何故、草を刈るのか?
私は、しがない都会育ちのりーまんであるが、実家は田舎で農業を営んでいる。
小さい頃から、田舎に帰ると何故か草刈りをしていた。
誰からも褒められたことはないし、跡取りとして期待されているわけでもない。
それなのに、何故か日が暮れてお婆ちゃんが「そろそろやめるべぇ~」と言うまでひたすら刈っていた。
世間では子どもや部下を「褒めてそだてろ」というが、それは嘘だ、と私は思っている。
褒めたところで実力が伴ってなければ、ただ調子にのるだけの勘違いヤローが増えるだけだ。
そんなこんなで、大人になった今でも、誰も褒める人もいないし、報酬も無いのに実家に帰れば草を刈っている。
何故か?
「そこに草があるから」
雑草との戦い
久しぶりに訪れた実家の裏庭は雑木林と化していた。
地球温暖化の影響はこんなところにも出ている。
まるで熱帯雨林のジャングルだ。
草刈りなどという生易しい状況ではない。
放置されていた草は、今や大木へと成長していた。
道具には竹切り用の鋸を選択した。
まずは花を付けると、衣服にまとわり付いて厄介な「ひっつき虫」とよばれる種をつけるセンダングサや篠から退治していく。
センダングサ系は根が浅いので抜けるが、篠は切るしかない。
竹も本来の竹林からはみ出して生えているので、切り倒していく。
草刈りをしていると、だんだんと疲れてきて頭もボ~っとしてくる中、まるで自分が大虐殺をしているような幻覚に襲われる。
雑草や竹を切るたびに、「ウギャァ!」「イテッ!」という悲鳴が聴こえてくるのだ。
仕方がない、これは戦争なのだ。
ラスボスとの戦い
ラスボスは倒したものの、奥にはまだ、怪物達がウヨウヨしていた。
しかし、しがないりーまんとしての職務に戻る時間となってしまった…
仕方なく任務を最後まで遂行すること無く、戦場を後にしたのであった。
背中から、植物達の勝利の雄叫びを聴いたような気がしていた。