『平和ボケの日本を象徴するオスプレイ配備問題』
~国防は国の専権事項、国際情勢に危機感を持って臨むとき~


今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)では、中山氏が沖縄の領有権を主張し始めた中国をめぐる動向について語ったほか、いじめ問題に対する提言などを行った。




「中国との領土問題が、国防に関する“国”と“地方”の関係をあぶりだす」


中山 JBpressが『沖縄の領有権まで主張し始めた中国の国家主義者』という英フィナンシャル・タイムズの翻訳記事を掲載しています。
 記事では、中国で影響力を持つ一部の国家主義者たちの思い通りになれば、尖閣諸島を巡る対立は、それよりはるかに重要な島々にまで拡大する可能性があると指摘しています。
 日本の近海には、中国との尖閣諸島問題や韓国との竹島問題など諸々の領土問題が存在しますが、中国では日本による沖縄県や琉球列島の領有に疑問を呈すべきだと主張する人間が現れました。

 中華人民共和国の初代国家主席である毛沢東の談話をまとめた書物「毛沢東語録」に、敗北主義という概念が記されています。
 それは「共産主義者で共産主義国家に住まう者は、自国の勝利を祈れ。共産主義者で自由主義国家に住まう者は自国の敗北を祈れ」という考え方です。最近の国防を巡る議論からは、このことを思い起こさずにはいられません。
 我が国では今、オスプレイ配備問題をはじめ多岐にわたる国防問題がありますが、私は地方分権が国防にハレーション(副作用)を起こす時代になったように感じています。
 地方分権自体はいいことです。人・モノ・金が中央に集中すると地方まで届かないため、地方が市民に身近な目線で政治をしてほしいと多くの人が思っている。
 一方、沖縄を例に挙げると、本来は国が担うべき国防、治安対策、教育の中身、外交という4つの専権事項のうち、国防に関して一地方である沖縄が中央政府に極めて微妙な意見を述べている。
 オスプレイの墜落が怖いのは当然です。しかし同時に、沖縄を自分のものだと主張する中国や、核開発を続ける北朝鮮との問題をどうするのか。
 例えば、この放送を行っている神戸には北朝鮮がミサイルを発射してから約8分で着弾すると言われますが、発射後8分以内に見つけて撃ち落とすのは現実的に難しいわけです。
今こそ、国と地方のやるべきことの違い、区切りを分けて考えなければならない。それが“平和ボケ”状態にある日本でのオスプレイ配備問題に象徴されているように思います。
 「まさか中国が、そして北朝鮮が攻めてくるわけはないだろう」という考え方があるとしたら、本当にそれでいいのか、国際情勢や国際政治を見ながら考え直すべき時が来ているのではないでしょうか。



「米ソ対立時代とは形を変えた水面下の冷戦構造に注意を」


 また、中国の工作員が沖縄のデモに紛れて「反米」という旗の下にオスプレイという事例を挙げ、米国を追い詰めるために冷戦構造下のような工作を行っているという見方もできます。
 私は実際にそういう工作を目の当たりにしたことがあります。それは、中学生の時にパラオ諸島を訪れた時のことでした。
 パラオの海は世界でも屈指の透明度を誇り、多くのダイバーたちが憧れる場所です。そこのあるホテルで当時のパラオ大統領とお会いする機会があったのですが、何とその大統領は会って約1週間後に暗殺されてしまったのです。
 当時は太平洋シーレーン防衛といって、冷戦構造下で米国とソビエト連邦がせめぎ合っていました。そして米国側から見た民主主義の砦が、アラスカから西のオホーツク海、北海道から沖縄までの日本、そしてフィリピン、パラオなどでした。
 このパラオに、米軍は原子力潜水艦が寄港できる基地を造ろうとしていました。そこでソ連のKGB(ソ連国家保安委員会)は工作活動に入ったのです。
 米軍の原子力潜水艦の基地ができたら都合が悪いと考えたソ連は、その頃バブル直前だった日本の資本力に訴えて、観光立国としてパラオを立ち上げようとする政策に打って出ます。
 すなわち、ホテル開発を行い、ダイビング好きな観光客を次々と誘致する。そうやって観光開発を進め、米軍の基地建設を阻止しようというソフト面での戦略を考えたのです。
 その過程においてCIA(アメリカ中央情報局)とKGBの激しいスパイ合戦が行われ、パラオでは大統領の暗殺、自殺が続くという状況が起きました。
 1989年にベルリンの壁が崩壊して以降、右と左のイデオロギー対立は終わったとか、97年と99年に香港・マカオが返還されて中国も変わってきたし経済依存度も高くなっている、だからまさか・・・という考えがあります。しかし、中国や朝鮮半島の情勢を考えると、目に見えない冷戦構造には注意が必要だと思います。



「いじめを「見える化」するためにネットが活用できる」


 次に学校でのいじめ問題を取り上げたいと思います。大津市のいじめ事件をきっかけに、全国各地のいじめ問題が連日報道されています。いじめは昔からありましたが、最近では「これは犯罪ではないか」という事例も目につきます。
 いじめを抑制するために私が考えている1つの方策は、いじめがあった場合、学校の正門前など全校生徒が目にする場所にいじめた側といじめられた側両方の実名を出して、生徒たちに知らしめることです。
 それが剥がされようが何しようが、事実をきちんと全校生徒で共有し、皆で注意することが大切ではないでしょうか。
 また、いじめで自殺してしまった子どもたちに共通しているのは、加害者からお金をせびられている点です。保護者は、もし子どもが自分の財布からお金を抜き取るようなことがあったら、我が子がいじめに遭っていないかどうか疑ってみるのも大事だと思います。
 今、いじめ問題は米国をはじめ世界各国でも問題になっています。
 米国では、いじめを受けている子どもたちが、自らのいじめ体験やそれに立ち向かう思いなどを動画に撮ってユーチューブに流している。この行動によって様々な支援を受ける一方で、ネット上ゆえに逆に批判を寄せられる場合があるのも事実です。
 しかし、ネットという手段をプラスの面で活用できれば、いじめ問題の解決に役立つのではないでしょうか。
 例えば、徳川吉宗が江戸時代に設置した目安箱の現代版、すなわち“ネット目安箱”を作る。ネットが発達した今こそ、このように危機をいち早く知らせる仕組みづくりが必要だと思います。
 学校や教育委員会の隠蔽体質について様々な有識者がコメントしていますが、大切なことは一刻も早く解決策を見出すことです。国民の生命と財産を守る。それが政治に求められる世界共通のテーマなのですから。




『中山泰秀のやすトラダムス』 7月29日 24:00-25:00放送
※Kiss FM KOBE "中山泰秀の「やすトラダムス」" は、radiko.jpでも聴取できます(関西地方のみ)。auの対応機種では、LISMO WAVEを利用すると、日本全国で聴取可能です。また、「ドコデモFM」のアプリでは、日本全国でスマートフォン(ドコモのAndroid搭載端末、auとsoftbankのiPhone)で聴取できます。



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