慈有塾さんの活動から〜高卒認定試験の受験サポートの必要性〜 | 無料塾「中野よもぎ塾」のブログ

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東京・中野区で中学生対象の無料塾を開催しています。

こんにちは、塾代表の大西ですにこ

 

先日、よもぎ塾と交流のある多摩の「慈有塾」さんへ、中野社協のいきいきプラン策定委員会の活動の一環としてヒアリングに行ってきました。

 

慈有塾さんは、若者のセカンドチャンスを応援する無料塾です。

公式サイト→http://jiyujuku.net/

具体的には、中卒者への高卒認定試験の受験サポートが中心となっています。

 

小学生、中学生向けの無料塾は増えてきており、たまに高校生対象の団体も見かけるようになっていますが、中卒者、つまり「学校に行っていない若者」への学習支援団体というのは全国でもかなり数が少ないです。

私が交流があるのは、この多摩の慈有塾さんと、国分寺きずな塾さんだけ。

 

今回お話しを聞きに行って、改めて、若者支援の必要性を強く感じました。

 

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高卒認定試験を受けたい人というのは、家庭の事情などさまざまな理由で中卒になってしまい、働いていてもいわゆるワーキングプアになってしまっている方がほとんどです。

また、たとえば看護師や公務員になりたいといった夢があっても、その夢を実現するためには高卒資格→専門の資格という2重のステップが必要で、その1ステップ目で止まってしまっているという状態にあります。

ここから抜け出すために高卒認定試験があるのですが、現状で学校に通っているわけでもなく、専門の塾に行くにもお金がかかってしまう、そしてその塾に行くためのお金の余裕がない……という状態にあるのです。

 

やり直しをしたいけれど、やり直すチャンスを掴むための方法がわからない、支援も十分ではない……。

そんな方々に、学習面でサポートをしているのが、慈有塾さんです。

 

今、子どもの貧困という言葉がどんどん広まっていますが、若者の貧困というのも深刻です。

子どもの貧困がそのまま若者の貧困になったり、若者の貧困が子どもの貧困を生み出したり、この2つはとても密にからんでいます。

でも、多くの自治体では、「児童(こども)」への支援には積極的に取り組み始めていますが、若者(中卒者以上)となると支援はまだまだ。

 

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社会の雰囲気もそうです。義務教育を受けている「児童」のうちは手を差し伸べる人も多いですが、高校生以上の年齢になれば「自己責任」と見なされてしまいがち。

特に、今どきは、お金がないと言ってもぼろぼろの服を着ていたり、食べるものが皆無で餓死したりというのは本当にレアケースで、衣食住はあってもそれ以上の余裕がない(要は相対的貧困)というのが貧困の実態です。

そうすると、「ちゃんとキレイな身なりをしているじゃないか、ウチのほうが困ってる」というふうに、不幸自慢合戦の土台に載せられてしまいがちになります。

……いやいやいや、みんな困ってるんだったら困ってるって言えばいいし、どうせなら「こんなふうになったらいいよね」「こんな暮らしがしたいよね」「どうやったらできるかな」とみんなが希望、期待を持てる社会になったほうがよくないですか?と私は思います。

 

「最近の若いモンは根性がない」「昔は貧乏でも我慢して稼いでいた」「我慢と努力でいくらでも成功は掴める」

みたいに言う年配の方々もいらっしゃいます。

でもそれも、時代が違うと思うんですよね……。高校進学率は98%、うち中退者は1.7%という時代です。

高卒・大卒での初任給額は月4万の差、生涯賃金では6000万円ほどの差が出てきます。これが現実です。

「中卒で成功して稼いでいる人もいる」

という人もいますが、めちゃくちゃ一握りですよね。そして、成功した人には必ず、それを応援してくれた人がいたり、成功するための環境が整えられていたりという何かがあるはずです。

何らかの事情で中卒になってしまった人が、「自己責任」と社会からそっぽを向かれて、成功するというのは、かなりレアケースになってくるのではないでしょうか。

そもそも、その「中卒で成功している人」はいくつでしょう。その時代の中卒率と、今とでは違いがあるのではないでしょうか。

 

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中野よもぎ塾では、まだ高卒認定試験のサポートまではできていませんが、卒業生の資格試験(簿記や英検など)のサポートはぼちぼちやっています。いずれ高卒認定試験をサポートすることも出てくるでしょう。

 

慈有塾さんに聞いたところ、高卒認定試験のレベルというのは、中学生までの範囲がほとんどなのだそうです。

「高卒レベルなんて難しそう……と思う人も多いでしょうが、中学生の学習支援ができるなら、高認の学習支援もできるはずですよ」

とのこと。私も一度、試験問題にトライしてみたいと思います。

 

今現在、無料塾のオープンを考えていらっしゃる方は、地域ニーズなどもよく考えながら、高認試験のサポートも選択肢のひとつに入れてみてもらえるとよいかなと思います。

無料塾のオープンのしかたは、よもぎ塾や慈有塾さんからもアドバイスができると思います。