【 現場感覚なき、玄葉感覚。】







政府が立ち上げた「復興構想会議」から、政府や霞が関の一部が仕掛けた「復興税」構想。



その「東日本被災地支援」の為の新税制が、逆に本当に支援になるのかを疑問に思う。





昨日、民主党現職閣僚兼政調会長玄葉光一郎氏は、本日の朝刊に「消費税増税分を被災者に還付も」と見出しが出ている様に、「税の議論をするなら、被災地、被災者、景気への配慮が必要だ。被災地への配慮は消費税でも技術的には可能だ」と会見した。







【 どのようにして、被災者に税の還付を行うのか? 】






「復興税」に関しては、その心はいたいほど理解している。
被災者、被災地、困っている方の痛みを分かち合うと言う精神論は、ある意味健全だと思う。



日本の危機を、国家・国民一丸となって救おうと、被災地のみなさんへ1日も早い復旧復興をとの思いから、「先立つものを形にして」との思いからこのようなアイディアも始まっているのだと認識している。




他方、同時に単年度で毎年44兆円の赤字国債を我が国は発行している。


10兆円の赤字国債を発行するのは大変だと政府は言っているが、今後更に10年間をみても300兆円位の国債を出さなければ立ち行かなくなっている現状をみて、「赤字国債をこれ以上増やすわけにいかないから消費増税を行う」と言う考え方については、納得がいかない。



しかもこの夏には、東京を中心に2割の電力供給が不足するであろうと予測されている事を考えると、生産能力は確実に落ちるだろうと予測出来る。

しかしその影響は、徐々に日本全国の経済に波及するであろう事も分かる。



ところが政府はそういう予測とは真逆に、復興による経済波及効果が高まると予測を出している。

電力のマイナス需給バランスが経済に与える負の効果よりも、復興特需の方が大きいと言う試算をしていると言う事になる。



現在の民主党政権は、実体経済の景況感が復興特需により潤うであろう、だから増税をしても大丈夫だと言う、あまりにも現場感覚の無い判断を、根拠の無いまるで「競馬の予想屋」の様な無根拠のもとでリアル政治の計画を行おうとしているのだから、国民にとってこれほどまでに大きなリスクは無いと思う。





【 財政健全化と災害復興は分離して考えるべき。】





本来、財政健全化の議論は東日本大災害以前から問題になっていたわけで、健全化の議論と、災害復興の話とは全く別の話として分けて考えなければ、復興と再生に大きな遅れをとってしまう事になるだろうと思う。



景気は確実に後退する事が予測できるので、ここで景気にブレーキを踏む様な増税を行うのではなく、あえて国債を発行し国民からお金を借りる道への選択の方が、経済をまわす効果を出す事が可能なのではないだろうか。





同時に法人税の引き下げも、一定の効果を生むと思う。


大企業以外の中小零細企業には殆ど効果は表れないのかも知れない法人税減税。
しかし思い起こせば大震災前、もともとは法人税の引き下げを政府は経済界と打ち合わせていた。




円高や人件費高騰、日本国内の景況感の悪化を踏まえて考えると、法人税を下げると、大企業は更に海外への流出が激しくなってしまうのではないだろうかと想像していたが、災害以降は、逆にこの減税を直ちに実行させ、日本の国内景気復活への起爆剤の一つに大企業には民間主導の復興アイディアを考えて頂き、減税分の効果を一企業としての利益であり、かつ「公の為の利益」との考えから、何らかの復興支援に役立てて頂ける様な形に変えて行って頂きたいし、それを使命として頂きたいと思う。
そして政府がそれを促す様な形をとれば良い。



米国の様な、寄付金優遇税制もこの際控除枠の拡大拡充を着実に実施し、政府当局はそれが難儀であると言うのであれば、それこそ今回政府が主張している「期限付き消費増税」と同様、期間限定でも構わないから「寄付金優遇税制の拡充」も実行してみては如何だろうか。




これだけ、「民主党政治不況」下の中の現在、増税を行わずに如何に復興財源を確保を行うかは、色々とアイディアは出て来るだろうと思うが、同じ我慢をするのであれば、民主党が掲げる「4K」=子供手当て+高速道路無料化+農業の戸別所得補償+高校授業料無償化を即刻廃止し、5兆円程確保し、復興財源の半分程度を賄った方が余程得策ではないだろうかと私は思う。




第一に、玄葉氏が言う様に、仮に消費税を増税し、被災地の方達までが消費税を払う事になり、いざ「還付」と言っても、一体どのように還付を実施するのかが甚だ疑問だ。



被災地の役所は全て、資料も建物ごと津波に流されてしまっている。
罹災証明を発行する事ですら、行方不明者を確認する事ですら大変な困難を来している。


私が住む、大阪市内のように震災被害が無いところでも、消費税の未納滞納率は非常に高い。


また1000万円までに下がった消費税の基準を思うと、1000万円以下なら納税義務を免れるわけだから、そのような事を多角的に考えてみると、本当に玄葉氏が言う様に、技術的に可能なのかどうか、被災地や被災者を守れる税制になるのだろうかと、まだまだ疑問が残るし、彼の言葉を疑う。



仮に技術的には可能であっても、結局還付されるまでの時間が、非常にかかってしまうであろう事は、簡単に想像し予測できる事である。


これは計画性の無い、国民が不安を感じる発言だったと私は思う。









【 無計画な言葉の政治。】






今回、民主党政権が行おうとしている「大変な時の増税」を1つとってみても、これが如何に不用意に政府から発信されている情報なのかと言う事が良く理解できる。



緊急災害時であっても、政府には情報を国民に発信する時に、しっかりと熟慮の上、情報発信をして頂かなければ困る。





一方では「買い占めを抑制しろ」と情報を発信し、他方では「消費税を上げる」と言う。



先日の、エコポイント終了時の混乱をみていると、増税前の駆け込み消費による買い占めが、しかも大規模に行われてしまうとすると、どのような政府は対応をしようというのだろうか。




暗中模索にも程があると思う。




現民主党の「(国民が)スローガンだけの政治家による政治を選択した事」が、前政権を担当していた自民党と公明党の「(国民が)このやろうと政治家を憎んでいる状態の政治」よりも、国民や国家に対するリスクが増加している現状を観て、国民はどのように思うのか、一国民として疑問を投げかけたい。






結局「ポピュリズム政治」というものは、選挙を行えば行う程、国民の期待とは真逆の結果を国民自身がつくり上げた政治が生み出すと言う事に、国民が早期に気付かねばならない。






地方の政治においても、同じ事が言える。


国民は、相当の覚悟が必要だ。














つづく