相葉先生がオレが笑ったことに対して腹を立てている。決して悪気があったわけではなく、つい声が漏れてしまっただけなのに明らかにオレに対して敵意をむき出しにしているのはすぐに分かった。
「翔やん、落ち着いて」
「翔。どうした?」
「だって!!一生懸命な相葉先生が面白くてつい笑っただけなのにさ、オレの話を聞こうともしないで急に失礼だなんて決めつけるなんてねぇだろ!!」
ニノや潤が苛立ちを隠せないオレを宥めようとしてくれたけど、オレを見ている相葉先生の凍りついたような冷たい目を見ているとめちゃくちゃ腹が立つんだ。
まるで笑ったオレを全否定してるみたいでムカつくんだ。
大野先生だったら「笑うなよー、ここでぇー」とか言いながらなんで笑っちゃったんだよ?って冗談っぽく聞いてくれるだろ。先生ってそうなんじゃねぇの?オレたち生徒の気持ちに寄り添ってくれるんじゃねぇの?話を聞いてくれるもんだろ?
寄り添えって言ってるんじゃない。
話を聞かずに決めつけられることがオレはムカつくんだ。
ガタン!!!
思わず立ち上がり、そのまま教室の出口に向けて歩き出した。
「どこへ行くんです?」
「気分転換してきます。頭を冷やしたら戻ります」
相葉先生の無表情な目に向けてオレは言葉を返した。
「そうですか」
「止めねえんだな」
締めていたネクタイを緩めながら相葉先生を睨みつけた。
「止めて欲しいですか」
「いえ。結構です」
売り言葉に買い言葉ってヤツだろう。
明らかに火花バチバチなやり取りをするオレと相葉先生の会話に入り込む人はいなかった。
…ニノと潤以外には…
「翔やん!」
「翔!!」
ニノと潤も慌てて立ち上がり、教室を出ようとするオレを追いかけてきた。
「いいよ。迷惑かけるから授業受けてこい。すぐ戻るから」
「何言ってんの」
「俺たちも頭を冷やすのに付き合うぜ?」
ポンポンとニノが背中を叩き、潤が肩を引き寄せてくれた。
そしてザワつくみんなに目でごめんってしてから3人で教室を出た。
出る瞬間に北川と吹石と目が合った。
2人は「こっちは任せなさい」って合図をしてくれたように思えたんだ。
そしてすぐに多部の「先生。春からここに越してきたってことですか?」って話題を振ってくれる声がした。
北川、吹石、多部のコンビネーションに感謝だ。
振り向くと三人娘はここは任せてって顔をして頷いてくれた。