「正義で地球は救えない」 池田清彦+養老孟司 共著
地球温暖化でのCO2削減について「これでほんとうにいいの?」と
疑問をていしている本ですので紹介します。
池田さんは早稲田の先生です。養老さんは「バカの壁」で有名ですね。
この本をよんでいると、情報操作や環境ビジネスでのし烈な作戦が
展開されていることに気が付きます。
政府の言うことはかならずしも正しくはないかもしれないという
ことです。
さて、内容です。
■日本は(チーム-6%)といってCO2の排出削減キャンペーンを
お金をかけて行っていますが、まず地球温暖化に対して
CO2増加が全て原因というのはあまりにも短絡的であると言っています。
さらにこのキャンペーンは貢献度ゼロに等しいと断じています。
CO2の排出削減よりもっと重要で緊急な問題があると提示しています。
■人類にとって最も重要な課題とは、エネルギー資源の枯渇と食糧不足です。
■エネルギー資源は、いまもっても石油に依存しています。あと、十数年で石油生産量
が頭打ちになる。それまでに有効な代替エネルギーを立ち上げなければ、石油資源の
奪い合いが起こり人類は悲惨な状況になる。地球が温暖化しても人は死なないが
エネルギーがなければ人は死んでしまう。政府もマスコミもこの点をあまり強く言わない。
日本のように食糧自給率が極端に低く、エネルギー資源もないくには、京都議定書を
守るより、さきにやるべきことがある。結局、議定書を守れなくなり、新興国の排出権を
お金で買うことになるのは日本だけ、などとばかげたことになり、
脱炭素利権に群がる官僚、学者、企業の餌食になり、税金がむだに使われる可能性がある。
■ 石油も生物由来のエネルギーであるが、石油は数千万年もかけて作り出されたもの
だから、それを使うことは、時間を圧縮していることになる。
つまり、生物の遺骸の堆積による数千万年かかってできた物質を人間がエネルギーとして たかが100年かそこらで使っているからこれまで効率もよく、景気もよかった。
◎ 京都議定書時には、日本は他国より省エネルギーが先進国で、CO2削減のレベルが高かったのに無理と 思われる削減値の足かせをこの会議ではめてしまった。カナダなどは議定書を守れないから破棄しまし た。しかし、各企業は努力を続けています。
でも、目標達成のため排出権を買うととなるとは、ちょっとおかしいと思いました。新興国では、人口 問題による食糧不足がまず問題です。そのお金がみんなのために使われればいいのですが。一部の人に しかいかないのでしたら問題です。
石炭とか石油の発見で人類は目覚しい発展と文化生活を手に入れましたが、余りにも性急した発展およ び消費なので環境がついていけないのも無理がありません。数千万年かかってできたものを100年たら ずで使いきるかもしれないのですから。
バイオエネルギーも電気が必要です。物を変化させるのには動力として電気は不可欠だということで す。代替エネルギー開発が不可欠と思い、日本が生き延びるための分野ではないかと思いました。
co2削減は省エネルギーの点でも推し進めなければならないものだと思います。省エネは光熱費が安く なるという直接実のある行動です。しかし、それよりも先に国がやらねばならないことがあるに気が付 かされました。
もっと、先を見据えた国の政策が必要だと痛感しました。