「かつての学習院は上流階級の子弟中心でしたが、
中等科を卒業して旧制高校を受験しても、
合格率は高くありませんでした。
華族の子であっても、
優遇されることはなかったわけです。
 それが大正から昭和に入ると
裕福な家庭の方が受験に有利という傾向が顕著になります。
家庭に本が多い、
親が勉強を教えるといったことが子の学力につながるので、
必然的にそうなる。
明治維新で生まれた機会の均等という建前が徐々に崩れていきました。
 しかし、敗戦で誰もが貧乏になったことで、
またリセットが起きます。
戦後しばらくの間は、
難関大学でも貧しい家庭出身の学生が多くいました。
明治維新や敗戦という「ガラガラポン」があったことで、
機会の平等が担保されたという側面があるんです。
 明治維新から敗戦までが77年、
敗戦から今年で74年ですから、
経済的理由で教育格差が広がってきているのは、
ある意味、必然ともいえます」
『朝日』11月5日