(光源氏198).こころもて草の宿りをいとへどもなほすず虫の声ぞふりせぬ




@(光源氏198)A.
ご自分からこの六条院をいとわれてご出家なさったわけですが、やはり鈴虫のような(あなたの)可愛らしいお声はお変わりないですね。


(光源氏198)B.
あだし心から(自業自得で)子種を懐妊しながら、それを疎んじ背を向けて出家したけれども、やはり我が子薫の声を振り切ることはできませんね。


(光源氏198)C.
(三宮は)心の底から、かりそめの契りで子を宿した事実を、消したく思うけれど、
そうはいってもやはり、柏木の子薫の声は、源氏の声とは似ていない。
(源氏の振りが出来ない)。



(光源氏198)D.
二心をもって「草の宿り」<本来の皇統でない武内宿禰の血で子を宿した>けれど、
やはり、「すずむし(篠生し)」<武内宿禰が神功皇后に宿した応神天皇>の声は、
仲哀天皇の声とは似ても似つかない。