『今夜、ロマンス劇場で』 | dramatique

『今夜、ロマンス劇場で』

これ、観る前から外しちゃってる人いると思うんだけど、私もそうだったんだけど(いかにもなキャスティング、テレビムービーな前イメージetc…で)、たまたま観始めたら不覚にも涙腺崩壊モードになってしまった。

 

映画愛に満ちていて、あらゆる障害を抱えた純愛を包み込むような作品に感じられたからだ。

 

かなり賛否が分かれているみたいだけれど、私は面白く鑑賞しました。

 

 

助監督として忙しい毎日を送る牧野健司(坂口健太郎)の楽しみは、映画館「ロマンス劇場」で戦前のモノクロ映画『お転婆姫と三獣士』を観ること。ところがある日、その憧れのヒロインである姫、美雪(綾瀬はるか)が画面からモノクロのまま飛び出して来る。健司は自分のおんぼろアパートに姫を匿うが、彼女には触れられると消えてしまうという秘密があった…というお話。

 

まず、周囲がカラーな世界で彼女だけモノクロというのが面白かったし、病院で過去を思い起こす老人を演じた加藤剛(本作が遺作)とか、映画館主を演じた柄本明とか、笑かしてくれる映画スター役の北村一輝ら脇を固める名優陣が素晴らしい。

 

だんだん娯楽産業が移り変わり、映画事業が下火になっていく様とか(今はまた別の意味で映画が復興している印象だけど)、観ていて個人的にウルウルしてきて困った。

 

色々言いたい方もおられるだろうが、綾瀬はるかのオードリー・ヘップバーンを思わせる衣装や可愛らしさ、坂口健太郎が演じる健司の気弱だけど誠実なキャラクターは、ノスタルジックで切ない純愛物語と映画への思いを重ね合わせるものになっていたと思う。

 

 

監督:武内英樹

出演:綾瀬はるか、坂口健太郎、本田翼、北村一輝、柄本明、加藤剛…

2018年/日本/108分

 

映画『今夜、ロマンス劇場で』公式サイト

 

 

映画を観るという行為は、観客の想像力も加わって一体となる相乗作用だと思っているので、私はとても満足しています。

 

 

Bon Voyage★