WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う 続編です。

 

WHYが大事だということはわかった。
HOWとWHATとの一貫性が重要だということもわかった。
でも、そのWHYとWHATの乖離が企業を壊滅させることはしばしば起こる。

それはなぜかということを説明するのがこの章。
第12章 WHATとWHYの乖離

結論からいうと、企業において致命的な乖離を生じさせるのは「成功」だと言っている。

企業の成長ステージに合わせて要約すると以下のようになる。

(1)企業が小さい間
創業者は自分自身のWHY=直感に従って大きな決断をくだす。

(2)企業が成功して大きくなってみると
創業当初、意思決定のフィルターとなっていた創業者の直感で決定が行われることはなくなり、合理的な事例やデータによって決定がなされていく。
企業のガバナンスという視点では、むしろ正常化しているとも言える状態。

従業員も理念や大義に心を動かされることはなくなり、システムを理解し、目標を達成しようと躍起になる。

(3)さらに成功が進んだ状態
忠誠心を持たない従業員は、自社の商品の販売など社外(市場や顧客)に対しても操作の手法を導入するようになる。前回記事でも書いたが、それによって顧客に忠誠心が芽生えることはない。

さらには企業は従業員の雇用やマネジメントにも操作を取り入れるようになる。昇進や報酬、恐怖マネジメントなどで才能の流出を防ごうとするだろう。


ということで、Appleのように自分たちの信念を貫き続けるのは難しいということを再認識するわけだが、自分の体験を振り返ってみても、スタートアップ企業の成長期にはよくある光景だと思う。

では、どうすれば成功という難関を乗り越えても、自分のWHYに誠実を貫くことができるのか?それに呼応する答えはこの本で明解には語られていない。企業の意思決定のシステムは企業の成長とともに変化していくことは避けられないし、合理的な意思決定にWHYというフィルタを統合するのはいうほど簡単ではなさそうだ。


ただ、最後のメッセージは個人的には金言である。
ほかの人間と競争するとき、だれもあなたを助けたいとは思わない。
ところが自分自身に戦いを挑むと、誰もがあなたを助けたいと思う。