5月、77回目の誕生祝いは特別な日となった。

 

 

同じ市内に住む長男から「喜寿の祝い」と併せて祝おうと思っているが、何か希望があるか?との打診を受けた。

 

 

誕生日

 

 

これは私にとって想い出深い日である

 

 

団塊の世代に貧乏人の子沢山の家庭に生まれ、4人の姉の下に長男として生まれた私は、戦後の混乱期でもあり、日本全体が貧しく皆が喰うのに一生懸命な時代に育った。

 

 

我が家では肉体労働者の父と、紬織工で共働きの母、7人の子供が9坪程度の古びた木造平屋建住宅に住んでいた。

 

 

住宅内には40Wの裸電球が真ん中にポツンとひとつ。

 

 

雨が降ればあっちこちで雨漏りがして、その下に鍋やどんぶり茶碗を置いてチャップンチャップンと雨だれの音楽を奏でる。

 

 

70年位前の時代の光景であるが、今でもあの頃の記憶は胸の中に焼き付いている。

 

 

私の家だけが特に貧しかったのではない。

 

 

皆貧しかった。

 

 

そういう家庭環境の中、食事光景も忘れられない

 

 

麦ごはんとイモが主食である

 

 

米半分と麦半分程度を混ぜ合わせたもので、平ぺったい大麦の真ん中にある茶色の筋が、のどに引っかかって食べ辛かったが、

 

 

それでも成長盛りの腹ペコのお腹には満足感を覚えたものである。

 

 

イモもそのままふかしたものであったり、小さくイモを切り刻んで麦ごはんとまぶしたものであったりして、ご飯粒を数えるように箸でつまんで食べたものである。

 

 

あの頃の胸のつかえが永年の時を経た今でも忘れられず、贅沢とは思うが今でも麦ごはんとイモは食べる気にはなれないのである。

 

 

しかし、正月と家族それぞれの誕生日は特別な日で、1月1日の目に染み入るような真っ白なご飯の味と誕生日の赤飯の味は今でも忘れられない。

 

 

そこには貧しい収入の中からやりくりをして、新年を迎える正月と生命の誕生を祝う両親の愛があった。

 

 

その頃の記憶を辿ると、今でも口の中に生ツバがたまる思いがする。

 

 

と言うことで、誕生日の赤飯の味は私にとっては特別な味なのである。

 

 

妻と結婚後もこの話は伝えており、私の家では伝統的に家族全員の誕生日の食事は赤飯で祝うことになっている。

 

 

同じ市内に住む孫の誕生日も妻は、わざわざ自宅で作って届けている位である。

 

 

贅沢は言うまい

 

 

私の誕生祝いは赤飯と味噌汁があれば十分なのである。

 

 

そこでしみじみ両親や妻への感謝と、愛・命の尊さを感じながら味わうのが最高のご馳走なのである。

 

 

とは言うものの今のご時世、折角皆で祝ってくれるというので、その好意に甘えるとして、

 

 

それなら外食でなく、自宅庭でバーベキューパーティでもしてもらえると嬉しいと伝えた。

 

 

これまで77年生きて来た中で、外食も家族や職場での付き合い、宴会、懇親会、接待、旅行等々でそれなりに美味や珍味、ご馳走や美味いものも口にしてきた。

 

 

しかし、私は前記のように粗食が口に慣れており、何でも腹一杯になりさえすれば満足な体質になっているらしい。

 

 

最高級和牛など美味しいのは分かるが、安い肉であっても腹一杯の方が食べた気になるのである。

 

 

5月、私の家の猫の額ほどの狭い庭でバーベキューセットを準備し、子供たちが用意してくれたワインやビール、焼酎、ジュース等の他、見た目にも高級そうな肉・肉・肉

 

 

盛り沢山の野菜等で食材もそうだが、こうして親子・孫、家族皆で集まり、一緒になって和気あいあいなって食べるのが何よりもご馳走なのである。

 

 

長男の嫁さんや二女のダンナ様がせっせと肉や野菜を焼いてくれる。

 

 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 

 

 

 

孫達も笑顔で食べる。

 

 

そこには幸せオーラが漂っている。

 

 

テレビで食通の芸能人がよくコメントしている「口の中に入れたら溶けそう」な感じの肉もたっぷり味わった。

 

 

その中には、妻が朝早くから準備してくれた赤飯もある。

 

 

やはり赤飯の味は格別である。

 

 

昼間からビール、ワイン、焼酎でホロ酔い、家族皆が元気で笑顔で、

 

 

最後はケーキを前に「ハッピーバースデー」の唄で祝ってくれた。

 

 

 
 

 

 

 

こんな幸せなことはない

 

 

7月には6人目の孫も誕生予定で楽しみも増えた。

 

 

まだしばらくはボケないよう、寝込まないよう、元気で孫たちの成長を見守りたい。

 

 

有難いことである。

 

 

幸せなことである。

 

 

感謝!熱謝!心謝!である。