Sounds of joy140 | 愛すべき櫻葉の世界

愛すべき櫻葉の世界

甘々櫻葉と翔ちゃんへの愛を甘くおしゃべりしてます♡



「ただいまー」

「雅紀。今日、櫻井先生がいらしたわよ」


「へ!?」

「参考書とか本とかたくさん持ってきてくださったわ。無理せず踏ん張れって」


「それだけ?」

「え?」


「ん、いい。あんがと」

「はい」


予備校から帰ってリビングに顔を出すと母ちゃんが蒼翔を膝に乗せてそんなことを言った。

なんだって?翔ちゃんがここに来た??

会えねぇっつか、会わねぇっつったろ?

どういうことだ??


階段を猛ダッシュして自分の部屋に駆け上がると、机の上に紙袋が置いてあった。


てか、ホントに本ばっかりだ。

参考書ばかりでなく、獣医師になるにあたり読んだ方がいいであろう本まである。

何より凄いのは貼り付けられた付箋の量だ。

参考書に書き込まれた文字もハンパねぇ。

使い込まれていることから翔ちゃんが昔使っていたものだということはすぐに分かった。


そして。


コロン。


…え?

何これ?


綺麗にラッピングされた淡いグリーンの細長い箱。


震える指でそれを開けた。



「バカ。翔…」



中に入っていたのはネックレスに通された指輪。

そして翔ちゃんらしい少し雑だけど丁寧に書いたんだろうなというメッセージ。








『雅紀。世界で一番愛してる。

   誕生日おめでとう』



やべ。

涙が止まんねぇ。

全然止まんねぇじゃんか。

止め方、教えてくれよ。

翔ちゃん、翔ちゃん…。


いいよね?

今日は声を聞いてもいいよね?



スマホを手に取り最愛の人の電話番号をタップした。



ワンコールもならないうちに、聞き覚えのある甘くて優しい低い声が耳をくすぐった。


『雅紀?』

「ひっ、うえっ…っ…」


『泣くなよ…』

「でもっ、でも、コレッ、うっ…」


『誕生日おめでとう。産まれてくれてありがとう。オレを待っていてくれてありがとう。オレを愛してくれてありがとう…それから…』

「そんなにペラペラ喋るなよ…っ、俺っ、何もっ、言えないっ…」


『ふふ。ごめん』

「ありがとう…指輪も参考書も本もありがとう…母ちゃんに手渡してくれてありがとうっ…」


そこまで言うと、翔ちゃんが言った。


『雅紀?顔を見せて?』

「だって、泣いてる、もんっ」


『いいから。18歳になった雅紀に逢いたい』

「…わかった…」


甘い言葉を囁く声に俺はまた震える指で画面をタップした。