前回のブログでは最愛の奥様を亡くし、寂しい年末・正月を過ごされた90歳の男性の悲痛な思いと後悔、

 

 

そして亡き奥様に対する感謝、これからの残り少ない余生を前向きに生きる決意と世の夫婦に対する

 

 

お互いを思いやる心の大切さを訴える新聞での投稿記事を紹介した

 

 

私自身、これは世の男性陣に対する奥様、家族、家庭を大事にしなさいという警鐘とも受け止めた次第である

 

 

 

私たち夫婦も結婚以来52年余、お互い後期高齢者の年金生活となり、二人とも健康診断では年齢相応にあっちこち注意信号が出てきているが

 

 

幸い今のところ、特に大きな病状や怪我もなく平々凡々とした老後を過ごしている

 

 

 

そんなゆっくりとした時間が流れる日々の中でのある日のことである

 

 

 

 

日本列島全体を寒波が襲来し、北国では大雪のニュース、南国鹿児島でも最低気温が0℃、最高気温が10℃を下回る天候が続いていた1月中旬、

 

 

妻と市内に住む娘・孫娘(4歳・1歳)と市内に新しく出来た温泉に出かけた

 

 

鹿児島市内の公衆浴場は殆どが温泉であり、特に寒い日の温泉は身体が芯から温まり最高のリフレッシュ気分である

 

 

帰りは可愛い孫からのお願いで近くの料理店で食事を予定していた

 

 

その昔50年以上前、新婚当時の借家には風呂がなく近くの公衆浴場に妻と一緒に出掛けたものである

 

 

そして壁ひとつで仕切られた男湯と女湯の壁越しに、私が「お~い」と合図の声をかけることで一緒に上がり、火照った身体で坂道の続く自宅に帰る生活が4年ほど続いていた

 

 

まさに「南こうせつとかぐや姫」の唄う「神田川」の世界である

 

 

 

 

新しく完成した温泉も、サウナ、湯風呂、水風呂、露天風呂と完備し、お年寄りから子供までの利用客が、この世の天国とばかり、くつろぎとやすらぎの時間を過ごしている

 

 

お湯に浸かっていると壁越しの女湯から1歳になる孫娘と老妻の言葉のやり取りが聴こえてきた

 

 

言葉にならない赤ちゃん言葉と妻のなだめる言葉が何とも言えないのどかで平和な世界をを感じさせる

 

 

そして私自身はサウナや水風呂を交互に入り温泉気分を楽しんでいた時、女性従業員が私の名前を呼び掛ける声がする

 

 

何事かと聞くと妻が露天風呂で倒れて出血し、救急車を呼んだとのことである

 

 

ただ意識はしっかりしており、歩くことも出来るので心配はいらないと思うが、身体を洗ったら1階のロビーの場所まで来て欲しいとのことだった

 

 

急いで身体を洗い着替えていると、4歳の孫娘が女性従業員に連れられ入ってきた

 

 

あどけない声で「バッバンが倒れ血が出ている」と不安げな表情である

 

 

急いでロビーまで出てみると、丁度救急車が病院に向けて出たところで妻の症状は確認できなかった

 

 

従業員の話によると妻は露天風呂に入る開き戸を開けて数歩歩いた途端、温泉特有のヌルヌルした床に足が滑りそのまま後ろ向きに倒れ、

 

 

段差のある開き戸の敷居の角に後頭部を打ち付け出血したとのこと

 

 

傷口そのものは小さいがタオルで傷口を押さえ止血してもなかなか血が止まらなかったので救急車を呼んだとのことだった

 

 

着替えも自分で出来て受け答えもしっかりして歩くことも出来るので大きな心配はいらないと思うが……とのことである

 

 

 

と言っても自分がこの目で確かめた訳ではない

 

 

心配して待っていたところ、救急車の後ろを付いていった娘が帰ってきて県立病院に搬送されたと教えてくれた

 

 

症状を聞くと従業員が話してくれたとおりである

 

 

ただ露天風呂で妻が仰向けに倒れた時、娘や4歳、1歳の孫娘も一緒にいて

 

 

娘はタオルで止血し、4歳の孫娘は「大丈夫???大丈夫???」と言いながら露天風呂のお湯を洗面器に汲んで妻の身体が冷えないようにかけ続けてくれたという

 

 

そして1歳の孫娘も心配そうな顔でオロオロと妻の周りを歩き回っていたという

 

 

話を聞いてその情景が脳裏に浮かび胸が詰まる思いをした

 

 

 

 

妻が搬送された県立病院に着くと救急外来の処置室に案内され、その入り口で待つこと1時間余り、

 

 

その時間の長さに「悪化したのでないか?」と悪い症状を心配したがようやく処置が終わり、処置室に入ると妻がベッドに横たわっている

 

 

 

処置した医師の説明によると後頭部が少し裂傷し3針縫ったとのことである

 

 

出血が止まらなかったのは動脈の一部を傷つけたからで心配はいらないと思うが、今晩一晩は注意して様態が変わったらすぐ連絡して連れてきてくださいとのことだった

 

 

妻も「心配をかけてごめんね!」と受け答えもしっかりしており取り合えずホッと一安堵

 

 

 

温泉帰りは孫たちと楽しく外食予定だったが、それもかなわず近くのスーパーで夜食用の弁当を買い家に帰ることになった

 

 

その晩は愛飲している晩酌の芋焼酎も控え、まんじりともしない夜を過ごすことになった

 

 

 

翌朝、目覚めた妻は負傷部位の痛みは少しあるとのことだが、元気な顔を見せていつものように朝食の準備をしてくれた時にはホッと胸をなでおろすことだった

 

 

 

6日後県立病院で抜糸することが出来た

 

 

 

人間、いつ、どこでどのような災難に合うか分からない

 

 

自然災害もあるろう

 

 

不慮の事故もあるだろう

 

 

突然の病いもあるだろう

 

 

 

今回の妻の突発的な事故も、折角の娘や孫娘たちとの楽しいひと時を過ごす予定も妻が痛い思いをすることになったが、

 

 

それでも見方・考え方を変えると「不幸中の幸い」この程度の軽い怪我で済んだと言えるかも知れない

 

 

 

そして節分の日

 

 

娘や孫娘と一緒にこれ以上の厄が来ないよう、厄落としの願いも込めて、鹿児島市内最古の一之宮神社で厄払いの祈祷を受けたのであった