高校生に、百人一首でどの歌が好きかとアンケートをとったら

     「瀬を速み 岩にせかるる滝川の 

              割れても末に あわんとぞ思う」  (崇徳天皇)

が一番多かったと言う。

 

1123年・第75代崇徳天皇は5歳で即位した。不遇な境遇の中で, 後継をめぐるその先に起きた保元の乱は、1000年を超えて今も歴史書に残る。讃岐へ配流された崇徳院は、強い怨念の内に、45歳でその悲運の生涯を終えた。

 

 私も学生の頃やはりこの激しい歌に惹かれたものだ。崇徳院30歳の頃の心情が、若さの持つ潜在的感性に増して、噴き出した情念の歌に思えた。「百人一首」の中で、「せ」から始まる歌はこの一首だけであるから決して忘れることはない。

一刻一刻変動する株価のチャートのように、人の心というものは揺れ動く。時に仏になり、時に邪鬼にもなる。歌は乱高下する心の安定剤でもある。

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