『マイ・ブックショップ』
4周年会員デーとのことだったので、恵比寿ガーデンシネマまでお散歩して、イザベル・コイシェ『マイ・ブックショップ』を鑑賞。
やや地味な事前イメージを持っていた本作だけど、観始めたらどんどん引き込まれ、主人公と気持ちがシンクロしてしまって、最後はほろりとさせられてしまった。
1959年、イギリスの海岸地方の書店が一軒もない小さな町。夫を戦争で亡くした未亡人のフローレンス(エミリー・モーティマー)は、2人の夢だった書店をここで開業しようとするのだが…
まだまだ保守的なこの時代の田舎町。開業しようとする女性への風当たりが強く冷ややかな中で、優しくも辛抱強いフローレンスは何とか開業までこぎつける。
何十年も引きこもっているという本好きの老紳士ブランディッシュ(ビル・ナイ)が支えてくれる一方で、町の有力者ガマート夫人(パトリシア・クラークソン)は執拗に妨害の策略を仕掛けてくる。
彼女の武器は「勇気」だけ。でも、考えないようにしているだけで、世の中は「滅ぼす側と滅ぼされる側に分かれている」ということはうっすらわかっていたりする。それでも胸を張って戦わなくちゃいけない時があって、今がその時なのだからして…みたいな。
…にしたって、夢に向かって純粋に輝く聡明な女性に対して、多くの人は嫉妬し、陰で(あるいはあからさまに)毒づき、叩き潰したいとまで憎悪するものなのだ。
残念ながらこの傾向は時代や場所に関係なく、今も普遍的にあると思う。
彼女を取り巻く人間相関図は、「あー、いるいるー」って感じの奴等ばかりで…ひょっとしたら90%以上こんなのが占めるかもしれない。
それでも、だからこそ、どんな時も勇気凛々でありたいと思わせてくれる素敵な作品に、きっと、ますます本と対話する時間が好きになるはず。
P.S
他の皆さんも書いておられるように、ノスタルジックで可愛いファッションは目を癒してくれました
La libreria
監督:イザベル・コイシェ
原作:ペネロピ・フィッツジェラルド
出演:エミリー・モーティマー、ビル・ナイ、パトリシア・クラークソン…
2017年/イギリス・スペイン・ドイツ/112ふん
ルナ氏「・・・」
温かな毛のぬくもりと、甘く懐かしい匂いと、寝息を立てるルナ氏に「生命」を感じたよ。
Bon Voyage★