あれから11年。



2万2000人以上の方々が犠牲になった東日本大震災から、11年が経ちました。あらためて大自然の猛威により、天に召された御霊に対し哀悼のまことを捧げ、衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。

また、未だ避難生活を余儀なくされておられる被災者3万8139人に上る皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

 

大阪出身の私からすると、阪神淡路大震災以来の大災害であったとの印象が非常に強いのが正直なところです。

 

東日本大震災発災時、私は今と同じく政治家人生における浪人中でありました。1人の民間人として、いても立ってもいられなくなり、同じく浪人中の仲間達と一緒に被災地に赴かせて頂き、ボランティア活動に従事しておりました。

 

命を守る政治を志し、今まで継続的にこだわりをみせやって来たのが、日本全国の「学校施設整備」に関する取り組みという政治家としての活動でした。

 

皆さんは大災害発災時、どこに逃げ込みますか?恐らく殆どの皆さんが、ご自宅近くの学校施設に逃げ込まれるだろうと思います。ところが避難所に指定されている学校が万が一同じく被災し、建屋などが崩壊している状態であったとしたら、それ以上一体どこに向かえば良いのでしょうか?途方に暮れるどころか、命に関わる一大事となります。そういったことが起こらないように、そして何よりも学舎で学ぶ子供たちが、安心して学校で過ごせるように、保護者の皆さんが安心して子供達を学校に通わすことができるようにしなければならないと固く誓い、衆議院議員在任中これら学校施設整備の政策や予算の取りまとめを行い、 文部科学省は勿論のこと、財務省などの関係省庁に赴き、 予算の獲得に努め、実現して参りました。 

 

その成果は全国の義務教育学校施設、公立学校や私立学校の区別を問わず、 「子供の命に公私の格差は無い」、「学校に命を守るシェルター機能を」との考え方に基づき継続的、精力的にやって参りました。

 

特にどこからそのモチベーションが湧いて出て来たかといえば、東日本大震災発災直後に大川小学校に行った時でした。決壊した川の堤防は臨時的に整備され、車1台通行するのがやっとでした。そして隣村から毎夕僧侶がお越しになられ、小学校の校舎があった方向に向かわれお経を上げておられました。

 

また自衛隊が捜索した後には、そこの土を掘り返した証として三角錐のような形に積み上げられ、土盛してあったことを忘れません。

 

親として子供を失う事ほどの悲しみはありません。学校の目の前にあった病院も含め、自然の猛威やその爪痕をみました。どこにどうぶちまければ良いのか全く分からない、悔しさにも似た悲しみを痛いほど感じました。

 

また、避難所にも出かけましたが、そこで雑魚寝している被災者を見て、自民党災害対策特別委員会の中に「二次被害を防ぐ」という目的に特化した議論のできるグループをつくり、自らが委員長となって避難所の知識が豊富な民間の皆様とコラボしながら政治や行政を動かしてきました。避難所における雑魚寝は、体内に血栓ができる可能性が一挙に上昇し、それによって避難所で本来救われるはずの命が失われてしまうリスクがあります。それを防止しようという取り組みです。

 

皆様も一度はご覧になられたことがあるとは思いますが、所謂避難所における「段ボールベッド」。これは小学校の同級生であった現在段ボール屋さんの社長で水谷君が一所懸命頑張って、当時避難所を回っているのを知り、力を合わせて一緒にやろうと言うところから、始めました。コロナが収束したら避難に関して先進国であるイタリアに視察に行けたらと思っています。ちなみに米国のFEMAは、イタリアの組織をモデルに組成されたそうです。他にも、捜索と捜索途中で残念ながら発見されるご遺体の保全に取り組むことも法整備等を検討する勉強会を組成し、自ら事務局長として取り組んできました。所謂エンバーミングに関しての取り組みです。これに関しては、浪人中の現在もその取り組みを継続しています。

 

「1人の日本人として、日本を強くする。」これがいま、私が自分自身に課した浪人中のテーマです。現役の国会議員の皆さんに対して、私が勝手に勝負を挑んでいるのです。勝負に関しては、厳しく臨んでいきたいと思います。

 

さて、ウクライナ情勢についても、気になるところを通り過ぎてきました。日々繰り返されるロシアによる子供や妊産婦に対する卑劣な攻撃の報道を観るにつけ、悲しみと怒りが込み上げて参ります。そして人の情け無さを感じます。

 

世界はいま、専制政治と民主政治の二分された世界になってきています。そこには2つの正義が存在し、正義と正義がぶつかり合って戦争という状態になり、第二次世界大戦より多くの戦争難民がウクライナから近隣諸国に移動しています。

 

しかし、私はプーチン露大統領が唱える正義や民間人に対する非道な攻撃に正義があるとは到底思えません。

 

プーチン大統領は、力による一方的な攻撃をウクライナに対して仕掛けています。ウクライナがNATOに加盟したいという希望を叶えることが、ロシアにとってのリスクになると言っています。果たして本当にそうでしょうか?

 

もしもそうなのであれば、2014年のクリミア半島併合は、一体どのような理由が成立するのでしょうか?

 

また、中国は今回のロシアによるウクライナに対する攻撃をみながら、色々なことを学び取っていると思います。例えば世界がロシアに対してどのようなリアクションをとるのかということを。

 

ロシアにとってのウクライナは、中国にとっての台湾です。世界がロシアの暴挙を許容することがあれば、必ず中国は台湾に対して、ロシアがウクライナに行ったことと同様のことを行うでしょう。それを防ぐために、民主主義の国に生きる私たちは今こそ国も民間も協力して、専制政治のリーダー、無秩序で国際的なルールを守らない国に対して、はっきりとした姿勢を示さなければなりません。

 

今回の戦争の最中にも起きた、「サイバーセキュリティ」の問題も、トヨタ自動車のサプライチェーンに対する攻撃によって、同グループが一日操業停止に追い込まれた状態をみて、一挙に日本の国内でもそのリアルさがある程度理解された形かと思います。

 

陸、海、空という3つの戦闘領域に加え、宇宙、サイバー、電磁波といった新領域についての防衛技術の構築を、精一杯スピード感を持って、国家としての投資を急ぐべきであると思います。

 

色々と申し上げました。正直まだまだ思いは書き尽くせませんが、東日本大震災から11年目の今年、私なりに思ったことを綴らせて頂きました。

 

あらためまして被害者のご冥福をお祈り申し上げますと同時に、被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。

 

いつでも被災地の皆さんと、一緒に悩んでいきたいと思います。


結にあたり、現在は高市早苗政調会長のもとで特別補佐(外交、国防、ゲームチェンジャー領域担当)として、自由民主党の政策立案の一翼を担わせて頂いて貰っております。





今までの立場と違っても、自分に課した目標を必達すべくこれからも日本の為に、日本国民の為に、1人の日本国民として尽力して参る所存です。


今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。


 

令和4311日金曜日

中山泰秀