使い捨てカメラのレンズの焦点距離はおそらく標準(50㎜前後)くらいなので、L版にプリントすると遠景の山などは実物を見たときよりだいぶ小さく感じる。
 出来上がったプリントを「どんなふうに写ってるかな」と期待しながら確認すると、やたらしょぼくて、場合によってはどこに写っているのかもわからなかたりする。「こんなんじゃなかったのになあ」とがっかりした。
 敢えて画質が落ちるパノラマで撮ることがあったが、被写体がそれなりに大きくプリントされるのが理由だっとたと思う。

 ピントを調節することはできなかったが、人物や風景を撮る分にはそれほど問題にはならなかった。花などを接写することに興味は無かったので、少なくとも一メートルから向こうにピントが合っていれば良かった。
 ストロボは、基本的には周囲が暗いところで人物や建物を撮る際に使っていた。
 風景写真の場合は光が当たった近景がだけが変に明るくなって不自然になるので使わなかったが、ストロボをセットしたのを戻し忘れて誤って焚いてしまうというミスはよくやった。
 あるとき雨の中でストロボを焚いてしまったが、後日、出来上がったプリントにはところどころ白くぼやけた雨粒が写っていた
 「おっ、これは?」と思った。
 雨の中で写真を撮ることはあまりないが、天候の悪かったことも記録に残しておこうと撮ることがあった。
 しかしながら、雨粒は全く写り込まないので、プリントを見ても雨が降っているのか、ただ曇っているだけなのか区別がつかなかった。
 なので、これは雨の時の写真に使えるのではと思った。
 実際にはシャッターが速過ぎて目で見たように雨粒が細い線(残像)で写ることはなかったし、光が乱反射して粒ではなく白い斑点のようになってしまった。また、うまい角度で光を反射したものだけが写り込むので、降っていた雨粒のごく一部しか写らなかった。
 必ずしも満足のいくものではなかったが、わざわざ雨の中で撮ったのだから、「まるで写ってくれないよりはましだ」くらいのつもりで焚いていた。

(4)に続く