月刊誌「文藝春秋」2月号に興味ある記事が掲載されていた。

 

 

作家五木寛之氏プロデュースで各界の識者に呼びかけ、1000年先まで残る100曲を選び、これを「昭和歌謡集」と名付けたいとあった。

 

 

そこで各界の著名人から1人3曲まで心に残る曲のアンケート結果と、一般の読者からのアンケート結果も掲載されていた。

 

 

その結果を見ると様々な曲が紹介されている。

 

 

最終的な結果は分からないが、4月号に続編が掲載されるとのことで楽しみにしているところである。

 

 

歌はその人の生き様や育った生活環境、その他歌によってどのように元気づけられ、勇気づけられ、癒され、励まされ、慰められ、乗り越えて来たか、

 

 

それぞれの経験則が千差万別であり、歌と共に生きて来た方も多いと思われる。

 

 

私もその一人である。

 

 

そこで私も個人的にどのような曲を選びたいか、名曲として残ってもらいたいかを考えてみた。

 

 

私は下手の横好きで、消防の現役時代は同僚と毎月定期的な飲み会の2次会として、スナックでのカラオケを楽しんでいた。

 

 

そこでは友との会話を楽しみ、酒に酔い、歌に酔い、明日への活力源としていた。

 

 

時には腹の底から笑い、また時には感情が高ぶり、いい歳をして涙することもあった。

 

 

歌によって心癒され、元気づけられ「サー明日も頑張ろう!」と活気をいただいたことが多かった。

 

 

定年退職後もしばらくはこのような付き合いは続いていたが、近年はコロナ禍の影響で一緒に飲み、語り、唄う機会も全くなくなり、淋しい思いをしているところである。

 

 

ところで、私の推薦する曲は、以前も「私の好きな歌」で紹介したが、1000年後に残したい名曲という新たな視点から考えてみた。

 

 

やはり1番は井沢八郎の「あぁ上野駅」である。

 

 

全国の読者が選んだ中間発表の結果でも12番目に入っていた。

 

 

昭和42年、夜間高校を卒業した私は中学校を卒業したばかりの妹と2人、集団就職列車で上京した。

 

 

その時ホームの柱の陰で泣いて見送ってくれた両親の姿が忘れられず、いつの日か、地元鹿児島に帰ってきて一杯親孝行をすると、心の中で誓ったあの日を思い出させる私にとっては不朽の名曲である。

 

 

特に歌詞2番の

 

 

♬ 就職列車に揺られて着いた遠いあの夜を思い出す~

 

 

3番の 

 

 

♬ お店の仕事は辛いけど胸にゃでっかい夢がある~

 

 

は今でも泣けてくる。

 

 

次に推薦したいのは、先の1番の推薦曲に関連して

 

 

北島三郎の「帰ろかな」も実に味わい深い名曲である。

 

 

♬ 淋しくて言うんじゃないが 帰ろかな 帰ろかな 故郷(くに)のおふくろ 便りじゃ元気 だけど気になる やっぱり親子~

 

 

東京に就職し、消防の仕事で頑張ってはいても、やはり鹿児島に残した年老いた両親のことは気になり、毎月1回は夜8時から電話料金が安くなる時間帯に公衆電話で声を聴いたものである。

 

 

3番目に紹介したいのが、やはり1番・2番に関連して島津亜矢の「帰らんちゃよか」である。

 

 

都会に就職した子供のことを心配する親心を切々に唄ったもので、特に3番の歌詞

 

 

♬ 心配せんでよか 心配せんでよか 親のためにお前の生き方 変えんでよか どうせ俺たちゃ 先に逝くとやけん お前の思うたとおりに 生きたらよか~

 

 

はグサッと胸に突き刺さる名曲である。

 

 

こうして並べてみると、私にとっての名曲は人生の歩みそのものである。

 

歌がドラマになっている。

 

 

それにしても何と淋しい歌ばかりだろう。

 

 

しかし、これが私の生きて来た道なのである。

 

 

心に沁みる歌、胸に沁みる歌が私にとっての名曲なのである。

 

 

それでもこういった曲とは正反対の曲調である、元気の出る歌、自分を鼓舞する歌として長渕剛の「気張いやんせ」も好きでよく唄った。

 

 

鹿児島弁で唄う歌詞の

 

 

♬ どげんしてんやらんと いかんごっがよ オイにもワイにも ひとつくらいある~

 

 

キバレ キバレ 気張いやんせ いっどどま け死んかぎぃ 気張いやんせ~

 

 

この歌を唄うことで、聴くことで気分が高揚し、個人的には隠れた名曲の一つとして位置づけている。

 

 

その他にもこれまでの曲とは異質ではあるが、

 

 

植木等の「スーダラ節」や「ハイそれまでよ」、「黙って俺について来い」、「遺憾に存じます」、「無責任一台男」、「ホンダラ行進曲」など

 

 

C調な曲も私に笑いと元気を与えてくれた曲で気分がいい時、カラオケでメチャメチャ、ハイテンションで唄ったこともあり、気持ちを明るくしてくれた好きな歌である。

 

 

そして名曲と言えば歌謡曲だけでなく、童謡も「赤とんぼ」、「仰げば尊し」、「かあさんの歌」、「荒城の月」、「叱られて」、「ふるさと」、「夕焼け小焼け」等々本当は1000年後に残したい曲である。

 

 

最後に石原裕次郎の「我が人生に悔いなし」も推薦したい。

 

 

貧乏人の子沢山家庭に育った私としては、微力であるが精一杯生きてきたつもりである。

 

 

これまでの人生を振り返ると、沢山の人に見守られ、支えられ、励まされ、たまには叱咤され、元気つけられ、背中を押され、生きて来た。

 

 

そして残された少ないであろう人生を考える時、我が人生、何も悔いなし、有難い人生だと

 

 

感謝!深謝!心射!の心境である。