中沢 かつゆき

 

鎌倉市政への提言

 

鎌倉市政に目を向けたとき、多くの問題が起き、未だに解決されずに、不祥事が続いています。生活保護費盗難事件、期限切れワクチン接種事件、白紙請求書使用事件等。さらに、ゴミ問題、市役所移転問題、市役所職員の不祥事、大船駅東口再開発問題、大船駅西口マンション計画跡地問題、北鎌倉隧道閉鎖問題、深沢再開発問題、村岡新駅問題、学校改築問題、インフラ改修問題、クリーンセンター跡地利用問題、緑地管理問題等々。

そして、新型コロナ対策は、喫緊の課題です。

これからの4年間は、停滞している多くの課題を解決して、次の世代につないでいく大切な時間です。現在の鎌倉市の課題と未来について、提言を行いたいと思います。

 

鎌倉市の課題

1.ゴミ問題

   現市長となった12年前、山崎に計画していた生ごみ処理施設計画を白紙にしました。その後、代替案を示すことなく、議会からの指摘により、家庭での生ごみ処理機の利用促進、という代替案が出てきました。

その後、二転三転したゴミ処理計画が出されましたが、実現可能な政策は出ず、今泉、名越のクリーンセンター地元の皆さんの賛成を得られるものではありませんでした。

新焼却施設整備を目的とした「ゴミ袋有料化」は、増税であり、目的外となっている現状は、まず廃止すべきです。そして鎌倉市のゴミ処理計画を一度白紙として、市民の皆さんと一緒に計画を作っていかなくてはなりません。環境省は、平成25年から平成27年度までの3か年で、全国のごみ焼却施設改修整備補助金を終えています。ゴミの分別が進んでいる現代、これからの焼却施設整備はより効率的であり、より広域での検討をしていくべき、としています。鎌倉市に新焼却施設整備が難しくなっている現状、近隣市町とゴミ処理計画について話し合っていく必要があります。鎌倉市は、何も負担しないということはできません。鎌倉市だからこそできることもあります。

「広域観光」という一つの考え方があります。これは、インバウンドを見据えて、諸外国からの観光客の皆さんを、有名観光地だけでなく、周辺観光地にも訪れていただく、という考えです。鎌倉市は、国際観光都市です。諸外国のVIPも多く案内させていただきました。ゴミ処理計画と広域観光政策などを一緒に検討して、新しいモデルを作っていかなくてはと思います。

   今泉クリーンセンター跡地、名越クリーンセンター跡地の、利活用について地元の皆さんとの話し合いを始めていく必要があります。長い間、クリーンセンターを受け入れていただき、鎌倉市のゴミ政策にご尽力いただいています。跡地には、地元の皆さんが必要とする利活用計画を策定し、早いうちに実施していかなくてはなりません。地元の皆さんが、集える場を作りたいと思います。

2.コロナ対策

  新型コロナウィルス感染が広がり、自粛も1年半以上となっています。いかに新型コロナウィルスと付き合っていくか、さらには、新型コロナウィルス後をどうしていくのか。自宅での療養が増えている一方、自宅で重篤化している方も増えています。まず、自宅療養の方には、緊急通報装置をお渡しし、具合に変化があったときはすぐに対応できるようにする必要があります。

   鎌倉市の商工業も、深刻な経営問題に直面しています。昨年、金融機関、政策金融公庫は、新型コロナ対策として3年間返済据え置きの運転資金融資を行いました。しかし、ここまで感染が広がるとは想定しておらず、今年になってからの運転資金不足となっています。

   鎌倉市が、市内事業者に直接融資を行う必要があります。これは、金融機関や政策金融公庫での借り入れがある市内事業者に、鎌倉市が直接融資を行うものです。今を乗り切っていただき、コロナ後の鎌倉を一緒に作っていただく市内事業者の皆さんに、今を乗り切っていただかなくてはなりません。

   農水産業の皆さんとは、「マルシェ(市場)」を新しく深沢等に整備して、地産地消を進めていかなくてはなりません。鎌倉の農水産業は、きちんと守っていかなくてなりません。

 

3.市役所移転問題

  現市長2期目の終わりから、急きょ持ち出されたのが、市役所移転問題です。新市役所建設費は、当初220億円と報告がありました。その後数字の変化はありますが、その積算根拠は未だに示されていません。隣の藤沢市役所整備費は、約190億円です。鎌倉市の職員数約1,300人に対して、藤沢市職員は約3,300人です。現在の市役所跡地計画も定まっていない中、新ホールを建設という話も出てきました。

  また、市役所移転は、地方自治法で議会の特別議決を必要とします。しかし、鎌倉市議会では、本会議場の移転について、未だ議論も行っていません。議会を軽視し、議会の移転の話もない中、特別議決は不可能です。市役所移転は、白紙とすべきです。

市役所移転と合わせた深沢再開発整備は、消防本部やスポーツ施設整備などの公共施設整備、土壌改良費や雨水貯留施設整備、周辺インフラ整備費などと合わせて1,000億円を超える計画です。鎌倉市の一般会計予算は、年約600億円です。新型コロナ禍で、今後税収不足が想定され、対策費が増えることが予想される中、負担は不可能であり、とてもできるプロジェクトではありません。さらに、市役所のIT化が進んで、大きな市役所を必要とする時代は終わっています。

市役所の建て替えは、いつかは必要です。その時には、現在の市役所地に、市長室、総務部、企画部、議会のみを残して、それ以外を、野村総研跡地に施設整備を行うことが現実的です。市役所建設には国からの補助金は出ませんが、市民が利活用できる複合施設整備には、補助金対象となります。

東日本大震災後、全国で市役所機能分散化を行っています。これは、東日本大震災で大きな被害を受けた自治体で、合併旧庁舎が避難された方の受け入れや初期対応に機能したからです。鎌倉市でも、市役所機能分散化は行っていくべきです。

 

4.再開発問題

深沢再開発は、いつかは実施しなくてはならない計画です。しかしそれはコロナ禍の今ではありません。深沢再開発と一緒に議論される村岡新駅については、藤沢市に設置される新駅であり、鎌倉市ではありません。鎌倉市民も利用する、という理由で整備費負担をするのであれば、逗子駅や藤沢駅、本郷台駅も鎌倉市民は利用します。整備費を負担したことはありません。新駅計画と深沢再開発は、まず切り離して検討していかなくてはなりません。

深沢再開発計画地は、交通インフラが十分整備されていません。まず、交通インフラの整備が先です。モノレールは、接続車両を増やすことはできません。周辺道路はバスでも渋滞しています。深沢再開発には、まずインフラ整備を行っていく必要があります。

   深沢再開発計画は、すぐに進めていくべきです。鎌倉産の農産物や海産物を販売して、加工品も販売していく「マルシェ(市場)」をまず整備する必要場あります。市民の皆さんが集い、地域が活性化する場を、作っていかなくてはなりません。

 

 

5.野村総研跡地問題

野村総研跡地利用で、市民の皆さんのご意見は反映されず、民間企業に長期貸与と発表されました。野村総研跡地は、鎌倉市で文化教育利用を目的として、寄付をいただきました。しかし、発表されている鎌倉市の計画では、全く別目的となっています。野村総研跡地には、川崎市の日本民家園や小金井市の江戸東京たてもの園のような、鎌倉市の古民家を移築保存して、音楽堂や図書館など複合施設を整備して、多くの市民の皆さんが、休日も集まることができる場所とする必要があります。

 

6.北鎌倉隧道問題

   北鎌倉隧道は、閉鎖となって6年半。開削で補正予算が提案され、議会で可決されています。しかし、議会にも十分な説明もなく、予算執行を止め、「地域の皆さんと話し合う」、「危険」ということで通行止めとなったままです。この間、崩落がありましたが、なんら進展はありません。予算執行を止める、という話がありましたとき、真っ先に上部の木の伐採を求めました。しかし、しばらくそのまま放置し、崩落しています。

小坂小学校区であり、トンネルを使用して通学していた児童も、危険な県道に回らざるを得ず、一度もトンネルを通って通学せずに、卒業した児童もいます。

まず、通ることができるようにするのが、行政です。ゼネコンの技術の皆さんに聞きましたが、現代の土木技術で景観を維持したまま保護することは可能です。まず、市民の皆さんが通ることができるようにして、その後開削をしていくのか、そのまま保護していくのかを話し合っていくことが大切です。

 

 

 

7.議会提案予算創設

   現職の時から提唱している、「議会提案予算費」の創設をしていく必要があります。予算の提出は、基本市長提案のみです。議会では、市長から提出された予算案に対して、審議し、採決を行います。一部予算の組み換えは可能ですが、基本は市長提出です。議員は、政策として取り組んでいることがあった場合、市長に提案して予算化してもらう必要があります、しかし、なかなか実現することは難しい現実があります。例えば、鎌倉市に新しい取り組みを導入したいと思っても、市長からは「予算が」で終わりです。議会と若手職員で、予算について議論を行い、決めていく「議会提案予算は、議員は自ら予算を決めることができる一方、議会内で過半数を取る必要があります。若手職員は、予算について議員と一緒に勉強して取り組み、議会との交流ができます。10年後、若手職員が鎌倉市役所の中心世代となった時、議会との人間関係がきちんとできているので、真摯な議論となっていきます。

 

8.市民会議創設

   鎌倉市の課題は、たくさんあります。特に重要課題については、「市民会議」をその都度立ち上げ、半年をめどに提言をまとめていただき、市長はその提言を尊重していく必要があります。多くの市民の皆さんが、鎌倉市に対してアイデアをお持ちです。しかし、そのアイデアは、なかなか伝わらない現実があります。

最後の決断は、市長です。その責任も、市長です。

その過程で、やはり市民の皆さんのご意見を伺い、市民の皆さん意思を大切にするのは当然です。テーマごとの市民会議を、ぜひ作っていかなくてはと思います。

 

 

列挙した以外にも、多くの問題を抱えているのが、今の鎌倉市です。市長、議会、職員、市民と一緒になって課題を検討して、解決していくことが大切です。そのためには、まず解決のロードマップを作っていくこと。そして、そのロードマップを広く公開していくことが重要です。

議会、職員の信頼を取り戻して、市民と一緒になっていく。今の鎌倉市に、無いものであり、次の4年間で戻さなくてならないことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鎌倉の未来

 

鎌倉の未来。それは、次代を担う子供たちが、住み続けられるような鎌倉でなくてはならないと思います。

若い世代は、決して政治に無関心ではありません。自分や家族、これからの子供たちの社会に、不安と希望を持っています。保育園の頃から知っている若い世代とよく話しますが、皆政治に向き合っています。しかし、子育て世代から社会の中心となる世代は、仕事や子育てが忙しくなり、しがらみができ、政治に直接向き合う機会が少なくなっています。

有権者世代全てが、次代に責任を持っています。選挙で選ばれた市長、議員。事務を執行していく市役所職員。そして、市民の皆さん。鎌倉のこれからは、今を生きる世代が作っていかなくてはならない未来です。希望は、無いわけではありません。夢が、無いわけではありません。新しい鎌倉市を作り、次代にきちんと引き継ぐことができるような、鎌倉市でなくてはなりません。

そのためには、「投資」を積極的に行っていく必要があります。危機管理への投資、経済への投資、成長への投資、人材への投資。

次の4年間を、未来への投資の4年間としなくてはなりません。

 

 

市長とは

 

市長とは、「決断と責任」だと思います。市民の皆さん、職員、議会からの様々な提案を受けて、「決断」する。特に災害時には、瞬時の決断が求められます。そして、「責任」。市役所における事務執行に関しての責任は、全て市長です。

多くの皆さんからご意見をいただき、「決断」したことに対して、全て「責任」を負う。

昨今の多発する自然災害。多くの課題のある鎌倉市。今求められている鎌倉市長は、「決断と責任」のある市長です。