4連休、10連休、海外旅行、円安、インバウンド、国内旅行、交通渋滞等々、GW期間中の喧噪も治まり、平穏な日常を取り戻した感のある昨今である。

 

 

といっても我が身は365連休の気ままな年金生活者

 

 

ここ10数年、GW期間継続中の身である。

 

 

特にどこにいくという計画やアテもなく、このような老夫婦のなぐさめと2歳になる孫娘と遊ばせようと娘家族が、出水郡長島町「じゃがいも祭り」の日帰り旅行に誘ってくれた。

 

 

会場では、じゃがいもの詰め放題や掘り取り体験、2㎏程度のじゃがいも無料提供等があり、近場でのイベントを楽しむ家族連れで賑わい、明るく楽しい笑顔があふれていた。

 

 

 
 

 
 

 

 

その他の期間はありふれた日常である。

 

 

いつもは午前中、スポーツジムでストレッチや筋トレ、ランニングマシン等で汗を流し、マッサージ機で身体をほぐし、仕上げにシャワーで汗を流すことを楽しみにというか、有り余る時間の有効活用にしており、

 

 

午後は韓流ドラマを見たり、高齢者センターや図書館で本を読んだり、気が向けば近くの海で魚釣りの様子を見に行ったり、1円パチンコで時間をつぶしたり、毎日、のんびり、ゆっくり、自由な時間を過ごしている。

 

 

今のところ特に大きな病気もなく有難い老後である。幸せな老後である。

 

 

このような平々凡々な日常生活を過ごす中で、最近は月3~4冊程度の本を読んでいるが、なかなか印象に残る本、感動的な本に出合えない。

 

 

そういう中、数千冊から数万冊並ぶ図書館の本棚の中から、無造作に手に取った本が久しぶりに感動的な本となった。

 

 

紹介するのが2012年に発行された、石田衣良著作の「北斗 ある殺人者の回心」である。

 

 

 

 

石田衣良というと、直木賞作家ということは何となく知っていたが、以前たまたま目に触れて読んでいた本「娼年」「逝年」「爽年」が官能小説というか性愛小説というか、かなりきわどい内容で、

 

 

こういった作品が虫唾が走るほど嫌いかというと、男の端くれとしてそうでもないが特に好きという訳でもない。

 

 

そういった類の本を書く作家さんという印象が強く、それ以外手に取ることはなかった。

 

 

今回のこの1冊も偶然目に触れたのであるが、手に取って2~3ページめくる内に、いつもの官能的な内容と違うと気付き、更に5~6ページ、10数ページと読み進むうちに手が止まらなくなったのである。

 

 

内容は、東京都下のニュータウンに住むサラリーマン家庭の両親から日常的に壮絶な虐待を受けて育った少年「北斗」の観点から描かれており、幼少期からの虐待をこれでもか、これでもかと生々しくリアルに描き、その映像が脳裏に焼き付いていく。

 

 

そんな環境に育った「北斗」は誰からも愛されず、愛することも許されないまま、自分の殻に閉じ込まって成長していくが、常識の範疇を超えて虐待を続けて来た父親の死、

 

 

母親の引き続く精神的な虐待(愚行)をきっかけに、児童相談所の指導員の紹介により、里親の「綾子」に引き取られる。

 

 

「北斗」はここで生まれて初めて里親の大きな愛と人生の安らぎを覚えるが、それも長くは続かない。

 

 

同居して間もなく「綾子」がガンに侵され、そして二人は「綾子」の友人によりガンに効くという「命の水」を紹介され、医療詐欺に巻き込まれる。

 

 

それから物語は「北斗」の負の連鎖が続き殺人者となるが、「北斗」を迎える以前に「綾子」の里子として育った「北斗」とは血のつながらない姉となる「明日美」の「北斗」に対する献身的な愛情と優しさには思わず涙する。

 

 

本を読んで涙するのは何年振りだろうか?

 

 

そして後半は、裁判員裁判の模様が、検察官、弁護士、証人、本人意見陳述、論告・求刑・判決と裁判の流れと共に刻々と綴られ、ページをめくるたびに緊張度はMAXに・・・・・。

 

 

要所要所で何度か落涙する。

 

 

こんなにも気持ちよく本の世界に入り込むのは本当に久しぶりである。

 

 

石田衣良作品のイメージを完全に覆すことが出来た感動的な本となった。