夏の青春18きっぷの利用期限9/10は明日に迫っていた。
私とツレは4回、5回の利用日を使い切るべく、8:14川崎発の上野東京ラインに乗り込んだ。
目的地は茨城県北部の「袋田の滝」である。
茨城県といえば水戸の偕楽園ぐらいしか、行くところはないと思っていた。
驚いた事に「袋田の滝」は日本三名瀑の一つに数えられるという。
上野駅へ8:41到着。8:49発の常磐線に乗換える。
車窓に偕楽園が見えてきて、ようやく10:58に水戸駅に到着。
水戸駅では17分程度の時間があったので、一旦改札をでてトイレ休憩と飲み物を調達する。
【三郡線】
11:15 水戸駅から2両編成のJR水郡線に揺られ12:28に、ようやく袋田駅に到着した。
水郡線はその名の通り水戸駅と郡山駅を結んで、久慈川に沿って走る超ローカル線だ。
車内はロングシートの他に横に2席と1席の対面シートなので広々している。
人が少なくなると、靴を脱いで足を投げ出す人や、寝転がる人など、やりたい放題でカオスの状態となってくる。
【三郡線車両】
車窓はひたすらに山と川で、それほど目を引くものはない。
水郡線は気動車なので、ディーゼルエンジン特有の振動と音を発しているのが旅情を誘う。
【袋田駅】
どんどん山奥に入って行き、本当にこんなところに有名な滝があるのかと疑問が生じはじめた時、列車が袋田駅に到着した。
三郡線の駅は、だいたいレトロな感じを残して新しく建て替えられているようだ。
駅をおりると旅館のお出迎えバスよろしく、電車の到着時刻に合わせて駅舎の前で滝本行のバスが待っていてくれるので、乗換えの心配は無用だ。
【トンネル案内図】
7分で「滝本」に到着。
10分も歩くと「袋田の滝」へつながるトンネルにでて、入場料¥300を払う。
【袋田の滝へのトンネル】
トンネルは長さ276メートルの歩行者専用で、近代的に整備されている。
【恋人の聖地のモニュメント】
トンネル内にはモニュメントも置かれている。
「袋田の滝」は恋人の聖地らしい。
【袋田の滝胎内観音】
観音様と休憩できる椅子が置かれている。
滝に落ちない様お祈りを済ませる?
【第一観瀑台】
入口から5分も歩くと第一観瀑台につく。
昨日までの台風13号の影響で水量が増し増している。
近づくとほとんど水行かとおもわれるほど滝のしぶきでみずびたしとなる。
【第二観瀑台】
第一観瀑台からは4層に別れる滝の上部が見えないため、エレベーターで50メートルほど登ると第二観瀑台へと出る。
ここから階段で上り、第二デッキ、第三デッキと登ると滝の全景を見おろすことができる。
【第二デッキの眺め】
袋田の滝周辺は貝などの化石が見つかっていることから15000年前までは海だったそうだ。
奥久慈男体山の噴火や断層の隆起でできた固い岩盤が風雪に耐え侵食されずに残った岩盤の上に、みずが流れ落ちて「袋田の滝」ができた。
写真中央の岩盤は、おでこのように硬そうだ。
水の流れ具合によってはハート型になるそうだが、今日は、ETにしか見えない。
「袋田の滝」が「恋人の聖地」と言われる所以だ。
【第三デッキの眺め】
表には「けんちん蕎麦」発祥の店と書いてある。
けんちん蕎麦はけんちん汁に蕎麦をいれた北茨城の郷土料理だ。
今日も外は暑いので、さすがに熱いソバは食べる気にならなかったので、けんちん汁に冷たい蕎麦をつけて食べる特製 昔屋そばを注文した。
千切りの大根がのった、手打ちで細目の冷たいそばを、味噌仕立てのけんちん汁に通す。
汁は里芋、こんにゃく、人参、大根などの根菜がたっぷりはいっている。
根菜と油揚げの油が滲み出た汁の味わいは、けんちん汁よりも豚汁に近く濃厚だ。
濃厚で熱々の汁とさっぱりした千切り大根ののった冷たい蕎麦の対比は、うまい麺の黄金比率といっても良いかもしれない。
夢中でそばをかきこんで14:15滝本発のバスで袋田へ向かった。
次の目的地「月待の滝」を目指して。
このときはまだ、この先我々を待ち受けている困難を想像すらしていなかった。