Sounds of joy350 | 愛すべき櫻葉の世界

愛すべき櫻葉の世界

甘々櫻葉と翔ちゃんへの愛を甘くおしゃべりしてます♡



休診日の時は雅紀の車椅子を押して大学へ行くことがオレと雅紀にとっての気分転換になっていた。

お互いに仕事、勉強、リハビリと日々の疲れがたまっていくのを散歩道のような通学路を歩くことで気分転換をしている。


「ねぇ、ちょっと止まって」

「ん?」


「ほいで、ちょっと見てて」

「ん?」


不意に雅紀に車椅子を止められるように言われたオレは素直に車椅子を止めた。


グッと車椅子の肘当てに手をついた雅紀はゆっくりと立ち上がった。

そしてゆっくりと足を踏み出した。


ガクッ


1歩を踏み出して着地した瞬間にバランスを崩した雅紀を咄嗟に支えた。


「見た?」

「ああ...」


「すげぇだろ?」

「めっちゃすげぇわ!!」


「松葉杖でさ、階段を登れるようにならねぇとだからさ。めっちゃ頑張ったんだ」

「ああ...」


「カッケェ?」

「めっちゃカッケェ...すげぇ...!!」


すんっ


「なに泣いてんのよ」

「泣いてねえもん」


すんっ


「泣き虫ー」

「うっせぇ」


だって泣かねえわけにはいかねぇだろ。

こんなすげぇヤツが恋人なんだぞ。


もうって言いながら雅紀を車椅子に座らせた。

そしてその肘当てに手をついて顔を寄せてキスを贈った。




「いつか2人で横に並んで歩こ?」

「うん」


「んで、お姫様抱っこな」

「はいはい。了承♡」


「約束だぞ」

「ん」


もう一度キスをした。

朝日の降り注ぐ通学路の中で。









「じゃぁな」

「いってきまーす」


「キミちゃん、雅紀を宜しく」

「はーい。夕方にはちゃんとお送りしまーす」


講義のある5号館の前まで迎えに来たキミちゃんに雅紀を託してオレは懐かしいゼミの教室へ向かった。


そして数年ぶりに再会したゼミ担当の先生とコーヒーを飲みながら話をして楽しくも懐かしい時間を過ごして一足先に帰路に着いた。