永年勤めた消防の仕事を定年退職後、民間の福祉施設に5年間勤務し、その職場を任期満了後は天下晴れての年金生活

 

 

「毎日が日曜日」のんびり、ゆっくり、自由な時間を過ごしている

 

 

戦後の混乱期、団塊の世代に貧乏人の子沢山家庭に生まれ育った浅学菲才の私に、このような平穏で幸せな老後が待っているとは夢にも思ってもいなかった

 

 

まさに感謝!熱謝!心謝!の日々である

 

 

こうした日々の中で、有り余る時間の有効活用と暇つぶし、脳内活性化、ボケ防止の手段として多くの時間を費やしているのが読書である

 

 

だが惰性で読んでいる本が多く、なかなか感動する本、印象に残る本に出合うことは少ない

 

 

 

そういう中にあって先日たまたま目に触れ、手に取った図書館の本が強く印象に残ったので紹介したい

 

 

「普天を我が手に」第一部~第三部 著者 奥田英朗

 

 

無知を露呈するようだが、2004年に「空中ブランコ」で直木賞を受賞し、他にも多くの話題作を著している作者を私は知らなかった

 

 

所詮私はこの程度の人間である

 

 

これまで沢山の本を読んできたつもりだが、ある程度好みが偏っており、これはと思った作家に集中する癖がある

 

 

従って世に知られた作家でも知らない作家が断然多い

 

 

奥田英朗ファンの皆様には申し訳なく思います

 

 

 

 

この本は第一部から第三部まであり、それぞれが600ページ程の長編大作である

 

 

最初第一部を手に取った時は、あまりにも分厚いため最後のページまで読み切ることが出来るか逡巡したが

 

 

読み進むうち夢中になり、一気に第二部、第三部と読み終え、その感動でこうして報告する次第である

 

 

第一部 

 

 

 

物語は大正15年12月25日、大正天皇崩御から始まり6日間しかなかった昭和元年の時代に生まれた主人公の男女4人の子供たちとその親に焦点を充ててストーリーが展開する

 

 

・反戦思想を持つ軍人幹部の息子 武田志郎

 

 

・金沢のヤクザ組長の養子 矢野四郎

 

 

・雑誌編集者で未婚の母の娘 森村ノラ

 

 

・満州のミュージシャン・興行師の息子 五十嵐満

 

 

 

生まれた場所も育った環境も異なる4人の波乱万丈の人生が始まり、やがて成長するに従いそれぞれが微妙に絡み合い、クロスしながら

 

 

満州事変から太平等戦争に突入するまでの親子の激動の人生が緊張感をもって描かれる

 

 

 

 

第二部

 

 

 

昭和17年日米開戦から昭和23年末、東京裁判判決あたりまでの時代が背景である

 

 

・戦争中アメリカでの抑留生活、GHQの通訳

 

 

・予科練、軍隊での日常、回転特攻、出撃間近の終戦

 

 

・東京大空襲、原爆、引き揚げ

 

 

・ソ連の捕虜、シベリアでの強制労働等々

 

 

 

迫力をもった筆致で展開され息を呑むシーンが続く

 

 

特に東京大空襲の描写は臨場感あふれて胸が詰まる思いである

 

 

 

 

今世界に目を向けるとウクライナやイラン、レバノンで戦争被害が紹介され胸が痛い思いをしているが、

 

 

太平洋戦争での日本の被害はこんなものではない

 

 

何千、何万の家屋と人命が瞬時に失われているのである

 

 

こうした過去の戦争被害の実態が映像として脳裏に浮かぶ

 

 

 

第三部

 

 

 

 

昭和24年から始まる戦後編である

 

 

朝鮮戦争、朝鮮人帰国事業、ケネディ暗殺、プロレスブーム、ビートルズ来日、ロッキード事件、あさま山荘事件、日航機ハイジャック事件、三島由紀夫事件等々

 

 

昭和天皇崩御で昭和の幕が下りるまでの時代背景が描かれる

 

 

 

各種事件の真相も多くの参考文献を参照としてこと細やかに描かれており、知らなかった昭和史の裏側を覗き見ることも出来た

 

 

フィクションとされてはいるが、三島由紀夫や石原慎太郎、野坂参三、ハナ肇などの実名や

 

 

新潟県選出の国会議員 田沼角蔵(田中角栄)、プロレスの錦川(力動山)、川口組(山口組)、シャボン玉ホリデーの大島(青島幸男)等々

 

 

明らかに個人名や所属団体が分かる仮名も登場し、昭和史の裏側面としての重みとエンタメ的な要素も含まれ

 

 

右翼、左翼、ヤクザ、暴力団、政治家、社会活動家、興行師、芸能人、プロレスラー等々

 

 

多種多様な人種が主人公の4人に絡み、ストーリーに膨らみを持たせる

 

 

最後、主人公の4人は全員が昭和の時代を乗り切り、戦後の復興と政治・経済成長を牽引し、日本の国をリードする存在となった

 

 

 

この本の主人公は今生きていれば100歳

 

 

「人生、山あり谷あり、川もあれば海もある」

 

 

人生の荒波を何度も何度も乗り越えてきた

 

 

そして今、太平洋戦争後80年余、この間日本は過去の反省や先人たちの努力により平和な時代を維持してきた

 

 

しかし近年「改憲論議」や「台湾有事問題」「防衛費増額問題」「殺傷武器の輸出解禁問題」等が話題になり

 

 

「新しい戦前」という表現がマスコミに取り上げられ、きな臭い匂いを感じているのは私だけだろうか?

 

 

子供や孫たち、次世代、未来永劫、平和な時代が続きますように!と切に祈る

 

 

 

 

追記  「老害」と「老益」

 

 

空と海と酒をこよなく愛し、ブログでは燃えたぎる情熱とパワーで文言を綴って、熱い魂を伝え、

 

 

私の拙いブログにも心に染み入るコメントをいただいているtさんがこの度「老害」と「老益」について投稿されていた

 

 

高齢者である私にも関係するかと注目し、私なりに個人的見解をコメントで述べさせていただいたところである

 

 

 

「老害」を広辞苑で調べると

 

 

「硬直した考え方の高齢者が影響力を持ち続け、組織の活力が失われること」とある

 

 

これはマイナス思考の表現であり、それに反する言葉として辞書には載っていないがプラス思考の「老益」という日本語があっても良いと考えた

 

 

即ち「老益」という日本語に

 

 

「柔軟な考え方の高齢者が影響力を待ち、組織が活性化すること」との意味を持たせる

 

 

高齢者はこれまで幾多の苦難や困難を乗り越えて来て今を生きている

 

 

これらの高齢者の経験則から来る知識や考え方、生き様、含蓄のある言葉などは次代を繋ぐ若手や壮年者の皆様に多大な「益」を与えると思料する

 

 

tさんの唱えられた「老益」の言の葉、言霊

 

 

まさに「我が意を得たり」

 

 

世の高齢者の皆様、お互い悔いなく楽しい余生を過ごしましょう