「ショウ!オカダ!お疲れ様!」
帰り支度をして医局を出る。
そして岡田先生と一緒にアパートへ向かって歩き出した。
「あ!スマン!忘れ物だ。櫻井、先に歩いててくれ」
「忘れ物すっか?ふはっ!歳ですかねぇ?」
「うるせっ!ばーか」
「ふははっ。じゃ、のんびり歩いてまーす」
岡田先生が病院へ向かって走り出した。
オレはいつものようにスマホを出して雅紀の寝顔の写メを見てニヤニヤする。
この時間が至福のときだ。
寝顔だけど、やっぱり雅紀は美人だな。
……サクサク……
ん?
なんか後ろから足音が聞こえる?
ま、気のせいだろな。
同じ方向に帰る人なんていくらでもいるさ。
……サクサク……、サク、サク……
って足音が近づいてる。
なんなんっ??
と、思ったその瞬間、オレはメインストリートから路地裏へ引きずり込まれて、ドサリと放り投げられた。
「何すんだよっっっ!!」
「ふふっ。可愛いドクターさん。今日はやっとあのボディーガードから解放されて1人だな」
「んだとっ!!!アンタ、どこから付けてきやがったんだ!!」
「ふふ、そんなことどーでもいいだろ?病院なんて大きな箱の中なんだから。可愛いドクターサクライのことを知ってる人なんて沢山いるんだよ」
なんだコイツ!オレを男だと知っててこんなことしてんのか!
ふざけんなっ!!
睨みつけると、男はニヤニヤしながら近づいてきた。
「ふふっ。その反抗的な目がたまらないね」
「はあ!?」
「可愛いな。どう料理してやろうかな?」
「離せや!!ばかっ!!!」
クソっ!とんでもねぇ力で腕をつかまれた。
岡田先生が言ってたことってこのことだったのか?
と、思ったら、その男の腕がありえない方向に捻りあげられて、一瞬にして男はが吹っ飛んだ。
「マチ子、お待ち!!」
「岡田先生っっっ!!!」
男を吹っ飛ばしたのは師範代……じゃなくて、岡田先生だった。
それにマチ子って誰じゃいっっ!!
マジでホッとしたオレはその場に座り込んだ……。