伝統を守るために | 中屋敷左官工業(株)

伝統を守るために

先週のつづき。

「○○とはそういうもんだ」と常に前例踏襲し、新しい考え方、やり方を受け入れられない「もんだ族」の方々。

左官業界には「もんだ族」の方々がたくさんいらっしゃいます。

人間ウォッチングするのが趣味の私。

私が感じている「もんだ族」の方々の特徴を述べさせていただきます。

自分が何十年も今まで頑張ってきて、自分のやり方に確固たる自信をもっている。

左官という技能は1400年以上続いてきた伝統技能であるという誇りを持っていらっしゃる。

この二つのどちらかには当てはまるのではないでしょうか。

「伝統を守る」

この想いは素晴らしいとは思います。

しかし、伝統を守るということは「今までのやり方を変えない」ということなのでしょうか?
それで本当に伝統は守れるのでしょうか?


仕事というのはお客様あって成り立ちます。

どんなに難しい、手間のかかる仕上げで、「最低でも1㎡5万円の壁です!」と言ったところで、今のお客様のニーズに合わなければ仕事になりません。

仕事にならないとなると、その技術は最終的には無くなります。
せいぜい、内輪の趣味の世界で終わり。

「いや!そんなことはない。現に仕事としてやっている!」という方もいらっしゃるでしょうが、左官業という世の中の全体枠からいうと、0.0000数%程度と思います。

どんなに昔からある伝統でも、世の中に求められない物は滅亡していくというのが世の常。

大事な事は「伝統工法を今の時代のニーズに合わせて新しい価値として提供していくこと」と思います。

そのために必要なのは、「独創性」とか「想像力」とか「とらわれない」などの考え方と思うのです。

私と同じ考えをお持ちの左官職人さんをある雑誌で見つけました。

久住章さんです。
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文章のいくつかを抜粋させていただきますと、

「これはこうするものだ」という固定概念にとらわれるのではなく、そうでないやり方も考えたいものです。正しいか正しくないか・・・ではなくて。

「伝統」というのは大変重要なものです。しかし、「古いものが何故廃れてしまったのか?」という点もしっかり考える必要があるのではないでしょうか?
伝統を守りたいという人は、歴史的価値を少しでも高めて知ってもらおうと努力しています。
私も伝統は大好きですが、伝統を守ろうとする多くの人々とアプローチの仕方が違うだけだと思っています。
私はポジションをちょっと変えて、新しい事を提案した方が左官の伝統を残せると思っているのです。
左官を残すためにも、新しい事に挑戦しようと考えてきたのです。

伝統的なものに興味を持っている若い人も多いけれど、現実は厳しいですね。
伝統だけで生きていける職人は本当に少数です。
一方、新しい事をやるためには、どれだけ引き出しを持っているか、どれだけ提案が出来るかが勝負になります。

無理をして努力しなければ残らないものは、いずれ消えていくのです。
本当に必要なものしか残らない。

(すべて原文のまま)

まったく私も同感です。

伝統を守るために、前例踏襲を捨て、新しい事に挑戦する必要があるのではないでしょうか?