【伊丹・関空で国が「上物」会社 民営化逆行の一体運営案】

2010.11.19 14:01 msn産経ニュース


 関西国際空港の債務圧縮などを目的とした関空と大阪(伊丹)空港の経営統合問題で、国土交通省が、国が保有する両空港の株式や資産をもとにした国100%出資の新会社を設立し、「上物法人」の事業会社として両空港を運営していく案を検討していることが19日、分かった。一方、関空の土地資産など「下物」は地元自治体や企業などを含む現在の関空の株主が出資する別会社が所有することとなっており、地元からは、国主導で民営化の流れに逆行するような上下分離案に反発も上がりそうだ。

 関係者によると、国交省案では、国が保有する関空会社の株式や伊丹空港の資産をもとに会社を新設し、ターミナルビルなど関空の建物(上物)資産を、負債とともに移して事業を運営。一方、関空の土地(下物資産)とその負債は、地元自治体や企業など現在の関空の株主が出資する土地保有会社に分離し、新しい事業会社が土地保有会社に賃料を払いながら両空港を一体運営するとしている。

 関空の負債額は有利子分、無利子分合わせて約1兆3千億円で、このうち土地に関する負債が大半を占める。国交省案では、巨額の土地負債が国出資の事業会社から切り離され、地元などが背負う形となる。
 国交省は、予算措置のため関連法案を年内にもまとめ、来年1月の通常国会に提出、早ければ平成24年4月にも新会社を設立する方針。今月22日に開催する地元自治体や経済界との意見交換会でこの案を提示する予定で、国交省幹部は「意見交換会では、複数のオプション案を用意し、地元に示したい」としている。

 一方、今年5月に提出された国交省成長戦略会議の報告書では、関空を国際拠点空港として再生するため、関空と伊丹空港を経営統合し、将来的な運営権売却により関空の債務を圧縮するプランを提示。運営にあたっては「民間の知恵と資金を活用することが望ましい」と明記された。
 関空関係者は「国が事業運営するという案は時代の流れに逆行している。土地保有会社に機動的な収入は望めず『上下あべこべ分離』だ」と反発している。


【最悪の事態になる。これこそ政治主導で!】


上記の記事を簡単に言えば、下物を民間に運営させる。上物は国が運営する。
そう言う方針が国土交通省が計画していると言う話がマスコミに流出したと言う事だろう。

ちなみに今回の話題の中心である関西国際空港を含めて、日本の航空行政、空港を含めた主たる責任のある部局は国土交通省の航空局になる。

空港という施設には、建設当初から多額の資金が必要な事は言うまでもない。
関空等の場合、陸上でもお金がかかるのに、海上の空港と言う事なので更に予算が投じられている事が想像理解して頂けるだろうと思う。

空港の土地には当然固定資産税等がかかってくる。
莫大な税金の額になる。
すなわち、「下物」というものを運営しようと思うと、民間規模で本当に売上を計上して、利益を出しながら運営をし、更に税金を支払う事が本当に可能だと言うのか。

間違いなく、直滑降で赤字会社に陥る事となるだろう。
すなわち、下物を民間にと言うのは、国土交通省航空局の役人は民間が事業運営すれば必ず赤字になる事を分かりながらこの様な計画をワザと情報を漏らしているのだろうか。なんだか、反論の反動を活かそうとしているのではないだろうかと勘ぐりたくなる位だ。

「上物」はと言えば、新設された新たな羽田空港の第2ターミナルビルの事例が分かり易いかと思うが、羽田空港のビルに入る新たなテナントの楽しそうな情報が毎日のニュースなり、来場者も空港に来て飛行機にも乗らないのに空港で遊んで、買いものをして、食事をして楽しく過ごしてお家に帰られる。そんな満員御礼な状態だ。
すなわち上物は、運営の仕方によっては利益が見込まれる、見込み易いと言う事だ。

更に分かり易くまとめると、航空局の計画はこうだ。

「儲からない下物は民間に任せ、国は上物でしっかり儲けさせて貰いまっせ。」

と。。。言う事だ。

更に言うと。。。「儲かる会社をつくるのだから、天下りも当然考えさせて頂きます。」

と言う事になるのか。


【世界の中でも、おかしな空港行政をやっている日本。】


16歳の時、西ドイツのフランクフルトマインにある空港に行った時、トランジットで空港の巨大な施設内に映画館があるのに驚いた。1986年頃の話だ。

オーストラリアの空港は、下物を国が行政が持つ。
上物は、民間で持たせ、収益の上がる様に民間活力を利用すると言う運営方法だ。

ニューヨークのジョン・エフ・ケネディ空港においては、空港で飛行機が乗降客の乗り降りに使用するフィンガーすなわちボーディングブリッジを、空港に乗り入れている航空会社に20%ずつの出資を募り、シェアホールダーとさせている。日本の航空会社で言えばANA全日空はJFK空港のフィンガーのシェアホールダーとなっている。
下物は当然行政が保有している。


【伊丹空港の重要性。】


伊丹空港は西日本にたった1カ所しかない3000メートル級の滑走路のある、そして、2本の滑走路が平行して所在している空港である。

伊丹空港には緊急時や有事に備えた、日本に2つしかない「移動式管制システム」がある。

管制塔がテロリストにアタックされても、航空管制が出来るのが伊丹空港。


何故、伊丹にある陸上自衛隊のせんぞう駐屯地のそばに位置しているのかを考えて欲しい。

東京の首都防衛は、横田や厚木基地で行える。
日本で2番目に大きな都市、大阪の防衛は伊丹で行える。
いざと言う時は、有事に軍事転用が可能な空港である。
また、伊丹空港は米軍の軍事規格=ミルスペックにあたる関西にある3空港の中で1番安全な飛行場・空港である。


何故、天皇陛下、米国大統領は関西に用事で飛行機でお越しになられる時に関空でも神戸空港でもなく、伊丹空港を使用なされるのか、また伊丹空港以外は使用出来ないのかを考えて欲しい。

それだけの安全性確保が出来ない限り、天皇陛下や米国の大統領の離発着の安全性の確保が不可能だと言う事だ。伊丹空港に関しては、そのリスクが3空港の中で1番低い。すなわち攻撃を回避し易いと言う空港という事だ。


【それほどに重要性の高い伊丹空港をなくす事は、大阪や関西に住まいしている人達の生命と財産をリスクにさらす事になる。】


「軍事を抜いた政治は、楽器を抜いた音楽だ。」

政治家は、しっかりと軍事を常に頭の根底に忍ばせながら物事を考えなければ、国民の生命は守る事が出来ない。

伊丹空港に対するいい加減な政策を打ち立てている政治家や国は、とてもピンボケである。


それでなくてもどうしようもない現在の政治。

国もダメならば、地方もお祭り騒ぎのみの実の無い、中身無き政治が派手に行われているだけ。
マスコミも、視聴率政治を増幅させるのみで、国民の暮らしの中のリスクに関する政策の話の露出割合が非常に低い。記者にももっと真剣に考えて欲しい。


【「楽しくて、やがて哀しき祭りかな。」とならないように。】


笛ふく者に踊らされている、国民の哀しい姿を、これ以上観ていられない。
と同時に、私もバッジは無いが、1人の国民として怒りを覚えている。

国民を騙し打ちするツケは、必ず天罰となって馬鹿にした者に戻って来るだろう。



是非、
考えて判断をして欲しい。






つづく