新年明けましておめでとうございます。

皆様方におかれましては、お健やかに令和2年の新春をお迎えの事とお慶び申し上げます。

旧年中は大変お世話になりまして、誠にありがとうございました。

本年も変わらぬご指導ご鞭撻を賜ります様に、何卒よろしくお願い申し上げます。



「非常に抜けている部分もある国」を改善する。



さて大晦日は除夜の鐘の音色の様な名前が、ニュースを賑わせていました。

カルロス・ゴーン容疑者が、レバノンに逃亡をしたと言う報道です。


容疑者本人は自分自身の正義を掲げてはおりますが、逃亡自体は完全な法律違反。

より罪が重くなるであろう環境を容疑者本人自らがつくり出している状況に鑑み、日本の司法制度に対する非道な挑戦を観て残念に思います。

彼は最早、逃亡者となりました。


他方で、「日本はとても有能な国だが非常に抜けている部分もある。そこが出国できた理由ではないかと思う」との逃亡者カルロス・ゴーン容疑者の指摘を認めたくは無いものの、実はとても正確な指摘と言わざるを得ないと思っています。


この件に関する取材記事や、一部有識者に対するマスコミのインタビューを見ていると、「日本が身柄引き渡し条約を結んでいるのは米国と韓国だけで、レバノンとは結ばれていない。先ずは弁護人が説得する事になるが、戻る意思は全くない。次は外交ルートを通じての交渉になるが、統治権を侵害されたと強くレバノン政府に申し入れても、基本的には自国民の保護を最大限に考えるから、身柄引き渡しは非常に難しい」等と言った意見が記事中に散見される。


確かに結果から言って、ゴーン容疑者が日本の土を再び踏む事は無いだろう。

一般論として逃亡者が、わざわざ捕まる国に戻って来る事は無いと思うからだ。


他方で身柄引き渡し条約が無いからと言って、それをもって日本に帰って来ない理由の一つとするのは如何かと思う。また、法要出席を理由に裁判所の許可を取った上で韓国に出国し、そのまま逃亡した、「イトマン事件」の許永中被告の前例を持ち出す有識者も複数いるが、これは今回のゴーン容疑者のケースとは全く異なり、裁判所の許可を得て出国している時点で大きな差がある。


むしろ比較をするのであれば、20006月にタイ王国から日本に引き渡された、日本赤軍の田中義三との比較をすべきではなかろうか。何故なら既にお察しの通り、タイ王国と日本国の間に身柄引き渡し条約は存在していない。にもかかわらず、田中義三は逮捕帰国している。


では引き渡し条約が存在しない中で、一体どのように逮捕帰国させたのか。

この答えは「両国当局間で相談し連れ戻す事が決定された」つまり条約の無い二国間であるにも関わらず、逮捕帰国が成立したと言うのが理由だ。


つまり条約が存在していない二国間においても、個別具体的に両国当局間で相談をし、双方が合意さえすれば、逮捕帰国が成立する可能性はゼロでは無いと言う前例も、日本国と外国政府との間には存在していると言う事実だ。


そう考えるとより一層重要になってくるのは、関係国との外交における話し合いと言うことになる。無論、各国の治安当局も交えての話だ。


しかし、それでも結果は予測できる。ゴーン容疑者は帰ってこないだろう。すなわち逮捕帰国する事は無いと言うことだ。

何よりもレバノン大統領が、ゴーン容疑者がレバノン到着後に面談する程の特別扱いを行っている事を考えても、レバノン政府は到底ゴーン容疑者を引き渡す気等さらさら持ち合わせてはいないだろう。


ところで、今年は日本で東京オリンピックパラリンピックが開催される重要な年に当たる。

政府の計画通り、インバウンドの数字が順調に上昇して来ている中、世界中から日本に観光客が来訪している。


北朝鮮がミサイルを撃っただけで宿泊やフライトのキャンセルが出ると言う情勢の中、万が一に備えた安全保障やカウンターテロリズム等の対策が求められる。

それは日本の安全神話に直結する超重要課題だ。

海外での前例を観ていても、危険な所に観光客は寄り付かない。


そのような重要な時期に、「蜜出国」と言うゴーン容疑者の逃亡に対処出来なかった日本政府の水際対策には、大きくポッカリ空いたセキュリティホールが世界から目立ち、注目を浴びてしまう結果となった事は否めない。


人手不足と言えば、それまでだ。訓練不足と言えば、それまでだ。大切なのは如何にして見抜いて行けるのかだ。具体的には記述しないが、対テロ戦における世界的レベルの最先端情報技術をいよいよ日本にも導入すべき時が来ていると思う。


遡る事1973年。当時の日本では金大中事件と言う事件が発生し、実に国家主権が侵害されている。あれから47年。今回の事件は私の感覚からすれば同様の事で、当時と現在と変わらないのは日本人の持つ「今そこにある危機」に対する対応の感覚、つまり危機感とそこから来る時代に合った危機管理対応センスである。


逃亡者カルロス・ゴーン容疑者がいみじくも指摘している日本に対する考えの一端、「日本はとても有能な国だが非常に抜けている部分もある。そこが出国できた理由ではないかと思う」について最後に思う事を記しておきたい。


「日本はとても有能な国だが非常に抜けている部分もある。そこが〇〇〇〇できた理由ではないかと思う」の〇〇〇〇に入る言葉を如何に無くして行けるのかが、日本人の私達に問われている。


最低でも、「テロ行為」と言う文字は、絶対に入れさせない様にして行かなければならない。


その為にも、伝統的意義とは全く異なる新たな戦闘領域、宇宙、サイバー、電磁波等に的確な対応を実行する為の法整備や、時代に合わなくなった憲法を改正する事を目標にして参りたいと思います。


本年も引き続き、治安テロ対策は無論、外交、防衛、教育の中身等を中心に、日本国国家国民🇯🇵の繁栄発展の為、未来を背負って立つかわいい子供達の時代の為、精一杯尽力して参ります。



乾坤一擲


自由民主党 

外交部会長 衆議院議員 中山泰秀