冴えない彼女の育てかたfineの特典小説の中身を気にしているファンも多いだろう。

みんながみんな、すべての週で映画に行けるわけではないですし。

 

今回は8週目の特典配布に突入したので、ネタバレしてもいいだろうという判断で特典小説の中身について触れていこうと思う。

もちろん全部に触れるわけではないが、感想兼中身という枠で書いていこうと思う。

 

ちなみに4週目だけは私は持っていません。

値段が高いですし、内容的に無理してまで購入という枠にはならなかったというのが大きな理由です。

 

ネタバレ勘弁な方はここでUターンをお願いします。

まあ「ネタバレ」で検索してきていると思うのですけど。

 

◆1週目「One Year Later(Amazonの相場3500円前後)」

 

小説部分は3P目から23P目までとなっている。

 

1年後の2月下旬、喫茶店で1年浪人した大学に合格した倫也と既に大学1年生になっている恵のいわゆる合格祝い?という名のイチャイチャの展開が進む。

倫也の浪人の期間は「1年間のサークル活動休止」という言葉で触れられているように、作品の制作は全く行われていなかったと考えるのが妥当だろう。

喫茶店でイチャイチャを終えた二人は、いわゆる最初に出会った坂を並んで上っていく。

そしてサークルでの活動再開の展開を話し合う。

映画のエンドロール前のラストに出ていた「冴えない彼女の育て方」を超える作品を作ると意気込む倫也であるが、ジャンル、そして同人か商業かと行ったこの先のサークルの在り方を真剣に考える。

その理由は、英梨々と詩羽がコンビを組んだ小説「世界で1番大切な私のものじゃない君へ」という作品の大ヒットで、大きな差がついてしまったからというのが理由である。

変わらないと追いつけないと語る倫也だが「変えない物が1つだけある」と恵に宣言する。

「胸がキュンキュンするヒロインを追い求める」という部分である。

そんなやり取りを受けた恵は、「でもメインヒロインに頑張ってほしいなら、主人公だって頑張るべきだと思うんだ」と倫也に反撃する。

その後の二人のやり取り部分に関しては、ぜひ入手して読んでもらいたい。

 

◆2週目「Two Years Later(Amazonの相場1000円以下)」

 

小説部分は3P目から23P目(23Pは1行のみ)となっている。

 

2年後の成人の日。

いわゆる成人式の現場で倫也はアニメで登場も映画では出番0だった親友喜彦と再会し弄られている。

「澤村さんと加藤さんとどっちと付き合ってるんだ」と質問されているが、そういう些細な話題の中で「加藤さんは見つけられなかった」と存在感のなさを示していた。

俺も探しているという倫也であるが。

 

その頃、加藤さんこと恵と、澤村さんこと英梨々は、英梨々が美術部で使っていた準備室で晴れ着の恵をモデルにして絵をかいていた。

美術部時代から使われていた部屋は、基本的に誰も立ち入りをしないという設定が原作にあって、そのまま卒業後も残されていたようである。

そして恵と英梨々による言葉のキャッチボールという名の戦争が始まる。

 

英梨々「恵の場合は18歳でもっと大切な物を解禁しちゃったけどね」

恵「えっ」

英梨々「選挙、あたしはまだいけてないけどね。もしかして何かと勘違いした?」

 

こんなジャブから始まっているのであるが、その後は近況と愚痴という展開が進んで行ってからようやく前の1週目の本質に触れられている。

恵「羽島君と二人(倫也)で色々やってるみたい」

英梨々「羽島と!それってまさか(いわゆるそっちの系の話)」

恵「違うから、多様性関係ないから」

恵「税理士さんとか経営者とかに相談乗って貰ってるって」

英梨々「つまり」

恵「商業化狙ってるんだ」

 

サークルの方向性が同人から商業へと定まったというのがここで明らかになった。

 

そこからは業界の闇みたいな話の後、恵と英梨々の互いへの嫉妬が見え隠れするやり取りが続く(ここはぜひ現物で見てほしい)

そしてお互いの精神衛生上、年に2度はあって状況確認をする事で話がまとまる。

お互いの誕生日の翌日という日程で。

 

そして英梨々の最高傑作だわという絵が完成する。

「一般向けばかりでこういうのを中々かけなかったから」という中身は半脱ぎ状態の絵。

「何てものを書いてるの」という恵に、「その方が倫也喜ぶでしょ」という英梨々。

最後に少々のやり取りが入って、「あんた、そういう所よ恵」と英梨々に呆れにも近い言葉を言わせる正妻ぶりを見せつけて話は終わった。

 

◆3週目「Three Years Later(Amazon相場1000円前後)」

 

小説部分は3P目から23P目。文章量が多めになっているお得な回。

 

原作の話から3年後、私立大学の前で詩羽を待っている英梨々が呼び止める所から話が始まる。

 

「ドライブがてらご飯でも食べに行こう」という英梨々が、外交官の父親の車を借りてきたという常識離れした中身が描かれている。

「免許をいつ取ったの」と驚く詩羽に「先週」と言ってのける英梨々。

そしてそのままドライブがてら、1週目の小説で触れられた作品の話になる。

 

話の内容は、「世界で1番大切な私のものじゃない君へ」という二人の作品の実写版が、英梨々も詩羽も顔見せでほぼノータッチ、原作編集長の町田さんが激怒する内容であったこの実写版の興行収入がものすごく高い大ヒットという、業界あるあるを描いているのであるが、なぜこの二人がその話をするのかというと劇場版が出来る為であった。

 

作品の登場で評価がバラバラであるという部分の話が続いているのだが、女性にそこまで受けるとは思わなかったという詩羽に対して英梨々の評価が非常に面白い。

「別に以外でもなんでもないわよ。あんたって基本乙女なんだから」

「今までのあんたはそれをたった一人の男の為に書いてただけだから男性受けが良かっただけ」

「そんなあんたが乙女思想を駄々洩れさせれば、女子の共感を集めるのは当然よ」

 

この評価は攻めも入れつつ、評価している姿が出ている。

 

英梨々「負け犬の心理描写がとっても秀逸だしね」

詩羽「いいモデル(英梨々)がいたからだけどね」

 

こういうやり取りを出来る関係にすっかりなっていたのである。

そんなやり取りの後、朱音を倒す足がかりが出来たという話から、思い出の地に進む。

そこからの話は現物でという風にして省略して、その後英梨々に新しい仕事が舞い込んで来た話になる。

3~4年は拘束される大きな仕事というが、英梨々自身はいわゆる知り合いがいない仕事をしたことがないので迷っていた。

 

でも詩羽とのやり取りで仕事を受ける事を決断。

二人のコンビは発展的解消となるが、次に会う時は「blessing software」でねとなって終わる。

「オファー来るのかしら」という詩羽に、「来るわよ、法人化したって」という英梨々。

最後はタイヤを溝に落とすという事故を起こす笑える要素を作って話は終わった。

 

◆4週目は持っていないので省略。

 

◆5週目「Five Years Later(Amazon相場2000円前後)」

 

小説部分は3P目から22P目。

 

法人化により株式会社化された「blessing software」は5年後の8月、仕事をしていた。

同人の時のメンバーがそのまま社員になって、映画のラストシーンで言われていた「社長」「副社長」という立場もこの5年後になっていたのが描かれている。

自分たちのオリジナルゲームを制作中であったが、他所が逃げ出したソシャゲのサルベージをやる事に。

マルズが持ち込んだこの依頼を達成すれば、次は制作中だった自分たちのゲームをマルズの販路で出せるという事であるが、それを持ち込んだのが羽島であり恵との言い争いが続いたりした。

正直詳しいやりとりは現物を見てもらいたい所であるが、説明部分が多いので他の週に比べると面白いと言えるかと言われると、正直な感想では微妙な所である。

 

その後、美智留が「加藤ちゃんと羽島兄ちゃんはこの会社以外に逃げ場がない」といういわゆる逃げ道のなさを指摘していたが、恵による「次の就職先を静岡に手配している」という事実を示して倫也を焦らせる部分が見所であった。

 

最後は恵と倫也が一緒に風呂に入っているシーンと、美智留が倫也の実家の鍵を取り上げられた事に触れられて終わっている。

 

◆6週目と7週目「Six Years Later Part1.2(amazon相場6週目1400円前後、7週目2400円前後)」

 

小説部分 6週目3P~22P(22P目は2行)

7週目3P~22P(途中にイラスト1P入り)、23P目はあとがきの説明入り。

 

6週目と7週目はセットで1つの作品と見なした方が良いと思う。

 

6年後。

恵はお盆で再会した親族たちとの会話で孫の顔だの結婚だのというツッコミを姉から受ける。

従兄弟が娘が生まれてバカ親になってしまったことで、両親のプレッシャーを姉妹が感じ取っているという現代でありがちな親族問題が起きていた。

 

一方で墓参りという名目で帰省した倫也は、氷堂家(美知留の苗字)の一族による攻勢にあっていた。

何とか矛先を逸らそうと美智留がメジャーデビューした話題を出すが、あえなく失敗する。

そんな中で面白かったのが、美知留の父による「倫君はこんなに立派になったのにうちのはずっとこんなんだから」という攻めであった。

さらに爆弾発言として「倫君の父親とは二人が結婚するという方向で話がついていた」と言ってのけた。

こういう親戚のやり取りが妙にリアルなのは、作者の体験なのだろうか。

 

そして恵の方に話は戻る。

 

姉に子供をどうするか?を追求する妹と、妹に結婚はいつするのか?を追求する姉という二人の姉妹の関係(そもそも恵の姉って本編では出て来なくて、別版の扱いになっていた気がするのであるが)が垣間見える。

ここのやり取りは現物でとしておこうと思うが、一つだけ姉のワードで好きな物があったので。

 

「結婚なんてそんな難しいことじゃないって。プロポーズして式挙げて披露宴やったらあとは成田離婚だけじゃない」

 

さらりとこういう一文があったけど、そもそも成田離婚というワードを知ってる人が冴えない彼女の育てかたの世代とは合わないと思うのであるが。

成田離婚というのは、新婚夫婦が海外にいわゆる新婚旅行に行った時に、その現地での姿に幻滅して離婚を決意してスピード離婚に至る事のワードで、私がCMで子役をやっていた頃、いわゆるバブルの時代にポロリと聞いた事があった言葉であるが、定着したのは1990年代後半となっており、そういうタイトルのドラマが流行ったからである。

しかし、そのスピード離婚を仄めかす姉に恵は「それだとこっちからプロポーズすることにならない?」と、さらりと離婚はしないと宣言している。

 

ここが二人のやり取りのキーポイントの1つに思える。

 

そして倫也と美智留のやり取りへとシフトする。

 

美知留の凄さを親戚中にPRした話の後、美知留が「加藤ちゃんとどうするのか?」と尋ねる。

「決めるなら今では?」という美知留に、5週目の続きが少し触れられている。

 

ソシャゲがどうなったかは不明であるが、話の内容を見ると初回本数をマルズから聞かされた絶望感という文があったので、自分たちが制作中だったゲームを無事発売にこぎつけた事が、この文章からも分かる。

2週間後にリピートがかかり、二度目のリピートは初回の倍になっていたという文章から、オリジナル作品は無事成功を収めたというのが分かるようになっている。

 

ソシャゲがどうなったか?あたりは、ファイナル短編集辺りで描いてほしいもので期待したい。

 

結婚はあと2年はまだかなという恵と、今年こそという倫也の互いの意思がさらりと触れられて6週目は終わる。

 

7週目は6年後の9月23日、6週目のお盆から約1か月後の話になる。

 

会社のオフィス(倫也の実家の2階)からの引っ越しとして、新しい物件を見に来たという所から始まる。

池袋の物件を見て倫也はここにしようと思うがどうか?と恵に聞く。

羽島は任せるという事であり、実質恵がOKならオフィスの移転が確定するという事になる。

 

1年分の家賃、敷金、礼金、立ち上げ費用を算出すると、6週目に触れられていた作品の報酬が全て消える額だという。

 

頭を抱える恵に「会社の利益がなくなれば法人税もなくなるし」という倫也に、信用がなくなって銀行からお金が借りれなくなるという恵。

借りる事前提である事に対して怒る恵であったが、オフィスのレイアウトを見ると机が7つ用意されている。

 

外部のクリエイターを次の企画で呼ぶ為という倫也。

そう、詩羽と英梨々を招聘するという映画のエンドロール後のシーンに繋がっていくことになる。

 

その為であるとわかると、恵も反対出来なくなって契約を決める。

 

しかし二人が受けてくれるのか?という問題はあるというが、その結末はどうだったかは映画で確認できるのでぜひ。

 

そして手付金を払いに行こうとする恵に対して、倫也はもう一つ見てもらいたい物件があるという。

その物件は、この新しいオフィスから徒歩10秒のお隣の部屋。

そこは二人の部屋とハッキリいう倫也に動揺する恵。

そして倫也が恵に勝負をかけるプロポーズへと進んでいくのであるが、ここから先のやや面白さもあり、真剣さもあるやりとりは現物をぜひ読んでみてほしい。

 

 

※そんな感じでネタバレ的な感想とあらすじを書いてみたわけですが、この部分を円盤の特典でドラマCD化とかしたら劇場版の円盤も売れるのではないかと感じている。

さすがにアニメ化するのは金がかかりすぎるから厳しいだろうが、特典ドラマCDならばワンチャンスあるのではないだろうか?

もう少し展開しようと思えば出来ると思うだけに、6年分を加筆修正しながらドラマCDになる事を願ってやまない。

最後のシーンを演じるとどうなるのかが興味があるのでね。