口をパクパクしている彼女を放置してオレたちは学食を出た。
宣戦布告的な発言になってしまったような気もするが仕方ない。
なぜだか雅紀まで侮辱されているような気持ちになってしまったんだ。
オレは別に何を言われても構わないが、雅紀だけは別だ。別なんだ。
「ショーン?」
「あ?」
「大丈夫か?結構厳しいこと言ってたぜ?」
「仕方ねぇだろ?頭に血が登ったんだ」
「だよなぁ。昔の櫻井は『3秒でキレる男』だからな」
「へ?全然そんな印象ねぇぞ??だとしたら随分と丸くなったんだな?お前は!?」
「もお、うっせぇわぁ!!」
ちょっとピリピリイライラしているオレの気持ちをブッキーや隆ちゃん、滝沢が柔らかくしてくれる。こういうときに仲間の存在にすごく救われる。
とりあえずは午後の講義だなってまたみんなに囲まれるような位置で席についた。
彼女は相変わらずオレたちの少し離れた場所に席をとって後ろから見ているっぽい。
ただ。
講義終わりの彼女の顔がいつもと違って見えたんだ。
いつもならオレを護衛するかのような3人を睨みつけていたのに、今日はなぜだか真っ直ぐにオレを見ていた。
睨みつけるとか勝負を挑むとかそういう目ではなく、普通の目をしていた。
……ような気がした……
気のせいか??
な????
だよな????
「なぁ、彼女...」
「だよな?」
「なんか午前中までと顔が違うよな?」
「中学生みたいな顔つきだぜ?」
「.......」
みんなも同じように彼女の変化に気づいていた。
「ショーン、気をつけろよ」
「櫻井は俺がガードするよ。それに雅紀もな」
「ああ、ありがと」
彼女が立ち上がる前にオレたちは素早く講義室を出てそのまま駅に向けてダッシュした。