無敗で防御率0点台の大瀬良投手を立てて、絶対勝たないといけないという試合を迎えたカープは、初回のチャンスに坂倉選手が併殺打といつものようにチャンスを潰すと、そこからはランナーも出ないといういつものパターンに陥る。

 

大瀬良投手は立ち上がりが良かったが、3回裏に投手の梅津投手にヒットを打たれると、シーズン1割台の岡林選手にもヒット。

田中選手にもヒットで満塁となると、福永選手に犠牲フライを打たれ連続無失点記録がチーム1位になる前にまさかの形で途絶えてしまった。

 

4回表に四球とヒットで久しぶりにチャンスを広げたが、小園選手と二俣選手で返せずに終わると、4回裏にはプロ通算1本塁打の板山選手に被弾。

プロでたった2本しかホームランを打っていない選手であるが、その2本は全て大瀬良投手からというのは、もう相性・研究不足としか言いようがないだろう。

 

その後は粘って投げたが、味方の援護は6回表の秋山選手のヒット、矢野選手バントからの暴投での一気にホームインの1点のみ。

今年の中日戦は本当に得点力不足に悩み、敗れている試合は全て1得点以下という状態である。

 

7回表から中日は継投に入るが代わった投手からも出塁すら出来ず、8回に秋山選手がエラーで出塁はしたが矢野選手が打ちとられ凡退。

8回裏の森浦投手は内野安打を許したが盗塁を刺して望みを繋いだ。

 

◆8回表の運用、9回表の戦略、この失敗に対戦成績3勝8敗の理由が凝縮されている。

 

最終9回。

中日の絶対的守護神のマルティネス投手が出るが、野間選手が四球で出ると代走に羽月選手を起用。

さらに坂倉捕手も四球で明らかに制球に苦しんでいる状態であったが、小園選手にスパッと送らせ1アウト23塁を作り上げた。

だが昨日の試合で髙橋投手のストレートを外野に運んだ二俣選手を、代打松山選手で交代してしまったのである。

髙橋投手とマルティネス投手はストレートが158キロ前後出て、落ちる球があり防御率0点台の右の投手という共通点が多数ある。

昨日の試合を見ていたら、誰もが二俣選手を我慢して伸るか反るかをやってくれることを期待しただろう。

だが新井監督は松山選手を切った。

 

交流戦終了後にセリーグに戻ってから、ほぼ毎試合代打で出ているのだが安打はたった1本しか打っていない。

さらに以前の中日戦(6月21日)で全く同じ状況で起用して、その時は1点はどうぞという守備をセカンドとファーストがしていたが、その結果はショートゴロで点が入らなかった。

今回は全員が前進守備であり、前の時よりも厳しい条件で投手も厳しい相手であった。

なぜ代打を選択したかと言えば、マルティネス投手が右より左の方が被打率が高いからという事なのだろうが、松山選手は左の相手の方が打っている。

二俣選手は右の数字が悪いのであるが、今月は2割8分を超えている。

 

ストレートに強い選手がほとんどベンチにいない中で、昨日の試合を見ていたら今頼りに出来るのは、秋山選手、二俣選手、中村奨選手の3人しかいない。

その3選手をマルティネス投手に使えるような運用が求められたのであるが、8回表1アウトランナーなしの場面で中村奨選手を切ったのである。

そこを松山選手を切るで良かった。

状態が交流戦終了後から落ちているので、使う場所を大きく失敗している。

 

松山選手を選んだ結果は、外野に飛ばせないサードへのファールフライ。

次が得点圏打率1割の菊池選手と考えたら、守備の体勢を見て羽月選手がギャンブルスタートを切っても仕方ない状況であった。

だが良い送球をホームに送られタッチアウトで試合終了。

 

二俣選手を信じてそのまま使い、次の菊池選手で代打松山選手であればまだ納得できる起用であったと思う。

もしくは8回表に中村奨選手を使っていなかったなら、あの場面で中村奨選手を使い外野に飛ばして貰うという可能性に賭けれた。

あの場面で外野にフライが最近飛ばなくなっている松山選手を選択したのは監督の采配ミス、スコアラーの進言ミスであると言い切れる位の大失敗であった。

 

相手の守備が良かったし、ナイスチャレンジであったと走塁部分に関して新井監督は評価していたが、マスコミ側も「なぜ昨日ストレートの速い髙橋投手から外野にボールを打った二俣選手ではなく、リーグ再開後1安打に留まる松山選手を選択したのですか?」と聞けないマスコミでは彼らもこの試合をどう見ていたのか?と思わずにはいられない。

 

打てる打てないは結果論という事を思う人も多いと思う。

あの場面で二俣選手が打てたかはそりゃ分からない。

だが前日のストレートの速い髙橋投手に対して、振り負けていなかった選手は今のカープには3人しかいなかった。

だが秋山選手に打順は回らない、中村奨選手は既に使ってしまった。

残る最後の1枚だった二俣選手を最後まで我慢できず、一方の立浪監督は明かに状態が悪くても最後までマルティネス投手を交代させようという動きはしていない。

この信頼の差が、最後の差になっていると私は思う。

 

得点圏打率が2割ない次の菊地選手に松山選手を起用ならそれは間違いではない。

松山選手は27打数6安打で2割2分2厘。

菊地選手は57打数7安打で1割2分3厘だからであり、この順番だったなら打てる手を首脳陣は打って負けたから仕方ないとブログで書いている。

 

だが二俣選手は得点圏打率も12打数3安打で2割5分であった。

もっというならば、最近不振とは言えバントを命じた小園選手は68打数21安打で3割9厘である。

 

結局得点圏での確率が最も下がる選択肢であった、代打松山選手、菊池選手そのままでマルティネス投手に行こうという采配より、12塁は得点圏だから小園選手から打たせる、あるいは二俣選手にそのまま行かせてネクストに松山選手を置く。

これなら敬遠で満塁策になっていた可能性すらある。

満塁であれば菊池選手そのままでスクイズなんて作戦もあっただろうし、もっと色々出来た。

 

ここでの松山選手起用には何の合理性もなかったし、2週間前(6月23日)にもマルティネス投手に代打起用して打ち取られている。

その時は外野フライであったが、その時と同じことをしてくれという時に中日戦では出来ていない姿が2週間前の21日にあったのである。

そこの反省が出来ていたならば、こういう起用にはなっていない。

 

5日の金曜日の試合も1点どうぞという守備を2ストライクまでしていた中日サイドに対して、空振りして追い込まれた堂林選手も含め、プロで10年以上やっている選手が最低限で1点どうぞという相手に対してその打球を打つことが出来ていない。

 

当たり前の事を当たり前に出来ていないからこそ、この対戦成績になっていると私は思う。

やるべき事をやれていないからこそ、中日サイドが安打数でも凌駕している試合が多いし、点数も相手の方が多く取れているのである。

 

不振の選手が多い事は理解しているし、その前までの巨人、阪神、中日が7試合連続で表ローテの投手を起用しているのだから、苦戦して苦しくなるのも理解できる。

だがそれを乗り越えて行かないと、優勝という二文字は夢のまた夢になってしまう。

 

今週の阪神、中日6連戦で勝ち越せるなら、前半戦首位ターンは出来るだろうと書いたが、大きく負け越しついに2位とは1差である。

DeNAが敗れたので首の皮1枚で首位であるが、4位とも2差と苦しい状況に追い込まれている。

 

2017年の時に7月6日の段階でカープは首位であったが2チームに負け越していたが、7月7日にヤクルトから大逆転勝利をして優勝に突き進んだという例がある。

この七夕の奇跡の再来を明日出来るか、出来ずに他球団に追いつかれるか。

明日の試合はカープが優勝争いに残れるか、落ちていくかの分かれ目になっていると感じている。

若手の矢野選手を起用し続けて良い選手に成長して来ているし、もしかしたらゴールデングラブ賞もあるのでは?とプロの他球団のOBからも絶賛される選手になった。

だが守備が良い選手以外は、新井監督が我慢した若手は開幕直後に対戦一回り使い続けた田村選手ただ一人である。

 

だがストレートに強い選手であれば、我慢して使い続ければ中日の4番を務める細川選手のように、二俣選手も大きく飛躍する可能性を感じている。

中村奨選手を我慢するのは2年連続の週刊誌報道で難しいと首脳陣が思うのであれば、なら二俣選手はスタメンで使った日は最後まで交代せずに使い続けて貰えないかと感じる。

若手を育てないといけないのに、勝負所で毎回交代では成長に限界がある。

あの大チャンスで二俣選手に託した姿をファンは期待していた。

新井監督も自分の目でスタメンに選んだのだから、最後まで二俣選手にかけるべきであった。

あの場面で二俣選手に代打を送った瞬間、カープに近づいた勝利の女神は去る事を決めたように私には見えたのである。