まだ見ぬ世界へ128 | 愛すべき櫻葉の世界

愛すべき櫻葉の世界

甘々櫻葉と翔ちゃんへの愛を甘くおしゃべりしてます♡



退院の手続きを終え、お世話になったスタッフさんにお礼を言った。

みどさんとすっかり仲良しになった陽翔はオレの腕の中でめちゃくちゃドヤ顔で描いてもらった蒼翔の絵を見せびらかしている。つか、それを描いたのはみどさんだけどな(爆)


いつものように陽翔をチャイルドシートに座らせたオレは、今日は助手席ではなく陽翔の隣に座った。

そんなオレをルームミラーで見た雅紀はくふふって笑ってた。

陽翔が泣いて泣いてどうしようもなくて心が折れそうだったオレに、少し雅紀に甘える時間をくれた陽翔が愛おしくてたまらなかったんだ。

早く陽翔に会いたくなったし、今朝会えた陽翔から離れたくなかったんだ。


陽翔の包帯でグルグル巻きの手を触ったり、柔らかな頬をふにふにしているうちに、涙が零れた。

こんなにも愛しい陽翔にイライラしてごめん。

火傷させてごめん。

1人での治療をさせてごめん。

こんなオレを親として想ってくれてありがとう。


ボロボロ泣いていると、陽翔がオレの頬に手を乗せた。

不思議そうな顔をしながら触れてくるその手は小さいけれど、すごく力があったし、優しさに溢れていた。



もうダメだ。



オレの涙腺はとうとう決壊した。



後部座席で泣きじゃくるオレを雅紀はそのまま泣かせてくれていた。泣き虫って少しだけ笑わせようとして言ってくれたけど、その後は何も言わずに泣かせてくれていたんだ。


病院からマンションに向かう車内は優しさに溢れていた。



この優しい時間をオレは忘れない。

だから陽翔も覚えていてほしい。

なぁ、雅紀。

子どもってすげぇな。

なぁ、陽翔。

家族っていいな。





「ただいまー」

「ただいま」

「あー、あっ!」


「わんわん!!わんわんわん!」

「おかえり、陽翔」

玄関を開けると待ち構えていた蒼翔と母さんが飛び出してきた。


オレたちの足元を駆け回る蒼翔と、涙目な母さん。

そして陽翔を抱っこしたオレをそのまま抱きしめてくれる雅紀。



みんなの鼻をすする音がする中で、嬉しそうな蒼翔の声と、オレの腕の中でケラケラと笑う陽翔の声が響いていた。