「反体制活動でたびたび逮捕され、
1989年の民主革命で
チェコスロバキア連邦大統領になった
劇作家のハヴェルは、かつてこう語った。
「知識人とは、もともといつでも、
戦う前からすでに敗北しているもの、
永遠なる敗北を宣告されたシジフォスのごときものであり、
勝利している知識人なんぞというものがうさんくさいのです」
(『ハヴェル自伝』)
 多様な理想を掲げる者は多数派になり得ない。
常に少数者であるはずだ。
「自己の敗北によって勝利する」。
ハヴェルはそう語ったのである。
負けたとて、それがどうした風が吹く」
『朝日』7月10日
署名は編集委員・近藤康太郎