「中山泰秀のやすトラダムス」
Kiss-FM KOBE 89.9Mhz 毎週日曜日24時から生放送。
先週日曜日放送分が配信されました。
JB PRESSとのコラボレーションを行っております。
是非、お読み頂けますと幸いです。

感謝
中山泰秀


以下、JB PRESS より。

【失敗を叩くだけでは日本は何も良くならない】
『米国には「失敗会議」もある。もっと世界へ出ていこう!』
2012.10.05(金)

前参議院議員の田村耕太郎氏を電話ゲストに迎えた今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)。「未来を生きる世代のために」というテーマで、現在の政治や経済、教育や外交の課題などについて語った。


『世界を知ることで育まれる「多角的な視点」と「祖先への感謝」』


中山 今回は、参議院議員を2期にわたって務められた田村耕太郎さんにお話を伺います。田村さんは最近ご長女が誕生されたそうですが、今、子どもたちの20年後のために何ができるかが非常に重要だと思います。その視点から現在の永田町の政治を見ていかがですか。

田村 「国民のため」と皆が言います。本当にそう思っている政治家も多いのでしょうが、結果がなかなか伴っていません。それが20年後に大きく影響してくると思いますね。
 今後人口が減少し、経済も弱くなると言われています。人口が減ると防衛に回る人間も少なくなり、経済が弱体化すれば防衛予算も縮小されるでしょう。
 周辺国が日本よりも高い成長を遂げると予測される中、我が国の存在感は薄れつつある。自分だけでなく、子どもたちの世代が今後ますます不安定な状況に置かれることを考えると、真剣にならざるを得ませんね。

中山 6月28日に田村さんの著書『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』が発刊されましたが、どんな気持ちで執筆されたのですか。

田村 産まれたばかりの娘が成人し、世界に出ていく頃の日本を想像して、そこから逆算すると今何ができるのかを考えて書きましたが、世界は広いということ、また世界を見てきた人でなければ今後の日本は変えられないということを皆さんに伝えたいですね。日本を、もっと相対的に見てほしいんです。
 例えば今、ロシア、中国、韓国が領土問題で日本に対して同時に行動を起こしていますが、ロシアの友人に話を聞くと中露は結託しているわけではなく、むしろ非常に仲が悪い。
 日本はそこを分断して上手く交渉すべきだし、そういう多角的な視点を持つ意味でも外に出る経験には大きな意義があります。
 それに、日本を出たらこの国のすごさがもっとよく分かると思うんです。日本にいると「経済も政治も教育もダメ」という話になってしまう。確かに問題も多いですが、海外に目を向ければもっとダメな国はたくさんありますよ。

田村 日本は水道の水も飲めるし、何より安全です。これからは豊かさを維持するために努力する必要がありますが、今は世界中から好感を持たれる素晴らしい国です。
 「他人の飯を食う」ことで親のありがたみが分かると言いますが、外に出て初めて日本の良さが理解できるし、我々の祖先や歴史への感謝の気持ちが生まれると思います。

中山 今の日本を見ていると内向的というか閉鎖的で、日本からの留学生も減っていると言われています。教育問題についてはどうお考えですか。

田村 中山さんは若い頃フランスへ行っていろいろな経験を積んだから分かると思いますが、多様性の中に身を置いて外国人に意見を述べたり説明をするのは大変なことですよね。
 今の政治を見ても分かる通り、そうした経験をしていないと多角的な視野が持てないんです。いろいろな意見を聞いても、グローバルではない視点が多い気がします。
 日本の人口は世界の約2%以下で、世界経済に占めるGDPシェアは5%ほどに過ぎません。つまり95%以上の人口や経済は日本の外にあるわけです。
 エネルギーや食糧、貿易も、諸外国との関わりがあって日本は初めて成り立っている。だから教育も、そうした現実を知る機会をもっと持たせるべきではないでしょうか。


『名だたるベンチャー企業が過去の失敗談を発表し合う「失敗会議」とは?』


中山 先日、自民党新総裁に安倍(晋三)元首相が選出されました。これに対して、フジテレビの情報番組で出演者が「お腹が痛くなって辞めちゃった」と揶揄する発言をし、ネット上で批判が相次いでいるそうです。
 それだけを非難するつもりはありませんが、自民党総裁選が大きな盛り上がりを見せて安倍氏が当選すると、今度は「病気を原因に辞めたじゃないか」という各メディアのネガティブ報道が増えています。
 これはメディアによる一つのいじめだと思うのですが、元参議院議員の立場から田村さんはどうお考えですか。

田村 私は安倍内閣で内閣府大臣政務官に任命され、「経済財政政策・金融・再チャレンジ」を担当しました。安倍内閣時代の2006~07年は、日経平均株価が今よりも約1.5倍高かったんです。経済はもちろん、教育や公務員制度改革でもきちんと実績を出していました。
 日本が改めなければならないのは、失敗を叩き過ぎるところです。米国がすごいのは、たとえ失敗しても再チャレンジできるから。もっと言えば、シリコンバレーでは失敗した人にしかお金を出さないんですよ。

田村 私は今月22日にサンフランシスコで開催される「失敗会議」(FailCon)を見に行く予定です。これは、シリコンバレーで成功を収めた名だたるベンチャー企業が過去の失敗談を発表し合う会議で、かつてはスティーブ・ジョブズも参加しています。
 そこに学生や若い起業家が集い、失敗談を聞くことで勇気をもらい、「チャレンジすることがイノベーションにつながる」と理解するのです。
 また、ベンチャー企業にお金を出す投資家も、失敗していない人には出資しません。なぜなら、失敗していない人はチャレンジしていないから。
 失敗した人はそこから学んでいるから価値があるし、失敗から学んでチャレンジした人は二度と同じミスを犯さないため、安心してお金を出すわけです。だから、失敗から学ぶことを認めなければ、日本にイノベーションは生まれないでしょう。
 日本もこれだけ失敗しているのだし、20年もデフレが続いたのだから、これからが再チャレンジです。自民党や安倍氏だって同じこと。失敗から学んだ人に任せるのは素晴らしいことだと思います。


『日本のODAで空港を建設し、香港証券取引所で上場させた中国』


中山 続いて、外交の話題についてお聞きします。中国の楊潔チ外相は9月27日に国連総会で演説を行い、尖閣諸島は「日本が盗んだ」と名指しで非難しました。
 中国は日本にとって欠かせないビジネスパートナーでもありますが、今後彼らと上手く付き合っていくためにはどうすべきだと思いますか。

田村 中国は政権交代期に入り、日本も衆議院議員総選挙を控えていますから、両国ともに引くに引けず、今後さらにエスカレートするでしょう。
 しかし経済面で言えば、日本の技術や商品がないと困るのは中国です。だから彼らも本当は落としどころを探したいと思っている。ただ、国内が不安定なままで政権交代を迎えるわけにはいきませんよね。そうした政情不安が、今回の強硬的な外交姿勢に表れています。
 特に、「太子党」対「共青団」の権力争いが背景にあると言われています。経済界からは反日を沈静化させるようプレッシャーがかかる一方で、権力争いから後戻りできなくなっているんです。
 現実的には時間をかけて解決するしかありませんが、これまで一番欠けていたのは日本側の説明ではないでしょうか。国際社会に対してもそうだし、70年代に中国が突然尖閣諸島の領有権を主張し始めてからも、日本はもっと主張すべきでした。


田村 例えば東南アジアの国々やオーストラリア、米国など、日本に好感を持っていたり、日本の存在感が中国よりも低くなることを危惧している国はたくさんあります。
 ですから、自国だけでなくそうした国の力も上手く使いながら、日本の立場やこれまで我が国が中国に援助をしてきた事実などを、国際社会に説明していくことが大事だと思います。

中山 日本は中国に対して多額のODA(政府開発援助)を拠出してきました。ところが中国政府は、そのODAで北京首都国際空港や上海浦東国際空港を建設しました。それだけにとどまらず、2つの空港をなんと香港証券取引所で上場させたのです。
 すなわち、ODAを原資に会社を作って上場させたということですが、これはODAの規定からすると詐欺・横領にあたります。ストックオプションを返還してもらうべきだと私は思います。

田村 その事実は私も初耳ですし、ほとんどの人が知らないと思います。政府でもそれを主張している人はいないのではないでしょうか。

中山 日本の対中国円借款に関しては、中国はしっかりと返済していますが、あれだけ経済発展が著しいのですから当然だと思います。

 最後に、田村さんから未来を生きる世代へメッセージをお願いします。

田村 今はこれだけ円が強いし、LCC(格安航空会社)も発達しています。若い人だけでなく、多くの人たちがどんどん世界へ出ていろいろなものを見てきてほしいですね。





『中山泰秀のやすトラダムス』 9月30日 24:00-25:00放送分

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