* 日本経済新聞 令和2年6月7日朝刊より


この度、日本経済新聞より新型コロナウイルス対策の中における、出入国規制の解除についてインタビューを受けたので、自分自身の考えの一端を申し述べさせて頂きました。

とは言え新聞にはその特性上、文字数に制限があることは、ご承知の通りだと思います。

インタビューを頂いて、考えを申し述べさせて頂いておるわけではありますが、文字数の制限内に私の考えについて表現できなかったところを、ここに改めて記させて頂いております。

是非、ご一読頂けますと幸に存じます。


【 コロナ後の成長を目指して。段階的解除のあり方について考える。中山泰秀 】

 出入国制限の緩和は、当然戦略的に考えるべきだ。まだ世界的なパンデミック(世界的な大流行)から覚めやらぬ状況だ。日本が良くても相手国の意思もある。互いがどうハードルを下げるか、感染再拡大の防止を図りつつ検討されなけらばならない。現在、感染症危険情報レベル3に指定されている国からの日本への入国は、日本人は許されても外国人に対しては原則認められていない。他方で、外国籍を有するものであって、日本に在留資格を有する者も再入国を許可されないことに対しては、JAPAN RISKという別の解決すべき課題もある。


 まるで江戸時代の鎖国を、世界各国が同時に行うことを強いられている状態にある。科学的根拠に基づく世界と日本の段階的解除への歩調合わせが急務だ。


 特に台湾は、日本への入国を優先的に認めてもいいのではないか。世界でいち早く新型コロナウイルスの脅威を世界保健機関(WHO)に指摘した。防疫もうまくいっている。

 リスクは平等にやってくる。先ずは特別の理由があるビジネスマンから優先されるだろう。その後、留学生、観光客の順で段階的に緩和する方法を政府は論じるべきだ。きちんと検査をして、科学的・医学的根拠に基づき判断すべき考え方が必至だ。


 外国人を受け入れた場合、万一の感染に備えて行動を追跡できるかどうかが重要になる。観光客の受け入れに関しては、台湾の団体旅行から緩和し世界に先駆け段階的解除のモデルケースをつくることを模索すべきだ。団体旅行であれば、ホテルや食事場所も全て管理、追跡調査することも可能だ。来年の五輪を見据えてインバウンドの受け入れ先が自立できるように1日も早く施策をうって欲しい。


 日本の在留資格を持つ外国人の再入国問題もある。やもを得ず祖国に戻り日本に再入国しようとしても、特別な事情がない限り認められない。主要7カ国(G7)で再入国許可のハードルが高いという現実の壁があるのは日本だ。このようなケースには、日本に投資を行い、雇用を生み出し、経済的に日本のGDPに貢献している外国人投資家も含まれている。これは日本への投資を逃がすことを意味する。経済的リスク=JAPAN RISKという見方になる。


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以上、コロナ禍でマルチの会合はもとより、バイラテラルの会合ですら集まるのが難しい時期に、テレワークにも正直限界もあり、先ずは二国間関係において段階的解除全体の基準となるようなモデルを、日本が率先して作るべきだと考えています。

 その最短距離、すなわち「近道」の為の簡単なロードマップイメージを提案しております。


 国際ルールを策定しろと言うのは簡単ですが、いかにも今回のような特殊な有事における実務を考えると、そう簡単にはいかない事情があるのが実態です。


理想論を言う政治は嫌いです。

とは言え、理想論も時には良いでしょう。

他方で、今理想論を言ってる場合ではありません。


リアルに、「実践=実戦」主義で。

 

 やろうと思えば可能であり、ベストなお話を提案させて頂いています。また色々な意味で発信すべきメッセージが、この戦略には込められていると思います。


 以上、日経新聞のインタビューと、掲載記事の確認を終えて、思うところを綴らせて頂きました。


 取材に来てくださった優秀な記者の方、またこの記事の編集に携わって下さった全ての皆様に、心から感謝申し上げます。


ありがとうございました。




感謝

中山泰秀