壁にもたれて立っている雅紀に姫抱きにされた。
嘘だろを何度も繰り返して言うけど、どう見てもオレは雅紀に抱き上げられてるんだ。
「…」
「ごめん、翔ちゃん。もう足が限界」
「あっ、ごめ!!」
「でも、その前に…」
目の前にある雅紀が目を閉じた。
この姿勢でその仕草といえばすることはひとつだよな。
オレは雅紀の首に腕を回したまま顔を寄せて、キスをした。
ちゅ、ちゅ。
ちゅ、ちゅ、ちゅ。
小鳥のように何度もキスをした。
そして足が限界に達した雅紀とともにその場に崩れ落ちた。
「ごめん…」
「こっちこそ。本当ならちゃんと下ろしてあげないといけなかったのにな。まだ無理だったわ…ごめ、…んっ…/////」
今度はオレの方が限界だった。
一緒に玄関に崩れ落ちたから雅紀だって強打したケツが痛いはずなのにオレのことばかり心配してる。
そしてなにより約束通りに抱っこをしてくれたことが嬉しくてたまらなくて。
だからごめんと言い続ける雅紀の口をオレの口で封じた。飛びつくようにしてキスをしたから雅紀の後頭部は豪快に壁に打ちつけられたけど、そんなことはおかまいなしに雅紀の首にしがみついて抱きついて飛びついて。
めちゃくちゃなキスをした。
泣きながら何度も何度も顔の角度を変えてキスをするとオレの腰をしっかり抱きとめた雅紀が言ったんだ。
我慢できなくなると困るだろ。
仕事にも行けなくなるし大学だって行けないと困るだろ。
だから。
今晩、抱いてあげるから。
覚悟してて。
うん。
こくこくと頷くと今度は雅紀の方から激しいキスをくれたんだ。
オレたちは玄関で抱き合いながらただただ激しいキスに溺れていた。
「しょ、ち…ゃ」
「まさ、もう、じか…ん…」
「もうすこし…ね?」
「んぅ…////」
大きく口を開けながら雅紀の唇を求めていた。