雅紀が公園のベンチに置いていった参考書や本たちを捲りながら待っていた。
これらが雅紀に力を与えてくれていたのかと思うと、持っていって良かったなと改めて感じた。
「ありがとうな」オレは紙袋の中に丁寧にしまいながらお礼を言った。
今日みたいに家族と衝突して家を飛び出してくることが何度かあるかも知れない。その時は今日みたいに外へ連れ出すこともすれば、家に帰すこともあるだろう。連れ出したときのために、雅紀のお泊まりセットも用意した方がいいかもしれないな。
やがて小さなリュックを背負った雅紀が駆け込んできた。
「母ちゃんには翔ちゃんとこに泊まるって行ってきた…でも父ちゃんには…つか、顔を見たくなくて…」
「うん。で、お母さんは何て仰ってた?」
「好きにしなさいって。櫻井先生のことを信じるって」
「そうか。そんなに嬉しい言葉をもらえるなんてな…いつかお母さんにちゃんとお礼を言いにお伺いしないとな」
「大袈裟だよ」
「大袈裟なんかじゃねえよ。お父さんはいつか雅紀が結婚して子どもが産まれたら相葉総合病院を継がせることも考えてるんじゃねぇの?」
「…そっ…」
「そんな事ないって言えるか?」
「……」
「ごめん。言いすぎた。でもさ、ちゃんと分かってもらえるようにするから、少なくともそうするから支えてくれって言ったのは雅紀だろ?」
「…うん…」
「現実を目の前にしてビビってんの?」
「なっ!?ビビってねぇーし!!」
「ふはははは。それでこそオレの雅紀だ!」
嘘。
オレだってめっちゃビビってる。
ビビってねぇしなんて雅紀に言わせるように誘導したけどオレもビビってねぇしって言いたかったのかもしんねぇ。
雅紀に話をしながら色んなことを改めて思ったよ。
オレたちの目の前の壁は高くて分厚い。
だけどさ、その壁。
ぶち抜いてやろうぜ。
それくらいの勢いをつけようぜ。
雅紀の首に腕を回してしがみつきながらキスをした。
ビビってる心を鎮めよう。
オレとお前の体温で。
燃えるような時間を過ごそう。
今は。
今だけは。
お前にオレをあげるから。
ずっと頑張ってきたご褒美にさ。
オレの誕生日みたいに壊れるまでオレを愛してよ。
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クリスマスに続いて年末年始に贈り物です。
限定へ突入しますが。
準備出来てっか!?
(`・3・´)こっちは準備できてっぞ!
そして。
嵐記念日に更新している『ハダシの未来』を01/01の17時に更新しますのでお楽しみに!