機能性ディスペプシアについて講演してきました | なくい外科内科胃腸内科クリニックのブログ

なくい外科内科胃腸内科クリニックのブログ

2017年5月8日、宮城県岩沼市あさひ野にオープンした「なくい外科内科胃腸内科クリニック」です。
かかりつけの皆様やクリニックに興味をお持ちの皆様に、
少しでもお役にたてる情報を提供できればと考えております。

先日、「機能性ディスペプシア」について講演してまいりました。

「胃もたれ」を感じた方は少なくないと思います。機能性ディスペプシアとは、内視鏡的に見て炎症や腫瘍などのご病気がないのに胃もたれや腹痛を来す疾患で、主に胃の蠕動運動が異常を来していることが多いとされています。

 

数多くの先輩先生方を前に大変緊張しましたが、これまでの食道外科医・内視鏡診療医としての経験をもとに、最新の胃食道逆流症(GERD)診療ガイドラインと機能性ディスペプシア(FD)診療ガイドラインの解説と、その問題点、内視鏡診療を行っていない先生方がどのように取り扱っていけばよいのか、一緒に勉強させていただきました。

 

クリニックでは、胸やけまたは胃もたれの症状があると、改定Fスケールという問診票をご記入いただくようにしています。改定Fスケールでは、胸やけ症状と胃もたれ症状どちらも7項目ずつ質問項目があります。最も気になる訴え(主訴)は胸やけまたは胃もたれのどちらかですが、どちらか一方だけの症状しかない患者さんよりもむしろ、どちらの症状も少なからずあると訴える患者さんの方が多いのです。その場合、どちらか一方の症状に対して治療を行っても、十分効果が得られない場合や、もう一方の症状が残存し、結果的には患者さんの満足度が上がらない可能性があります。さらに、胸やけに対してPPIという制酸剤で治療が始まり症状が改善傾向と判断されると、しばらく食道癌や胃癌などの発見が遅れてしまったり、ピロリ菌胃炎の検査・治療のタイミングが制限されてしまう可能性がありますが、内視鏡検査をもたない開業医の先生方は、まずPPIで症状をとってあげたいという気持ちが強く、内視鏡検査を依頼することに躊躇される傾向があります。

 

今回、地元ではない医師会の先生方とガイドラインの問題点や記載のない領域について和やかに意見交換できたのは、本当に貴重な経験でした。内視鏡診療を通して地域の方々に貢献していく当クリニックでは、近隣の開業医の先生方が少しでも内視鏡検査依頼の敷居を感じないよう、今後も一層検査依頼に柔軟に対応していきたいと考えております。