強出来ないのではないだろうか?

 

良い助っ人を見つけるのが出来ないのであれば、2016年の開幕前のように他球団で成功した助っ人を補強すれば良い。

ルナ選手を補強した時は彼は怪我は多かったが、実は怪我をする前はカープの4番を務めていたわけで、サードの穴を埋める活躍も見せていた。

 

今年は前年パリーグ助っ人野手で1番指標が良かったマキノン選手が取れるタイミングが開幕前、そして7月と二度もあった。

長打力という点では微妙な評価で韓国リーグをウェーバーでかけられたが、今のカープは長打力は元々ない。

だが代打陣の攻撃力もないので、アベレージ型であってもマキノン選手の補強は打てる手では1番可能性があったように見えた。

3Aからしか取れる資金力がドル高の今はないという事は理解するが、探して良さげな選手がいないならフリーの経験者を取るという手はあったのである。

それをやれなかった時点で、スカウトの失敗だったと反省が必要であろう。

 

またシーズンオフにソト選手(現ロッテ)に335万ドルの内の大部分を注ぎ込んでファースト固定としていれば、今のチームに4番がいないという現状は回避出来ていただろう。

シャイナー選手が今は1軍にいるが打率は1割台であるし、スタメンであっても打てる打順が8番ではとても補強になっていない。

それでもトレード、経験者の補強という言葉が全く出てこないまま期限を迎えるというのは、オーナーに本当に優勝・日本一を目指すという気持ちがあるのだろうかと多くのファンは感じているだろう。

たった12チームしかいないリーグで40年日本一になれていないというのがどれだけダメな事か。

 

数少ない戦力で優勝争いを頑張っていると新井監督の手腕は分かるが、神宮サヨナラ負けの時の栗林投手のコメントで「2塁ランナーが動いたように見えてクイックで投げたら打たれた・フォークで良かったのか悔いが残る」という言葉があったが、あの場面は2アウトであった。

長岡選手は初戦もフォークを初球から振りに来ていた。

この2点を考えれば、打者を打ち取れば勝利という状況だったのに、なぜその状況でクイックにしてしまったのか?

その冷静さを失っている、そして全員にフォークを狙い打たれているという点を見れば、フォークのフォームに癖があり見抜かれていると見るべきであろう。

それを首脳陣が全く気付けていない、あの場面はコーチが行く事は出来なかったし、矢野選手もタイムを使っていたので行く事は無理だった。

だがベンチが石原捕手に間を取り集まるようにすることは回数的には出来たはずである。

2アウトだから打者集中を伝えるように指示していたなら、初球フォークをクイックで投げるという事が起きていただろうか?

 

こういう所を見ても、3ゲーム差の巨人を追いかけるのは今のカープでは非常に厳しいように見えてしまうのである。

それを打破する補強という事に期待していただけに、補強なし、月曜日に登録抹消なしという形は、本当に残念であった。

 

育成のドミニカアカデミー勢の野手も2軍で大苦戦しており、海外スカウトが1人でも2割5分打ってくれる助っ人を見つけてくれていたならばと、思わずにはいられないそんな1日でした。