おにぎりとは、日本人が生んだ最大の文化的遺産です。おにぎりは一番簡単です。温かいご飯をにぎりしめて、それに具を入れればおにぎりはできます。
このおにぎりが大変なしろものです。おにぎり、されどおにぎりです。おにぎりが美味しくできるようになれば、人間が進歩したと言えます。君もおにぎりをつくってみるがいい。簡単にはいきません。
コンビニのおにぎり? そんなものは論外です。あんなものは米で具を包んで機械でつくっているだけでおにぎりとは言えません。
まず、よいおにぎりを紹介しましょう。中野に「岡蒸気」という店があります。5~6店舗あるらしいのですが、ここのおにぎりは絶品です。全く文句なく美味しいのです。「田舎にぎり」というおにぎりですが、大きさといい、量といい、中の具といい、最高です。
おにぎりを一番おいしくつくるのには、3回握ればよいと言われています。できたおにぎりはふんわりしているのです。ふんわりしている感じですが、ここのおにぎりは「田舎にぎり」というだけあって、ガッチリパンパンにご飯を詰まっています。何十回も握って丸い形にして、海苔がまいてあるのですが、美味いのです。
普通は、こんな固いおにぎりをつくったらおいしくないのですが、ここのおにぎりは美味しいのです。女性にも一番人気メニューです。おにぎりは、赤ちゃんの頭くらいありますが、絶賛です。何度もつくろうと思いましたが、なかなか岡蒸気のおにぎりはつくれません。
それから、浅草に「おにぎり専門店」があります。このおにぎりもまた美味いのです。やわらかめですが、何しろ大事なことは、米が大事です。おにぎりは米だけを食べさせるものですから、お米が悪いとおにぎりはできないのです。ベトナム米や中国米では美味しいおにぎりはできません。パラパラの米もダメ、バラバラの米もダメ、適度に湿り気があり、水分が豊富でないとダメなのです。やはり日本米でしかできないのです。
日本米でも、こしひかりもあれば、あきたこまちもあります。お米によっておにぎりの美味しさは変わってきます。
米の種類が確定したならば、米の炊き方にも問題があります。難しいのです。ご飯を固く炊くと固すぎてしまい、固いおにぎりはまずいのです。やわらかすぎるとベチャベチャのおにぎりができてしまいます。
寿司屋は「米炊き3年」といいますが、米は難しいのです。ちょっとした水加減で寿司ネタも決まってくるし、おにぎりも変わってくるのです。おにぎりはあまりご飯が固くないほうがよいのです。多少水分があり、ゆるめの感じがいいのです。
おにぎりを握ると今度は塩です。塩に何を使うのでしょう。赤穂の塩もあれば、瀬戸内の塩もあれば、岩塩もあります。やはり、ご飯が甘く感じる塩でなければダメなのです。おにぎりにモンゴルの岩塩を使うと甘味が引き出せません。肉料理には岩塩はよいかもしれませんが、おにぎりにはダメです。
ご飯が甘くなるような塩がよいのです。手に適当な量の塩をつけて、白米でにぎるのです。これが本当のおにぎりです。これでおいしければ、具は何を入れてもよいのです。白米を握った段階でまずかったら何を入れてもダメなのです。
ご飯がベチャベチャでくっついてしまい、そんな中に具を押し込んでもダメなのです。白米で握って食べてみればよいのです。その中には何を入れてもよいのです。入れるものはうめぼし、昆布、おかか、いくら、しゃけ、何を入れてもよいのです。
基本はごはんだけで美味しく食べられなければダメなのです。塩加減だけをみてもわかります。ご飯だけで食べるのですから、塩加減が薄いと食べられません。そうかと言って、ショッパイご飯では食べられません。
この微妙なところを抑えないとおにぎりは美味しくないのです。最後に海苔をまきます。海苔はよい海苔を選ばないとダメです。甘い味付け海苔はダメです。味付け海苔などをおにぎりに使っている人は馬鹿なのです。ちゃんと磯の香のするよい海苔をおにぎりにまくのです。
今、僕が言ったことをよく考えながら、おにぎりをつくってごらんなさい。おにぎりをいくらつくってもつくれない人がいます。何故か、それは食べないからです。僕は必ず自分でつくったものは、自分で食べるのです。
一口食べてみて「塩気が足りない」「にぎりが浅い」「のりがあっていない」とわかるのです。料理が下手な人は自分で食べないのです。つくりっぱなしです。頭の中で想像して「これでいいんじゃないの」とやるから、全然人の意見が入ってこないのです。これでは何年やってもうまくなりません。たかがおにぎり、されどおにぎりです。
この単純な食べ物が美味しくできるようになったならば、諸君も一人前になったと思うがよいのです。寿司屋は難しいのです。「米炊3年」です。米が一人前に炊けるようになるのは、3年かかるのです。「ご飯など炊飯器ですぐに炊けるよ」と思うのですが、そうではないのです。微妙な水加減によって美味しくもなれば、まずくもなるのです。食材が生きてこなければいけません。そう思っておにぎりをつくってみなさい。君は美味しいおにぎりができるかな?
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