(臨海公園の梔子の花)

公園を囲む通路の脇には、季節を象徴する花や木が植えられ、道行く者の足をしばし止める。八重桜が終わり、その葉桜の伸びた先に広がる真っ青の空に希望の光をも見せてくれる。そして今日の雨上がりの道に一際濃い緑の葉を装うた白い花、「梔子の花(くちなしのはな)である。気品ある香りが漂い、艶やかな葉の中からそっと顔を出しているその光景は、ゆかしい乙女を連想させる見事なバージョンである。

大輪の花や小さな野草、遠慮がちにそそと足元を見つめる花など、それぞれの花の特徴を人間の個性に重ねて見ると、案外当たっていて面白い。年中何かの花が咲いていて、人の心を癒し、何かを気づかせてくれる。

造園にあたり、工夫を重ねたスペシャリストの思いが伝わる優しい憩いの場所である。

これまであまり気にも止めるなかった公園に、季節ごとに個性を誇示するかのように、懸命に乱れ咲く彼等に、私は目を止めずにはいられない。