小山さんノート
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すっかり気が引けてしまい、それでも少し歩を進めると、渋い立て看板が続きます。
この辺りまでは、市営住宅や可愛い民家があったりして、登山コースという感じではありません。
その先には、閑散とした森に囲まれた“少年の家”という施設があり、何だか映画に撮りたくなるくらい神秘的な雰囲気です。
さらに行くと、「痴漢に注意!女性のひとり歩きはご用心!」みたいな立て看板も現れ、早々と心が折れてしまったのでした。
高低差が大きいので、少し登っただけで、別世界のように切り立った谷間が視界に広がり、気もそぞろになります。で、少し降りると、すぐいつもの情景や人の気配が戻って来るのが不思議です。
彼方には海もちらっと見渡せます。山と海のハーモニー。
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そう、ブック部でした。
「小山さん」と呼ばれるホームレスの女性が遺した何十冊ものノートを、「小山さんノートワークショップ」の人たちがまとめた本。
結局、エネルギーが足りなくて、買わずに眺めて帰って来たのでうろ覚えなのだけれど。
自分のためだけに日々のことを綴っているノートの言葉が、妙に迫り来るというか、後半になるにつれてだんだん現実感が倒錯してくる。
苦しい生活の中で、近所へ出かける際「ちょっとフランスに行って来る」みたいに、自分の行動エリアを空想と渾然一体化させる遊びは、子供の頃を思い出してつんとなる。
で、結局、川柳の本(真ん中のやつ)とDIY BOOKSのチラシをこの日はお持ち帰りしたのでした。左隣の川柳句集も面白かったけれどチラ見にてまた今度。町田康のサイン入り歌集も見せてもらったのだけど、やはり下見にて候^^;
ほんの少しの登山でも、今の私には疲労困憊以外の何物でもありません。
ノスタルジックな本棚です。
武庫之荘にあるDIY BOOKSは、本を作れる本屋さんらしいので、今度行ってみたいなあ。
ルナ氏「キリリッ」
闖入猫チビクロはごはんもあまり食べに来なくなり、私のことを怖がっているのかもしれないけれど、近頃は雨が多くて寒いので、ちょっと心配しています。
(…と、書いていたら、どうやらごはんを食べに来たみたい)
今も雨が降っています。