刺激性下剤に頼らない便秘治療について講演してきました | なくい外科内科胃腸内科クリニックのブログ

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2017年5月8日、宮城県岩沼市あさひ野にオープンした「なくい外科内科胃腸内科クリニック」です。
かかりつけの皆様やクリニックに興味をお持ちの皆様に、
少しでもお役にたてる情報を提供できればと考えております。

先日、製薬会社の方を対象として、「慢性便秘症診療の現況 ー刺激性下剤に頼らない便秘治療のすすめー」について講演してまいりました。

 

平成291127日に掲載したブログ「慢性便秘症診療ガイドライン、ご存じですか?」でものべましたが、便秘診療はどの診療科でも日常的に行われているにもかかわらず、これまで診療ガイドラインはなく、個々の医師の経験に基づいて自由に治療を行ってきていました。消化器診療医は最近の研究結果や新薬の情報を知りうる立場にあるので、それなりに現在最も効果的な診療の進め方にについて改善がはかられていますが、それ以外の診療科の先生方の場合は、その先生が現状で満足してしまえば何十年も改善なく、漫然と同じ診療を繰り返してしまい、新しい治療薬を試すことさえしなくなってしまいます。

 

かつて便秘診療は、排便回数を最も重要視した治療が行われており、回数のみを改善して下痢便のままでも仕方がないと患者さんに納得させていた医師も多かったのですが、今回の慢性便秘症診療ガイドラインでも強調しているとおり、その患者さん一人一人にあわせた「快便」に調節してあげることが最も重要です。

 

今回の勉強会では、以前勤務していた施設において消化器以外の診療科で行われている便秘診療の実態と、当クリニックで行っている便秘診療の実際について比較しながらプレゼンテーションさせていただきました。私は行っていませんが、消化器以外の診療科の先生方の処方内容を解析すると、便秘の患者様ににセンナ製剤などの刺激性下剤を常用させている先生方が非常に多いことがわかっております。ガイドラインではセンナ製剤を頓用でのみ使用すべきと記載されています。しかし、漫然と処方していると、患者様は結局常用・依存するようになってしまいます。当クリニックのデータでは、排便日誌を記載していただきながら、最近発売された新規の便秘治療薬を上手に用いることで、難治性便秘症のほとんどの患者様でセンナ製剤を使用せず、快便が得られるようになっております。

 

「たかが便秘」とお考えの方も多いと思いますが、本人にとっては便秘は本当に切実な問題です。「少しでも便秘の調節がよくなったらいいな」とお考えの方がいらっしゃいましたら、遠慮なくご相談ください。当クリニックでは、これからも地域の便秘診療に真剣に取り組んでまいります。